EP - 02 邂逅
行きで思いっきりハッスルしてしまったので燃料とバッテリーの残量に遊ぶほどの
しかし、思い返してみると停車するならなにもあんな
飛脚ギアにはいろんなモノがあるけど、そのほとんどは
飛脚ギアはエンジンを積んでいるとはいえ、結局のところ足元のモーターに電気を流して走っている。ただのエンジンの故障であれば状況によりまあなんとか走って帰れないこともないけど、電気系のトラブルで煙が出ていたとなればそれはかなり危険な状況じゃないか?
考えれば考えるほど何かあったに違いないという結論に
現場に戻ったときも、その人はそこから一切動いていなかった。
「おーいそこのあなたー、大丈夫ー?」
遠くから声をかけても返事がない。
近くによってみると、それが少女であることが分かった。自分と同じくらいの歳だろうか。路肩にうずくまって動く気配はない。煙はだいぶ落ち着いていたけど、
ざっと周囲の状況を確認する。大きな
しかし、それでは少女から反応がないのはおかしい。少女はぼさぼさになった白髪を地面に垂らし、うずくまってしまっている。よく見ると髪の毛の先が少し
「ねぇ、大丈夫?ねぇってば…!」
少女の耳元で声をかける。事故をしたあとは外から見て一見何ともなくても、動かしたことによるショックで命の危機に
「このケーブルって...もしかして、
機械人の飛脚。記憶が正しければ、SPEEDSTARSによって飛脚業が
白髪の子のギアを見ると、サイドバックに確かにカモシカのロゴが。でも撤退したはずじゃ?しかも、私が小学生くらいのときじゃなかったっけ??
疑問は
機械人は数が圧倒的に少ないとはいえ、今や
「たのむよ…何も起こるなよ…私は人助けをしようとしただけなんだからね…」
とりあえず祈りながらおそるおそるケーブルを抜いてみる。すると、意外と簡単に抜けてしまった。
「おっ!…おお、抜けちゃった…」
そのまま少女の様子を観察する。しばらく見ていたが、なにも反応はない。問題はおこらなかったようだ。いや、問題は起きてしまっているかもしれないが、少なくとも外面上での変化はない。
見ていても仕方ないので、ギアから少女を遠ざけ、安全な場所に横たわらせる。
ギアを外したときによくよく見てみると、Kanade社のチューンドギアだった。あの型番はもうかなり前に
ただ横たわる白髪の少女の横でどうすることもできないまま、この少女の
「
「うおっ!びっくりしたぁ…なんだしゃべれるんじゃん。急に
少女が目を閉じたままなにか話し始めた。はじめは
どう考えても目の前の
「あーもしもし、パパごめん気が付かなかった」
「さすがに遅いぞレイナ。今どこだ?何かあったのか?」
「何かあったってもんじゃないよ、いろいろありまくりだよ」
「は?大丈夫なのか!?」
「えーとね、まあ、まず一つ目、新記録!は後でもいいんだ」
「はあ」
「きいて、R17の帰り、与野ジャンクションちょっとすぎたあたりで機械人の飛脚の子がギアから煙あげて止まってたの」
「機械人の飛脚か、もしかしてカモシカの?」
「どうもそうみたい。で、まわりに誰もいなかったから助けて今横にいる。反応はなくてなんかAsTeXのサービスマンがどうのこうのってそれしか言わないの」
「カモシカの飛脚はもう
「わかんない。周りに仲間みたいな人たちはいないし、ギアも普通じゃなかった」
「普通じゃないって?」
「Kanadeのチューンド。あの
「走り屋か。こまったな。その子はAsTeXがなんだって言ってるんだ?」
「ちょっと待ってね...これで聞こえるかな」
端末を白髪の少女の口元に近づけて、たっぷり2回分聞かせてあげた。
「なるほどなあ、無所属で、壊れちゃったら誰も助けてくれないだろうからせめて
「誰も助けてくれないってどういうこと?」
「
「それはさすがに...どうにかならないの?白髪の、私とおんなじくらいの
「わかってる。AsTeXはうちでも
「女の子の方はなんとかする。頑張る。でも、ギアまではさすがに無理だよ?」
「ギアの火は?」
「火は出てない。煙も落ち着いたっぽい。今は
「その分ならおそらく大丈夫だ。
「ちっちゃいのでいい?一応緊急用に入れてあったやつだけど」
「十分だ。ギアは明日朝イチで回収しておく。とりあえずなんとかその子だけ連れて帰ってきてくれ」
「了解、運び屋の腕の見せ所ってもんでしょ!」
「
「わかった!」
「気を付けてな、無理はするなよ」
「分かったって言ったでしょ!それより車よろしく!んじゃ!」
とりあえずこの子は助ける。そう決めた。
なんとか背負って
コントローラーは両手がふさがって使えないから、走行モードをシンクロドライブに設定する。これで
腰のストラップにつけたコントローラーがカチャカチャ音を立てている。空いた両手で支える背中の少女は想像より冷たくて、見た目のとの差に
「大丈夫、きっと大丈夫だから」
ゆっくりと、姿勢を
そういえば、ギアのシンクロドライブ技術は飛脚をやっていたヒューマノイドたちの協力によってアルゴリズムの
...それにしてもやっぱりちょっと重いなあ、なんて思ったのは
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