第三部 縦横無尽のウォークラフト 予告

 第三部『縦横無尽のウォークラフト』は明空お当番回です、という予告。


 どえらいところでクリフハンガー!


「煩悩を抱いたのが間違いだった。一生不犯だ」

「……もしかしてあなた、童の貞? 江口ソープに行け!」

「ヨシ兄と律師さまが手に手を取って清水の舞台から飛び降りた?」


 預流の前を取り巻く平安ホモソーシャル関係は混沌を極めていた。


〝和泉式部〟!

〝伏見の里〟!

〝すずろにあらぬ旅寝〟!


「受領の恋人がありながら僧を惑わせ主上と賢木中将の目に留まるほどの……」

「式部卿宮の初草の君という話は?」

「それが破戒の尼で!? 属性盛りすぎか! 淫獣か!?」


 理性が脆く性欲がバカみたいに強い内裏の男どもによって、預流の前のイメージはあらぬ方向に盛られるだけ盛られた。


 その日。賀茂大神を祀る今斎院、先帝皇女、女六の宮・親子内親王は不思議なものを見た。


「比叡山に立ち上る煙がいつもより多いわ。火事なのかしら」

「斎院さま、あれは竈でご飯を炊いているのですよ。恐ろしいものではありません」

「まあ。でもいつもより多いわ」

「法会でもあるのでしょう」


 だがこれは紛れもなく不吉の兆しだった。

 世は徳治政治、自力救済の時代。僧兵を借りなければ喧嘩一つできないやつが山ほどいた。

 それを請け負う山賊未満チンピラ以上も山ほど。


「ま、まさかあなた陰陽道の秘術で強訴を巻き起こして」

「尼御前は法師陰陽師を何だと思っている?」


 洛中から明空のために比叡山に上った僧たちは十数人。

 過激な明空さまファンクラブが不穏分子を吸い寄せ、神輿を担いだ二百人の強訴勢となって駆け下りる。


「不動明王の忿怒、しかと伝えよ。これは御仏の霊験、功徳である!」


 それ、ラブコメなんですか?

 明空は一体何を考えて生きているんでしょう!


「荒法師に討ち入られて、少しは怖い思いをすればいい! 何もかも滅茶苦茶になればいいんだ!」

「お前の行い一つに幾人の命が懸かっているか。こんなときにわがままを言うな!」


 第三部『縦横無尽のウォークラフト』

 再来週、開始。


「権律師・明空の信仰が試されるのはこれからだ! 今後にご期待ください! みたいな?」

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