第22・5話 赤城風助

 突然ではあるが、俺こと赤城風助あかしろふうすけには

死ぬほど嫌う人間が一人いる。


それも、同じクラスメイトに______


そいつの名前は、景谷。。

下の名前は、守…だっけか?

その名を口にするだけでホント、イライラする。


まぁ、嫌いな理由は

生理的にうけつけん。

ただ、それだけだ。


そんな理由で、人を嫌うなんて

ひどいとか思う輩も多いと思うが、


これは、俺に限った話ではない。


1年3組。

このクラスに在籍する

人間全てがやつを嫌っていた。


俺が奴をあざ笑うのに、便乗する

やつも多く、ストレス発散機なんて

いうあだ名がつく程に奴はクラスから

嫌われまくってたと思う。。


それなのに………

それなのに……………



ほんの数日前からだ。


奴は何故か女子から好感をもらう様に

なっていた。

それも、美少女からの…。

 はっきり言って意味が分からなかった。


奴にモテる要素があるはずがないからだ。

目は髪で隠れてるし、

肌も色白。


いかにも、陰キャ要素を盛り込んだ様な

男。。それが景谷のはずだ。


つい数日前までは、

誰も見向きもしなかったのに

何故か奴は、今、美少女達から

好意的に見られている…。


ありえない…何かの勘違い。



なんて無理やり言い聞かせて

思ってたりしたが、

前日の

夏目さんの、転入歓迎会をしての

その帰り道。


柳川と俺は見ちまったのだ。


美少女達と歩く一人の男……

クラス最低辺の

景谷という男を……


そして

その輪の中に俺の好きな女の子。。

真美ちゃんがいた光景を………

俺は、はっきりとこの目で見ちまったのだ。


夏目さんの歓迎会に彼女を誘った時

彼女は、断った。

最初は何か用事があるんだろうと思っていたが………。


まさか、景谷と一緒にいたなんて…な。


 ♦︎♢♦︎


景谷のクソみてぇなハーレムを見せつけられ

胸糞悪い気分になったわけだが、

 俺はここである一つの確信をした。


彼女たちは悪夢を見てるに違いない…と。


今すぐにでも、奴をしめたいと思った。

動き出そうとしたが

そこで柳川が提案をしてきた。


「中間近いし、勉強で勝負すれば

いいじゃん。」と。


何を呑気な事を……。

真美ちゃんは正気じゃなくなってると言うのに…。と一瞬思ったが、

よく考えると悪くない提案だと思えた。。


何故かって?


俺はこの学校に入る前の

入試で、学年4位だったからだ。

入学後に

成績開示を利用して分かったことで

自分でも驚いたのだが、

俺はこの進学校の中でもかなり

上の成績らしい……。


故に、俺は奴に負けない。。


ククッ。


武力と地位。

それから、知力をも俺が

奴を遥かに上回る事を

証明してやる。


学年一位を今回の中間でとることによって。


そうすれば、きっと

真美ちゃん…いや、その他の美少女達も

悪い夢から目覚める筈だ。


そして、

 

「「「なんで、私、景谷君なんかに気を許してたんだろ。

勉強もできて、喧嘩も強くて、社交的な

赤城君とは正反対の男なのに…」」」


と、まぁ真美ちゃんだけじゃない。

他の面子も、俺の事を気にかける事間違いなしだ。


中間考査一週間前まで俺は一生懸命努力する。そして、奴に言うんだよ。


「今回の中間考査でお前が負けたら

 彼女達とはいっさい会話をするな…」

とな。


俺が負けた時の条件は、何でもありにしときゃ食いつくだろ。


まぁ、俺が負ける訳がないけどな。


ククッ。

楽しみだぜぇ。

景谷!お前を叩きのめして

そして、お前のハーレムをなくす。

俺の計画は完璧なんだよ。



赤城風助は、ガリガリと問題演習をしながら

そんな事を脳裏に置きペンを走らせていた。















 


























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