第2話

まぁ、そんな懐かしいことを思い出していましたが、

おつかいを頼まれていたので、まずは買い出しに行くとしますか。


商人のダンさんに会いました。


「おはようございます。」


「いらっしゃい。良い品が揃ってるよ!」


仕事中は真面目なダンさんですが、プライベートはよくしゃべるし、お酒が入ると面白い方です。


「昨日、頼ませていただいたのをもらいにきましたよ。」


「あいよ。」

テキパキと商品を袋に詰めて渡してくれます。


「またきておくれ!良い品を揃えておくよ!」


「ありがとうございます。」


お辞儀をして立ち去ります。色々と情報交換をしたいところですが、今日は忙しくなるでしょうから、早々に立ち去りましょう。


「執事だ…」


おっと、私が注目されてしまいましたか…


声の方向に顔を向けることなく、聞こえなかったフリで通りすぎましょう。


「…本当に異世界なのか…」


おやおや、私を見て異世界だと思われましたか


いつもはギルドにいるネコミミ受付嬢のキャシーさんを見て異世界に来たと実感する人が多いのですが…


まぁ、私が執事らしい格好で決まっているのでしょう。見た目からして執事らしいとは…喜ばしいことです。


さぁ、先ずは買い物した商品を持って領主の館に戻りますか


……

………

あれ、異世界に来られた方が付いてきますね?


ほとんどの方が冒険者ギルドに行って冒険者登録をされるのですが…珍しい方ですね。


…領主の館まで付いてこられましたね。話しかけづらいオーラを出してましたが、まさかここまで一緒に歩いて来られるとは…仕方ないですね。


私は領主の館に入らず、領主の門で振り返りました。


「どうされましたか?」


「あ、いえ、何でもないです。」


いやいや、何でもなければついてこないでしょ。


「何かお困りごとですかな?」


「え?あ!そぅ、そうです!困ってます。どうしたらいいですか!?」


………


いや、私が分かるわけないやろ!

質問アバウト過ぎるわ!


「…失礼ですが、色彩豊かなお召し物を着こなされていらっしゃいますが、貴族様でしょうか?」


「え?いや、貴族とかではなくて…」


「では、商いをなさっていらっしゃる?」


「いや、商売とかではなくて…」


「…失礼ですが、こちらは領主様のお屋敷でございます。何か身分を証明出来るものはお持ちでございますか?」


「身分証…そんなのいるんですか?」


「……身分を証明できなければ領主様のお屋敷にお招きすることは出来ません。

貴方様を街でお見かけしたことがありませんので、

旅人様なのでしょうか?

先ずは身分を明らかにする為に冒険者ギルドか、商人ギルドに行くことをオススメ致します。

身分証がなければ商店での買い物や宿に泊まることは出来ませんよ?」


「買い物!?

宿!?

そう…か…

そう…です…ね。

ありがとうございます。」


そういって、異世界に来られた方はペコリとお辞儀をされて、走り去られました。


さて、とりあえず私は仕事に戻りますか。


そういえば先ほどの方、

…何処にギルドがあるのか聞かれずに行ってしまわれましたね。


…まぁ、何とかなるでしょう。何せここは始まりの街ですから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る