第3話 天使と不幽霊

 2週間後。


 季節は秋になって来た。


 新婚なのに何も干渉しない悠大と一緒に暮らし始めた嶺亜。


 そんな2人のところに突然居候としてやって来た、社長秘書の和也。



 口は悪くて上から目線の和也は、社長の悠大に命令口調。


 そして挑発的な態度て嶺亜に手を出そうとする。



 干渉しないを決めていた悠大だが、和也の行動にやきもきさせられ判らない感情が込みあがって来たのを感じた。




 

 2週間経過しても、相変わらず悠大は家でご飯は一切食べない。


 朝早く出かけてしまい夜は帰って来る早々部屋に入って、降りてこない。



 嶺亜とはほとんど顔も合わせない、会話もしない日々。




 時々、嶺亜が要件がありメールを送ってもたまにしか返事は来ない。



 悠大からの返信はいつも「分かりました」だけだった。



 

 生活費はいつも悠大が、リビングに封筒に入れて置いている。


 月に2回ほど、15万くらいはいっている。


 今日は休みで嶺亜もゆっくりと過ごしている。


 和也は昨夜遅くまで起きていたようで、また寝ている。



 悠大は起きていても部屋でこもっていて下りてこない。




 嶺亜は掃除をして洗濯をして、悠大のシャツのボタンが取れそうになっているのを見てボタンをつけなおしている。




 遅く起きてきた和也が、そんな嶺亜の姿をじっと見ていた。






 しばらくして和也が遅い朝ご飯を食べ始めた。



 休みの日の朝食はパンがいいと言って、トーストを焼いてもらい目玉焼きを焼いてもらった。



「わぁ、目玉焼きにハムまでついているんだ。嶺亜さんって、料理上手なんだなぁ」


「ずっと作っていましたから。サラダもあるので、食べて下さいね」



 和也は食べながら、ふと2階を見上げた。



 悠大は朝ご飯を食べていない様子だ。


 またコンビニで買ってきたのか?



 和也はそう思った。



 お昼を過ぎた頃。



 嶺亜は買い物に出かける為、準備をしていた。



「嶺亜さん、どっか行くの? 」


 和也がやって来た。


「ちょっと買い物にいこうと思って。食材買っておかなくちゃいけないし」


「へぇー。じゃあ、おれも一緒に行っていいい? 」


「え? 」


「俺も色々買いたいのあるんだ。でも、まだ給料もらってねぇし。ちょっと頼んでもいいか? 」


「そう、分かったわ」




 

 買い物に出かける時。


「ちょっと待ててくれ」



 和也は2階の悠大の部屋に向かった。






 悠大の部屋のドアをノックした。


「はい」


 ちょっと低めの声で返事があり、和也がドアを開けると。



 悠大はパソコンに向かって仕事をしていた。




「おーい、俺、嶺亜さんと買い物行ってくるけど。あんた行かないのか? 」


「仕事がある、行きたいなら勝手に行ってこればいい」


「ふーん。欲しい物ないのか? 」


「ない・・・」


「あっそ。じゃあ、俺行ってくるわ。嶺亜さんと・・・デートに! 」



 デート?


 仕事の手を止めて、悠大は振り向いた。



 和也はもういなかった。


 

「お待たせ、じゃあ行こうか」



 待っていた嶺亜と和也は、そのまま買い物に行ってしまった。





 残された悠大はまた、モヤっとした気持ちが込みあがってきた。



 机の上の写真縦を手に取る悠大。



「・・・サキ・・・一樹・・・」



 見つめている悠大だが、何故か以前のような気持が沸き上がって来ない事に気付いた。



(なにしてるの? もう、ここにはいないよ)



