5月
1.
授業後、第2校舎の3階の端
図書委員と言いながらも誰も来ない図書室の受付で本を読む事が好き。
顔をふとあげると外周をする陸上部と夏を教える新緑が目に映り
心地よい風を肌で感じ、1番好きな時期だと確信した5月の初旬。
野球部は甲子園常連
サッカー部はベスト4に毎年必ず入る。
吹奏楽部は昨年普門館銀賞、....その他諸々。
部活動が盛んな私立高校で、私は部活動強制入部というありえない規則に対し幽霊部員5割の天体観測部に入部し文化祭準備の期間だけ行くという青春の高校生活にもっともかけ離れた生活を送っていた。
楽な委員会に入りたいと決めた図書委員会は本当に楽というか
場所が場所で誰も来ない図書室だから図書委員の仕事は誰もしない。
私は仕事をするという名の至福の時間を味わう。
どうせ誰も来ない、気づけば私は毎日入りびたり仕事をしない他の委員の仕事を受け持っているような形になった。
「すみません、これ借ります」
いつの間に人が入っていたのか。
本のバーコードを読み取りながらチラリと制服を見ると1年生の青色のバッジ。
第一ボタンもきちんと留めて、緩ませずにきちんと結ぶネクタイに1年生の若々しさとブレザーの制服に着せられている馴染まなさを感じる。
「貸し出しカードに名前を書いてください。それから1週間以内に返却をお願いします...」
「あの、」
「え?」
声を掛けられ、思わず顔を上げる。
女の子が羨ましがるくらいの綺麗な二重の目と長いまつ毛。
かっこいいかはわからないけれど、綺麗な顔をしている人だと第一印象を受けた。
「天体観測部の二階堂世良さんですよね、僕天体観測部なんですけど。」
「は?」
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