箱根EP
箱根EP - 01 スタイル
「レイナさん、そろそろシャキッとしてください。今日は
午前4時。日が
「何があろうと眠いもんは眠い。あんたはいいよね、起きた瞬間からすぐ動けるんだからさ。
「普段は
そういいながらも、気まずそうにコーヒー(ほぼ牛乳)を口に運ぶ。きっと、昨日私の
「ノア、今の状態でスポーツ走行なんてできるのか?」
パパが新しくベーコンエッグを運んできた。
「正直、わかんないです。以前とはずいぶん
「慣れない状態であんまり
ノアはもうトーストを6枚も
「パパ、ごちそうさま。ノア、私先に準備してるからね」
「わたしもすぐ準備します」
「あ、レイナ!自分の食べた食器ぐらいは下げておきなさい」
「はーい」
私は皿とカップを
「レイナー!お前も
「わかってるー」
今日は私にとっては久しぶりの、そして二人では初めてのロングラン。軽く
少し遅れて
「どうしたのノア、早くしないともう45分だよ?5時には出ないと道こんじゃうって言ってたじゃん」
「あ、すいません。また万全の状態で走れる時が来るなんて、つゆほどにも思っていなかったものですから。新しいギア、かっこいいなって…」
「そのギアは私じゃ乗れないから、
「…そうですね」
ノアも多くはない荷物をささっと
「ノア、準備は大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「ふたりとも、気を付けていってくるんだぞ。何かあったらすぐ
「うん」
「わかりました、お父さん」
「じゃ、行ってらっしゃい」
エプロンをつけたままのパパがガレージのシャッターを開けてくれた。
エンジンに火を入れる。腰に
「おいおい、まだ朝早いんだから。エンジン
「あ、そうだった」
走行の主電源をバッテリーに切り替える。
「じゃ、いこっか」
「そうですね」
アクセルを軽く
「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
家の前の道に出る。ノアと
「東名のるのでいいんだっけ」
「そう考えていましたが、今日は天気がいいので富士山がきれいに見られるかもしれません。どうせ中央道の方が近いですし、中央道から富士山まで行って、そこから
「じゃあ、
「わかりまし――あっ」
赤信号、ノアがブレーキでつんのめってこけそうになった。
「ちょ、そんなんでほんとに大丈夫なの!?」
「違うんです、新しいギアのブレーキが想像よりはるかに
「ならいいけど…」
その後、青信号の発進で今度は後ろにひっくり返りかけたり、やっぱりフロントブレーキリアドライブっぽいなあと思いながら後ろをついていっていた。
しばらく走ると、あっという間に民家が少なくなり、
エンジンを
「これ右でいいんだよね」
「そうです」
「さあさあ加速!加速ですよノアさん!!」
「100㎞/hの
「私は全然大丈夫だけど、そっちは大丈夫なの?」
「…じゃあ、ついてきてくださいね」
「…え?」
前を走るノアの姿が、
「…ちょ、まじ?」
もう慣れたのか、さっき信号の発進で後ろにひっくり返りそうになっていたのはなんだったのかというほどのロケットダッシュ。ありえない。
もうかなり離れてしまったノアから通信が入る。
『レイナさん、どうしたんですか?なにかありましたか?』
「いや、速すぎじゃない?ついさっきまでこけそうになってたのに…」
『だいぶ”
今の
「いや、大丈夫。でも、次のサービスエリアでいったん
『わかりました』
高速に乗って最初のサービスエリアにはいる。ベルト類のゆるみを確認し、ギアの各部を軽く点検。ノアはこの寒いのにソフトクリームを食べていた。合流してからはさすがに130km/hでの巡航にしてもらった。高速巡航自体は別に
その後、富士山を
「私先導でいいですか?」
「いいよ。リアドライブがどうやって登るのか見たいし」
観光としてはオフシーズン、平日の午前中というのもあってか車通りはない。すっかり”走るモード”に切り替わったノアはブーツのバックルをさらに一段きつく
私はどちらかというとダウンヒルの方が得意だから、少し間をあけて後ろをついていく。
速度が100㎞/hに達した。ここから登りのつづら
「まさか…テールスライド⁉」
登りなのにタイヤを
もともとリアドライブは登りに弱いはず。上り坂ではただでさえ後ろに
しかし、ノアは
走りが
「おかしい…ここまでの技術をもってるならSPEEDSTARSに名を
帰りのダウンヒルでも、アスファルトの
お昼休憩で入った道の駅。いろいろと聞きたいことはあったけど、ギアを止めた次の瞬間にはフードコートに向かってかけだしたノアをみていると、なんだか大したことではないように思えてきた。
「ま、夜にでもゆっくり話聞こうかな。私もおなか減ったし。さすがに食パン一枚じゃ足りないよね」
「レイナさーん!お
「今行くから、ちょっと待ってよー!」
さっきの圧倒的な走行技術をもった少女と、目の前で蕎麦の食品サンプルに目を
「あれ?これ、ノアの分も私が払わなきゃいけないのかな…」
急にお
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