EP - 06 始動
「ん…」
特に急いで起きる予定があるわけでもないので、ぼーっとしながら白髪を
寝るという行為もノアにとっては
そんなノアもさすがに体の
そうそう、食事に関してはノアにも好き
カレー、唐揚げ、ラーメン、寿司はお気に入りみたいだったし、ハンバーガーみたいなジャンクフードも好んで食べていた。あとは甘いものも
白髪の毛先をくるくるいじって遊んでいたら、ノアがもぞもぞし始めたので抱き枕の
「あ、ノア、おはよう。体の調子はどう?」
ノアは2、3度、
「おはようございます…レイナさん。体調はばっちりです。この体にもだいぶ慣れてきたと思います。この分だと、もうそろそろ走りにいけるかもしれないですね」
「走る…って、飛脚⁉」
ノアと過ごす日常が新しい発見ばかりであまりにも楽しいから忘れかけていた。彼女はもともと、私と一緒にSPEEDSTARに出場するべく家族になったのだ。フッと体の
「あ、ちょうどいいじゃん!今夜ちょっと走りに行こうよ‼」
「いいですね、新型のギアの慣らしもしたいですし…あ、その前に一つお願いがあるのですが」
「なに?」
「実は、この体になってからどこを探してもネットワーク
「それに関しては、Ctシリーズから搭載しない形になったんだとよ。あと、おはよう二人とも」
「あ、お父さん。おはようございます」
「おはようパパ」
パパが私たちを起こしに部屋にやってきた。なんていうナイスタイミング…
「それで、どういうことなのですか?スタンドアロンとはいえ、私たち機械人は一応電子庁の新世代アップデートのほか、
「そうだよ、機械人はみんな回線につながらないと死んじゃうんじゃないの?」
「レイナ、別にそういうわけではないよ。ただ、Ctの場合は少し
「はぁ…つまり、今後ドライバのアップデートなんかは必要ないということですか?」
「そういうことらしい。しかも、中央コンピュータ群との直通回線を持たなくてもよくなったから、
「それってつまり、頭がいいってこと?」
「まあ、そういうことなんじゃないか?」
実行力の抑制。機械人は、
「それに、ノア、前の機体と比べて自分の体を
「そうですね、言われてみれば自分が直接ハードウェアにアクセスできなくなっているみたいです。あまりに自然に動けるので考えたこともなかったですが、よく考えたら機械人が食べすぎるのはおかしいですよね。いきなり眠くなってしまうのも…自分の体の状況を自分で
「ま、かわいいからいいんじゃない?」
「そうですかね、まあ…じゃなくて、お願いしたいことがあるんでした」
「なに?」
「さっきの話とも
「あ、そっか。ケータイいるよね」
「ケータイか。
「ありがとうございます。あ、あと
「お前のSAKURAに関してはお
「体も変わってるしギアも変わっているので
「ねえねえ、それって何馬力くらいでるの⁉」
「
「そこまででもないですよ?慣れてしまえばテールスライドはしやすいし、加速だってトラクションをかけやすいのでフロントドライブより
「そりゃお前がすごいからだろ、普通の人間はそうはいかんと思うが」
「さすがノア…リアドライブは一緒に走るの初めてだからどんな走りするのか楽しみ!」
「あ、そうだ。走りに行くなら
「あ!忘れてた‼」
「なにを?」
「SPEEDSTAR
「ああ、そうでしたね…私はあの状態でしたので、今期もどの種目にも挑戦できていません。
「私もあと2位分トップスピードアタックで
「まずいな、レイナはリミッターの
「体もギアも変わってしまいましたからね。しかもSPEEDSTARには長らく挑戦できていないので、ブランクは
「冷静になって考えたらまずいんじゃ…」
「レイナさん」
「何?」
「レイナさんはもう学校終わってますよね」
「そうね、一応もう休みには入ってるけど…」
「じゃあ、ロングランいきませんか」
「いきなり!?」
「いや、
「まじで⁉」
「キャンプ込みの
「おいおいノア、さすがに
「正直、
「ノア、それ、温泉はいりたいだけじゃないの…?」
「いえ、決してそういうわけではないですが…いや…はい。そうです。温泉というものに入ってみたいです…」
「正直でよろしい。ただし、キャンプは
「ということは、パパ、行ってきてもいいの?」
「せっかくギアも体も新しくして、レイナのやつだってサスペンション変えて、電源変えて、モーターもブレーキも変えてるんだから試してみたいと思うのは
「まじ⁉やったああああ‼いつ行く⁉今日⁉」
「さすがに今日は無理ですよ。免許の更新もありますから。しっかり準備して、明日の朝出発を目指しましょうか」
「いえ――い伊豆!!何食べる!?どこ行く!?なにあるんだろ…」
「盛り上がるのもいいが、とりあえず二人とも、ご飯を食べてしまいなさい」
「はーい」
「わかりました。レイナさん、後で少し
「おいおい二人とも、走るのが目的なんじゃなかったのか…?いや、まあ安全に行って帰ってきてくれればいいか。あ、ついでに一つ言い忘れてたが、一週間後、母さんが帰ってくるみたいだ。一応ノアは心づもりだけしておいてくれ」
「あ、やっと帰ってくるんだ。今回も長かったねえ…」
「どうせまたすぐ飛び出していくと思うけどな」
「あの、お母様はなにをやられているのですか?」
「ああ、言ってなかったな。母さんは、一応海外でいろんなレースの取材に回ってる、いわゆるレースジャーナリストってやつだな」
「6か国語くらいしゃべれるんだよ?私は全然わかんないけど」
「それで、基本的にほぼずっと海外にいるんだ。こうしてオフシーズンにたまに帰ってくるくらいだよ」
「なるほど…」
「あ、あともう一つ忘れてた。今度少し
「りょうかいー」
「わかりました」
「うし。じゃあ伊豆は
「はーい!」
「はい!」
やっと、やっとだ。忘れてたなんて言っても、体は覚えてた。エンジンの振動、サスペンションの
高ぶる感情を
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