第一章 ガリレオ衛星ステーションにて

ガリレオ衛星ステーション 其の一


 ガリレオ衛星ステーション……

 木星より千八百五十万キロ離れた衛星軌道を公転しています。

 このあたりは数ある木星の衛星もいないというのが理由です。


 ヴィーナス・ネットワーク・レイルロードの標準型ステーションで直径二十キロで球形をしています。

 多層構造になっており、中心部に巨大質量でもあるマイクロブラックホールによる、エネルギー発生装置があります。


 五万名を収容となっていますが、これは色々な設備が五万名分、即時稼働状態にあるという事です。

 植物生産工場、人造肉製造工場などなど……全て稼動可能な状態です、しかも標準型ですので学校もあればプールも一応あります。

 今のところは稼働の予定はなく、管理ロボットがいつでも稼動出来るように保守点検に努めています。


 千十七平方キロを占める最上階は都市となっており、天井部までは高さ一キロメートル、天井部は人工太陽照明で昼夜を調整しています。


 表層にはステーションが作られており、宇宙鉄道のシャトルが行きかうほかに、軍用のドッグも完備しており、このドックは三キロメートル四方の宇宙船までなら修理ができます。


 ドックの底は第三層までとどいており、小型の宇宙船は、そのまま都市部の下にある第二階にある整備工場へ運びこむ事ができます。

 またシャッターが各層に取り付けてあり、開口部を封鎖出来るようになっています。


 第二階は立ち入り禁止の軍事領域、高さ二キロメートル、ミリタリーヤードと呼ばれる小型の戦闘艇程度なら製造する工場もあります。

 小型といっても長さ一キロの円筒形、胴の直径は三百メートルありますけどね。


 木星大気を取り込み、素粒子レベルまで分解し、必要物質を再構成して素材を作り出し、ありとあらゆる軍用必要物資を製造します。

 陸戦ロボットも勿論製造できます。


 第三階は、高さ一キロメートルの非常用の居住空間、もし万が一戦闘となった場合、都市部の住民をここへ避難させて戦闘することになります。

 ここにも小さな軍需工場があり、コンバットと呼ばれる無人戦闘艇程度なら量産できます。

 メイン操縦室もここにあります。

 

 表層には各種のビーム砲などが隙間なく配置されていますが、さらにその上に防御バリアを張り巡らす事が出来ます。

 この防御バリアを展開する装置は第三層から伸びあがる物で四基あり、標準型ステーション全体をピラミッド型に覆います。


 なぜ第三層から伸びあがるのかと言うと、切羽詰まった場合、表層をノヴァとして吹き飛ばす事が出来るのです。

 膨大な敵に囲まれ、進退きわまった時の最終手段として敵を殲滅することが出来ます。


 このノヴァは第二層に対しても起こす事が可能で、そのために、表層や第二層を吹き飛ばしても、防御バリアを展開できるようになっているのです。

 ガリレオ衛星ステーションは第三層以下でも、軍事用として機能するように作られているのです。


 このノヴァは第三層、第四層でも起こすことができますが、さすがにそれをすると機能は大幅に低下します。

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