 不意に悠大の耳に声が聞こえた。



 ハッとして振り向くが誰もいない。



「気のせいか? 」



 もう一度写真を見てみる悠大。



 写真で笑っているサキと一樹。


 だが何となく、その笑いが作り笑いに見えてきて・・・。



 目頭を押さえた。



「疲れているのだろうか? 」



 深呼吸をして、悠大はベッドに寝転んだ。




 天井を眺めると、サキと一樹が亡くなった事故の時を思い出した。



13年前。


 悠大が忙しく仕事をしていると、携帯電話が鳴った。



 電話に出るとサキと一樹が車に引かれて救急搬送されたとの事。



 悠大は急ぎ足で病院へ向かった。




 しかし悠大が駆けつけた時は、サキも一樹も既に死亡してた。



 買い物に出かけた時、横断報道を渡ってたサキと一樹に車が突っ込んできた。



 サキと一樹を引いた車はそのまま走り去った。 



 車は乗り捨ててあり、運転手は13年経過した今でも見つからないままでひき逃げ事件は迷宮入りしている。



 サキは頭を酷く怪我して出血多量でなくなった。


 一樹は胸を強打して肺が破裂して亡くなった。




 朝は「行ってらっしゃい」と元気に送り出してくれたサキと一樹。



 一樹はようやく2歳になったばかりで、来年から幼稚園に行く予定になっていた。




 幸せな生活が一転して、悲しみに包まれてしまい・・・


 悠大は二度と人を好きにならないし、結婚なんてしないと決めた。


 もう、あんな悲しい思いは二度としたくないと思ったからだ。




 嶺亜と結婚しても初夜の日は、サキと一樹の写真を見つめていた悠大。



 だが・・・


もやもやした気持ちで、悠大は1階に下りて行った。




 リビングに行くと、嶺亜がボタンをつけなおしてくれた悠大のシャツが置いてあった。



 シャツを手に取ると、綺麗に洗濯してあり襟元もちゃんと綺麗になっている。


 とれかけていたボタンも綺麗につけなおされている。



 キッチンを見ると、綺麗に片づけてあるのを見て、悠大はなんとなく安心感を覚えた。



 サキが生きている頃は、キッチンはいつもピカピカで、食器もきれいにしまってあった。


 

 帰って来ると夕ご飯が出来ていて、帰りが遅くなると一樹は先に寝ていても、サキはちゃんと起きていて待っててくれた。



 

 お風呂場も綺麗に掃除してあり、トイレも綺麗にいつも掃除されていた。




 サキが亡くなってから、殆ど掃除をすることもなくたまに悠大が掃除していた。




 嶺亜と結婚して2週間だが。



 嶺亜もサキと同じように、キッチンは綺麗にしてくれているし、食器も綺麗に片づけてくれている。


 お風呂場も、トイレも綺麗にしてくれていて。



 文句なんて何もない。




 嶺亜の顔を見たのは・・・



 結婚式の時だけ。



 綺麗なウェディングドレスに身を包んで現れた嶺亜。



 その時。


 悠大は正直驚いた。



 誰でもいいと選んだ相手が、想像以上に綺麗な女性で。


 まるで天使が来てくれたようで、何も感情はないと思っていたが。



 嶺亜を見たら判らない感情が込みあがって来たのを感じた。



 しかし、そんな気持ちを認めてはいけないと思った悠大は無理やりしまい込んだ。




 嶺亜を見ないようにしているのは・・・



(あんた、まだ素直にならないの? )



 また声がして悠大は振り向いた。



 しかし誰もいない。



「なんなんだ? 空耳か? 」



 一息ついて、悠大はソファーに座った。




(嘘つき男は嫌われるよ)



 また声がした。


 周りを見渡しても誰もいない。


 また空耳かと、悠大はため息をついた。




(ためいきついて、いつまで悲劇のヒーロー演じているわけ? )


 

 またか・・・


 悠大は自分が相当疲れているのだと思った。



(ねぇ、顔上げてよ。・・・ちゃんと、前見てよ)



