ふしぎな夢の続き

 朝。幼い娘を起こしに行くと、ベッドの上で寝ぼけ眼をこすっていた。

「ねえ、ママ。ふしぎな夢を見たの」

 なあに、と聞く。

「私は貧しい村娘だったわ。父さんが死んで、母さんと苦労して暮らしていたの。そしたら、森で王子様に出会って」

 それで? と促す。

「王子様に見初められて、お城で結婚式を挙げたの! 大勢の人が祝福してくれたわ。それで、可愛らしい赤ちゃんを産んだわ」

「まあ、とっても素敵なお話ね」

「うん。でも、夢だったの。また見たいなあ」

 私は娘をベッドから下ろした。

「じゃあ、夢の続きを体験しに行きましょうか」

 扉の向こう側から声がした。

「お妃様、王女様、お食事の準備ができております」

 はあい、と私は元気よく答えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る