3-1
【3】
目覚める
――痛い。
ずきん、ずきん、と
――
ただでさえ、
隣で大きな
「おはよう~」
「おはようございます」
話すと喉の奥がひりひりして、思わず顔をしかめる。
「どうしたの」
「何でしょうか」
「今、変な顔したでしょ」
「いえ、別に。何でもありません」
「何でもないことないでしょ」
正面に回って
「うわっ!」
ノアは
――やっちゃった……。でも、うつしたら大変だし。
「ひどいなあ、何するのさ」
「私に近づかないでください」
「何で?」
「え? えーっと……嫌だからです」
起き上がりかけたノアが、再び
「何それ……。俺そんな
いじけた様子で地面に文字を書いている。
「
フォローする余裕もなく、サラはノアから離れて歩き出した。
「サラ、俺もう疲れたよー。
「まだ
また、いつ
――絶対に、この人とレガリアを無事に王都へ送り届ける。
まだ大して歩いていないのに息が上がる。背中がぐっしょり
「サラ」
振り向くと同時に、
「
ノアは自分の手と、サラの
「やっぱ熱あるじゃん!! 何で言わないの」
「熱なんてありません、ノア様の気のせいです」
「
「嘘じゃありません。これが私の平熱です」
「どこの世界に、こんな燃えるような平熱の人間がいるのさ。寒気は? 喉痛くない?」
「いいから、私に近寄らないでください」
はあ、とノアは
「ひゃっ!? 何するんですか」
「悪いけど、今は俺の言うことを聞いてもらうよ。確かに君はプロだけど、冷静な判断ができなくなってるからね」
「大丈夫ですから、降ろしてくださいっ」
「だーめ。まず大丈夫とか言ってる時点で、
ノアは言うと、ずかずかと
「方角だけ指示して。あとは寝てていいよ」
「お願いします、降ろしてください。ノア様にうつしたら大変なことに」
「何言ってるの、平熱なんでしょ? 風邪引いてないなら、俺にうつる心配なんてないよね」
肩越しに振り向き、
――怒ってる……。
どうやら完全にノアを怒らせてしまったらしい。断固として引く気はなさそうだ。
サラは指先で方向を示すと、ノアの背中でぐったりと
「……ごめんなさい」
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