「全く・・・なんなんだ? 」


 と、悠大が顔を上げると・・・。



「えっ? 」



 悠大が顔を上げると、そこには写真縦の写真に写っている髪の長い女性がいた。


 写真のままの姿で、服も紺色のティーシャツに白いジーンズ姿。



 悠大は目をパチクリさせた。



「なに? もうお昼過ぎているのに、まだ目が覚めない? ずっと部屋にこもって、パソコンばかりやっているから? 」



 悠大はじっと目の前の女性を見つめた。



「お前・・・誰なんだ? 」


「え? 嫌だぁ。もう忘れたの? 私の事」


「まさか・・・サキなのか? 」


「そう、覚えてくれていたのね? 良かった」



 信じられない顔をしている悠大に、悪戯っぽく笑うサキ。



「何驚いているの? あんたが、いつまでも離してくれないから。私、成仏できないままなんだけど」



「何を言っているんだ? もう、13年もたっているんだぞ」


「そう、13年もたっているの。それなのに、いつまでもあんたは前を見ない。確かに愛する人が居なくなれば、悲しいわよ。悲しみが簡単に癒されない事も、知っているわ。でも長すぎでしょう? あんたが離してくれないから、不幽霊みたいにここに引き止められているの。分かる? 」


「私が、お前を引き止めていると言うのか? 」


「そうよ、どんな形で死んでも。それは、私が決めて来た事。もう、人生を全うしているの。13年も引き止められているんじゃ、次の人生楽しめないじゃない? だから、もういい加減に離してほしいから。こうして、あんたの前に出て来たの」



 サキはふーッと一息ついた。


「ちょっと待て、私には意味が解らない。死んでいる人間が、現れるなんて・・・幽霊も見たことがないのに・・・」


「普通の人間なら、ありえないわよ。でもね、私、天使の家系なの」


「天使? 」


「そう、遥大昔に天使って実在していて。人間と仲良く暮らしていたようよ。でもね、人間は欲が深くなり天使は、そんな人間に嫌気がさして羽を使ってずーっと上の世界に天使だけの世界を作ったの。全ての天使は、そこに移住してしまい地上には人間しか残らなかった。…筈だったんだけど…。天使の中には、人間に恋しちゃった天使もいて。そのまま地上に残った天使もいるの。人間と天使のハーフもいれば、純潔な天使の一族もいて。今ではだいぶん薄くなっているけど。こうして死んでから、姿を現すことができるの」



 まるで、おとぎ話しを聞いているようで。


 悠大は驚きすぎてポカンとなった。



「驚く話だけど、私もそろそろ成仏したいの。だから、あんたに自分に正直になってもらわなくちゃ困るわけよ」


「私はいつでも自分に正直だが? 」



 サキはじーっと悠大を見つめた。



「バカね、自分に正直な人が。そんな目をしている? 」


「はぁ? 」



「ねぇ1つ聞くけど。あんた、再婚した彼女の事。本当に愛していないの? 」


「何を言い出すかと思えば。再婚は、適当にしただけだ。愛などない」


「ふーん、そうなんだ。じゃあ・・・」



 サキは悠大を見てニヤリと笑った。



「彼女が死んじゃっても、いいのかな? 」


「死ぬ? どうゆう事だ? 」



 サキはクスっと笑った。



「だって、愛していない人でしょう? 適当な結婚相手で、何も干渉しないなら。いなくなっても、別にいいんでしょう? 」


「誰がそんな事を言っているんだ? おかしなことを言うな! 」


「だって・・・彼女がかわいそうだわ。あんたの為に、作っているご飯も食べてもらえない。顔をも合わせてくれない。話しもしてもらえない。これじゃ、何のために結婚したの? 」


 と、サキは悠大が持っているシャツを指さした。



「それ、ボタン付け直されているでしょう? 」


「ああ」


「彼女、お裁縫苦手みたいよ。何度も針で指刺していたし。きちんとアイロンまでかけてくれて。あんた一人じゃ、そんな事できないじゃない? 何にもできない人だもん、あんたは」


