武田信玄の殺し方(3)
会って四半刻では測りきれないので、半蔵に助言を求める。
「彼のスタンド能力は、何ですか?」
動揺しているのか、濃姫のように現代語口調に変換されている。
「人誑し。話せば確実に友達に成れる才能は、貴重です。自分も織田様も、藤吉郎を武将として働かせれば面白い事になると、乗った」
半蔵の推薦的褒め言葉に、藤吉郎のドヤ顔が嬉し泣きに歪む。
月乃「視線がエロいです」
更紗「視姦されただけで、中出しされた気分だよ」
バルバラ「神は偉大なので、常に藤吉郎の視姦から守ってくれます」
夏美「視姦には慣れているが、触ろうとするので難儀だ。殺したくはないのに。いや、殺していいか」
月乃「正当防衛よ。殺していいの」
更紗「釣りの餌に最適だよなあ、その無駄にデカい乳と尻」
バルバラ「やはりビッグセブンは格が違う。しーっしっしっしっ」
夏美「よし。次のお触りで殺す」
「この、感動している頃合いで言わんといてぇ〜」
藤吉郎の嬉し泣きに、悔し泣きが混じる。
光秀の方は、余分な情報には惑わされない。
「よし、分かった。朝倉家の用件は諦める。俺の面接順番を譲るから、調略の現場を見物させてくれ。君の才覚を直に見たい」
藤吉郎は涙を瞬間的に乾かし、野放図な笑顔で光秀に酌をする。
「話の早い方は、大歓迎です」
近所迷惑にならない範囲で賑やかに行われた酒宴を、出浦盛清は覚えている。
この晩、この宿に居合わせた者たちの中で最も長生きする事になる少年忍者は、濃姫に誘われて二階の酒宴に加わった。
「どうせ寝られないよ、君。一緒に、おいで」
願ってもない展開だった。
濃姫は、能天気に武田忍軍のホープを二階に上げた。
彼らが少年忍者に対して示した反応を、出浦盛清は覚えている。
夏美は、懐中の忍者刀を抜きかけて、思い留まる。
出浦盛清は、殺意を消しきれなかった未熟を恥じる。
精一杯、年上のお姉さんの迫力に怯える少年を演じる。
「イジメちゃダメだよ」
濃姫は、夏美に念を押す。
「はっ…」
夏美は、ジト目で出浦盛清をジロジロ見る。
何かを急かすように、ジロジロ見る。
「おーい、乳首ブルー。目線でイジメるとか、プロですね」
「いいえ〜。唇を奪う隙を窺っているだけですよ〜」
「嘘だ!!」
隠しても無駄な気がして、出浦盛清は名乗る。
「武田家に仕える、出浦盛清と申します。お屋形様の命で、竹中半兵衛に会いに来ました」
一同の動きが、二秒止まる。
バルバラが火縄銃に弾込めを始めようとして、濃姫に尾骶骨を蹴り飛ばされる。
「帰蝶の招いた客よ」
バルバラは、何事も無かったかのように、火縄銃を片付ける。
「あーいやー、熊か狼と見間違いまして。てへ」
バルバラは、誠意のない『てへぺろ』を盛清に向ける。
出浦盛清は、こいつらを殺すならこの女が先だと決めた。
更紗は、袴を脱いでシマパン態勢でファイティングポーズを取る。
「下柘植更紗、刃牙VS猪狩の名場面を、一人で再現します!」
更紗は、既に酔い狂っていた。
出浦盛清は、シマパンを初めて見た衝撃を忘れない。
「三河の松平家に仕える、服部半蔵です」
半蔵は、飲酒を中止して挨拶し、出浦盛清への対応に徹する。
出浦盛清は、服部半蔵と直に向き合って込み上げてくる激情を抑えて、挨拶を返す。
「どうも。出浦盛清です」
挨拶が終わると、半蔵は気不味そうに確認する。
「聞かれてしまいましたか?」
「聞いた」
お屋形様を過労死させる計画を聞かされて湧いた殺意が、一気に胸中に膨れ上がる。
「すまない」
半蔵は、目線を合わせたまま、口頭で詫びる。
「武田が滅びたら、旧武田の家臣は、三河で積極的に雇用するよ」
(この野郎〜〜〜〜!!!!!)
出浦盛清は、無理に見えないように笑って見せる。
「逆になるでしょう。しかし不愉快な策ですな」
出浦盛清は、笑い事にして苦笑する。
何せマジで反応すると、『武田信玄が病弱』という説を肯定したと受け取られる。
この半蔵の奇策が、武田がやられたら最も困るクソ戦略だと教えてやる筋合いは無いのである。
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