第27話
次の日から、ほのり達は本格的にエスポワールの兄弟を探すことにした。
ちなみに、ほのりと雪斗に許された期間は一週間で、それまでに教会に戻らなければならない。
教会は勇者たちの行動をこまめに把握している必要があるし、二人のスキルの実力を定期的にチェックしたいからだそうだ。
「さて、まずこの島の大きさと地形を把握しないとな。あと行ったら危険な場所も」
「ガイヤさんはまだいい人だったから良かったけど、急に切りかかってくる人もいるらしいからねー」
ほのりはエスポワールの方を向いた。
「エス様は何かこうした方がいい!というのはありますか?
なんでも思いついたことはおっしゃってくださいね」
ほのりはエスポワールが昨日から全然話さないことを気にかけていた。
元々無口な性格ならいいのだが、ほのりには雪斗とほのりに気を使って黙っているように感じたのだ。
「いや……特に」
エスポワールはそう言ってうつむいたが、数秒後、バッと顔を上げた。
「あの!」
直後言ったのを後悔するようにエスポワールの目が泳いだ。
「大丈夫ですよ。言ってみてください?」
ほのりは励ますようににこっと笑う。エスポワールの表情が明るくなった。
「この島の
「長?」
「はい、もし僕の兄弟が捕まっていたら、きっとこの島の長か、それに近い地位の人しか居場所をしらないと思うので」
「そうだね!トップの人も探しておこう!」
「はい!」
「あのさ……」
ほのりがエスポワールと話していると
「」
雪斗とエスポワールがこれから向かう場所を具体的に決めている間、ほのりは必死にストーリーを思い出していた。
どんなシーンでもヒントになるかもしれないと、脳みそをフル回転させる。
(勇者は修行を終えた後、修行の成果を確かめに魔物を狩りにいった。
んで、その間にちょっと騒動があって、勇者は急いで国に戻る。そこで攻めてきたやつのトップを倒すときにレベルアップする……。
雪斗は一応修行終わったし、ここら辺の出来事が一番参考になるかな)
問題はエスポワールの兄弟の情報が含まれているかどうかだ。
登場人物の詳しい情報を思いだそうと、もう一度整理して考える。
(えっと、味方サイドは勇者とか聖女とかで、敵サイドは……)
ぼんやりと姿を思い出す。
(筋肉質のガッシリとした体型で、何回か名前も出てた……。
そうだ、確か名前は…………ガイヤ)
「………っ!」
「どうした?顔色が悪いが、どこか具合でも悪いのか?」
雪斗が心配そうに話しかけた。
ほのりにその問いに返事をする余裕はなかった。
(どうする!?このことを伝えた方がいいのか?将来サラストム国に反乱するトップの人の家にいるって。
でもこれはエスポワールの兄弟に関係あることなのかな?それにもしこの国の長なら、どうしてこんな浜辺の近くにいるの?普通は島の中心とかにいるんじゃ……。私の記憶違いかもしれないし……!)
「ほのり?」
「あっ、いや、あの」
(どうしよう!?言っておいた方がいいかな、やっぱり一度)
「あのね、」
コンコン。
ほのりが話すのと同時にドアのノックオンが響いた。
三人はピタリと固まる。
「どうぞ」
雪斗が言うと、ドアがガチャリと開く。
そこにはマリハが立っていた。
「ねえなに話してるの?
あたしもまぜてよ」
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