「その通りだが・・・」



「そんな仕打ちするなら、彼女の事連れて行こうかって思っているの。それか、別の男に引き取ってもらおうかと思っているわ」



 別の男と聞いて、悠大は真っ先に和也を思い浮かべた。


「そ、それはダメだ! 絶対にダメだ! 」


「なんで? だって、愛していないんでしょう? 別にいいじゃない、他の男に渡しても。彼女まだ若いしね」


「ダメだと言っている! 」


「なんでよ! あんたが相手しないんじゃ、いつか他の男のところに行っても、文句言えないよ! 」



 そう言われると、悠大は黙ってしまった。



 サキはやれやれと、ため息をついた。




「あんたさぁ、私に良く言ってたよね? 自分に正直になれって」


「ああ、そうだが」



「あんたが今苦しいのは、自分の本当の気持ちに嘘ついているからよ」


「自分に嘘? 」


「そう、早く気づかないと大変な事になるよ。ライバルもいるわけだしね」



 カチャッ。



「はぁ~随分買ったなぁ」


 和也と嶺亜が帰ってきた。



 サキはサッと消えた。


「あ・・・」



 悠大が驚いていると。



「ん? なんだ、あんたいのかよ」



 和也が嶺亜と一緒にリビングにくると。


 悠大は2人が一緒に姿を見て、何故かもやっとした。



(自分に嘘つくな・・・)


 サキが言った言葉が頭によぎった。




 和也と嶺亜は買ってきた食材を冷蔵庫に入れた。



「あ、これは今日の夜に使うから。このまま出しておくから」


「有難うございます。じゃあ、私はトイレットペーパー置いてきます」



 嶺亜はそのままトイレに向かった。




 悠大は和也をじっと見た。



「ん? なに? 」


 見られている事に気付いて、和也は悠大を見た。



「あ、いや・・・。随分買い込んできたんだな」


「うん。1週間分買い込まないと、仕事があるからって嶺亜さんが言うから。そんでもって、俺の必用品も買ってもらったし」


 と言いながら、和也は買った新しい下着を見せた。



「お、お前。そんなものまで買ったのか? 」


「ん? だって、これって必要品じゃん。俺のパンツ、結構古くなってたし。シャツも古くなってたからさぁ。嶺亜さんが選んでくれて、センスいいの買えたぜっ」



 嬉しそうな和也を見て、悠大はまたモヤっとなった。


そんな気持ちのまま、悠大はトイレに向かった。





 トイレでは嶺亜がトイレットペーパーを入れ替えて、きちんと整えていた。




 嶺亜が振り向くと悠大がやって来た。



「あ・・・」



 振り向いた嶺亜と目と目が合うと、悠大はドキッとした。



 2週間ぶりに嶺亜の顔を見た悠大は、ちょっとだけ嶺亜がほっそりした事に気付いた。


 そして・・・嶺亜の目を見て、何か違うと感じた。



「ごめんなさい、トイレットペパーを入れ替えていたんです。もう終わりましたから、どうぞ使って下さい」



 優しい笑みを浮かべて嶺亜は言った。



 何で笑ってくれるのだろう? あんなに冷たい態度をしているのに・・・。


 悠大はちょっとだけ罪悪感を感じた。




 

 

 しばらくすると。


 悠大は自分の食材を買いにく為に外出した。


 家で食事はしないと決めた悠大は、いつもコンビニやスーパーで総菜を買っている。


 だが・・・





 コンビニの前に来た時、ふと、嶺亜が食材を買い込んでき来ていたのを思い出した。


「あの食材の中に・・・私の分は、あるのだろうか・・・」



 いつもいらないと言っている悠大。


 どうせ用意されていないだろうと思った。



 少し迷った悠大だが、嶺亜にメールを送ってみた。


(お尋ねしますが。私の分も夕飯はありますか? )


