第23話 水壁とショッピングへ!

「それでは、この文を訳してください。

 景谷くん。」


 「ここの、用法を…景谷くん。」


 「この………順列

  それから、確率は?

  景谷!解け!」


  ・     ・     ・


いい加減にしてくれ…。

遅刻の罰として、担任から

中間考査までの期間、全授業

あたり続けることに

なった訳だが、

俺は一体…何回教卓の前に立たされればいいんだ?


水壁も俺と同じ心境なのか、

テンションが凄く下がっている様に見えた。



無理もないだろう。


授業で間違えたら、理不尽にさらに

罰が与えられるんだから。


ホント、あの鬼担任

鬼畜すぎ…。


やけに、今日は静かな赤城達を

当ててくれ。


そう思いつつ3時間目終わりの

休憩時間。俺は必死に

次の現代社会の当てられそうなところを

しらみつぶしに、予想した。


「あの、景谷くん。

 良かったら、私のノートを。」


「助かるんだけど……

それ……

一限の現文の板書の奴じゃん。」


 「えっ。これじゃないんですか?」


はぁぁ。ダメだ。隣の席の夏目優奈は、

天然というか、悪く言えば馬鹿っぷりを発揮する。

      現代社会と現代文


これ間違える人初めて見たんだけど…。

"現代"しか共通してないんだけど…。


 「あっ、すいません。

  現代社会でしたね!

  私ったらてっきり、現文かと。」


 「………………。」


 「何か言ってくださいよ。

  あっ、そう言えばカラ…。」


 「夏目さん。

  今日の放課後にさー

  俺らと貝坂達を含めて

  三、四人で喫茶店いかね?」


 「あっ、私は……。」


はい!ご愁傷様です。

休み時間から2分後、、

彼女は、いつのまにか陽キャ達

二人に囲まれていた。


本来ならもっと多くの人が

よってくるはずなのだが、

今日は赤城グループが珍しく

静かにしているので、

人数はそこまで多くないっぽい。


まぁ、俺としてもそっちの方が助かる…。


周りに流されつつある彼女を横目で

見て、俺は予習に専念する。


自分の周りは騒がしいが

自分は眼中にも話題にも入ってない。


それが、何よりも嬉しく思えた。


        ・


俺の一応平和な学校生活を

一時乱されたのは

安藤玲が元凶だったが、

彼女には、学校では、むやみに

こちらに絡んでこない様

昨日のカラオケでの帰り道に頼み込んだ。


俺が必死に頼み込むと、

神室美沙や、藍川真美も俺の意見を支持

してくれ、

彼女も渋々、承諾してくれた。


クラス最底辺とクラスの高嶺の花。

そんな二人が、仲良くしようとすると

学校では俺の負担がでかすぎるのだ。


カオスな体験を一度経験したことからも

わかる事だ。

あんなに、大勢から

言い寄られるのはもうごめんなのだ。


俺は、ペンを走らせそんな事を思っていた。


 ♦︎♢♦︎


俺と水壁は、それからというもの

当てられ続け、、

なんとか授業を乗り切った。


一日目だけで相当な体力それから

精神力を大いに削られた。


これが後、一週間以上…。

 

地獄だろ…。これは……。


はぁぁ。と大きなため息をつき

終礼後に

俺は帰る支度を進める。

すると、誰かから

肩をトントンと叩かれた。


「すいません。

 私、役に立てなくて。。

 立場的に、景谷くんの方が

 大変なのに…

 逆に、私がノート見させてもらって

 助けられて。。」


「いや、気にしなくていいよ。」


  「ごめんなさい。。」


夏目優奈は、俺に申し訳なさを感じているのかもしれないが、、はっきり言ってそれは

杞憂だ。

 別に俺は、特には何とも思っていない。

だから、

彼女が気負いする必要はどこにもないのだ。


 「あ、あとそれから

  これ。藍川さんからです。」


彼女はそう言って、俺に小さな紙切れを

渡してきた。


 えっ。藍川真美から??

嫌な予感が……。


 「ありがとう。」とだけ言って

紙を受け取ってこっそり中をみると、


 2日後のデート、楽しみにしてる。

 これ私の連絡先。


連絡先とメッセージが書かれた内容を見て、

俺はげっと顔が引きつる。


藍川とのデート…。

そうじゃん。

水壁と約束したじゃん。

今朝に…。

遅刻の罰の事ばっかり頭にあって

すっかり忘れてた…。


くそっ。気分がだんだん萎えてきたぞ。。

 

「おーい。夏目さん。

 そろそろ行くよー!」


「景谷なんか気にかけなくて

 いいんだから。

 早くいこーよ。」


すでに廊下に出ているクラスメイト達から

声がかかり、彼女は教室を出て行った。


そのタイミングを見計らってか、

教室に残った人数が、二人になると、


あの男が近づいてきた。


「景谷くん。

 早速で悪いけど、

 デート準備で

 服とか、買いに行かない?

 それと、、教科書ガイドとか、さ。」


 「わ、わかった。」


嫌だったが、朝に約束を交わしたからな…。

それに、教科書ガイド…。

魅力的な言葉が聞こえたもんだから

俺はそう返事をした。


「そうと決まれば早速行こうか!

 景谷くん!」


そうにこやかな爽やか笑顔で言われ、

俺は背中をゆっくりと押される。


こいつ…。気分、変わりすぎだろ。

授業の時、死んだ魚の目してたじゃん。

それが、今はテンション高め。


水壁に関しては、よく分からん奴だ。


背中をゆっくりと押される中

苦笑いをしている俺と水壁は靴箱へと

向かうのだった。


♦︎♢♦︎


私の大好きな水壁君が…

最近変わってきてる。


原因は間違いない。

景谷だ。


景谷と話をしてる時

水壁君は、

凄く楽しそうにしてる。


私と毎日仲良く話を

水壁君はしてくれてたのに、

ここ2日では全く。


景谷…。

貴方は一体、水壁君に何をしたの!?


あら? 二人とも一緒にどこか向かうみたい。

これはつけるしかないわね。


♦︎♢♦︎


えっ?何か鳥肌が…。

き、気のせいだよな…。


景谷守、

ピンチの時が訪れようとしているとは

水壁、そして、景谷自身もこの時は

全く検討もつかないでいた。



















 


 





















  

   




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