 作成した文面を見て、悠大はちょっと違和感を感じながらもメールを送信した。



 

 しばらくするとメールが届いた。


(んなもん、あるわけねぇだろ! )


 と返ってきた。


 文面から見て、悠大は怪しいと感じた。


 誰が送ったのかはピンときた。





 そのまま悠大は何も買わずに帰宅した。 

 

 

 家に帰る頃には18時を過ぎていて、夕飯の支度がされていた。




 食卓には作られた夕飯が並んでいる。


 今日は和也がリクエストして、鶏肉の唐揚げと魚のフライ、そして大根の煮物と野菜サラダが並んでいる。



 炊き立てのご飯を和也がお茶碗についでくれる。



「和也君ありがとう。ごめんなさいね、手伝ってもらって」


「気にすんなよ。休みの日くらい、手伝って当り前じゃん。いつも姉ちゃんに作ってもらってんだからさっ」



 

 テーブルについて、2人が食べ始めた頃、悠大が帰ってきた。


 リビングにやって来た悠大は、食卓に並んでいるおかずを見るとお腹がグーッと鳴った。



「ん? あれ? 何も買ってきてねぇの? 」


 手ぶらで帰ってきた悠大を見て、和也が言った。



「あ・・・なんだか知らないが・・・その・・・売り切れていたんだ。それで・・・」



 どこかごまかしている悠大を見て、和也はクスッと笑った。



「ふーん。そんな事あるんだ。じゃあ、今日は姉ちゃんが作ったご飯。食べるしかねぇなぁ」



 食べたいと言いたい悠大だが、今までずっと食べなかった事から、上手く返事が出来なかった。




「どうぞ、こちらに座って下さい」



 嶺亜が椅子を引いてくれた。



「今、ご飯つぎますね」



 食器棚から悠大のお茶碗を出して、ご飯をついでくれる嶺亜。



 悠大はなんとなく気恥ずかしそうに椅子に座った。




 和也はチラッと悠大を見た。



「どうぞ、このくらいの量でよかったですか? ご飯」



 嶺亜が茶碗を傍に置いて尋ねると、ちょっと恥ずかしそうに悠大は頷いた。



 悠大はおかずを見て、どれから食べようか迷ってしまった。


 沢山おかずがあり、どれも美味しそうに見える。


悠大が迷っていると、和也がお皿に唐揚げと魚のフライを取ってくれた。



「これ、すげぇうめぇから。食ってみろよ、店で買うよりずっとうめぇから」


 

 ちょっと複雑そうな顔をして、悠大は食べ始めた



 唐揚げを一口食べて



「あ・・美味しい・・」


 いつも店の出来合いの物ばかりたべている悠大は、手作りの唐揚げは久しぶりでとても新鮮だった。


 魚のフライも、大根の煮物も、野菜サラダも。


 どれもがとても美味しくて。


 食材だけじゃなく。


 きっと・・・・


 誰かと一緒に食べる事が嬉しいのだと、悠大は気づいた。




 そんな悠大をチラッとみている和也。



 食事が終わると、嶺亜がなしをむいてくれた。



 甘くてとてもおいしくて、愛想がなかった悠大の表情がゆるんだ。





 洗い物をしている嶺亜を悠大はじっと見た。


 サキと重ねるわけではないが、嶺亜の後ろ姿を見ていると安心感が湧いてくるのを感じた。



 

 ソファーに座ってテレビを見ながら、和也は悠大の様子を見ていた。


「ふーん、ちょっとは気にしているんじゃねぇかよ。・・・もっと素直になれよ・・・」


 ボソッと和也が呟いた。





 この日をきっかけに、悠大は家でご飯を食べる回数が増えてきた。



 遅くなるとついつい買ってきてしまうが、それでも嶺亜は悠大の分まで作ってくれている。



 次の朝まで残っていると和也が「もったいない」と言って食べていた。




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