第22話
「匿うってどういうこと?」
男の子が答える前に、ドタドタと複数人の足音がほのりたちの部屋に近づいてきた。
男の子はそれを聞いて怯え、慌てた。その様子を見たほのりは、とりあえず男の子を自分の布団の中に隠す。
それと同時に病室の扉が勢いよく開けられた。屈強な男達が3人部屋の中に入ってきた。
「この部屋に男の子が入ってこなかったか?」
唐突にリーダーっぽい人がそう聞いてきた。
「知りませんよ。急になんですか?」
ほのりはできるだけ素っ気なく返事をした。
「隠してるんじゃないだろうなぁ?」
そう言って別の男がほのりに詰め寄る。
「あの、勝手に部屋に入ってこないでください」
雪斗が低い声で言った。
「てめえは黙ってろ!」
そう言った男をリーダーっぽいの男が止めた。
「おいちょっと待て!
ここってもしかして………勇者様の部屋では?」
雪斗は呆れ気味に肯定した。
「そうですが?」
男たちは全員頭を下げた。
「申し訳ありません!
勇者様の部屋とはつゆ知らず……!」
雪斗は謝る男たちをどうでもよさそうに眺めた。
「それで、どうして男の子を探してるんですか?」
「 それは……」
男は言いにくそうにどもった。
「なんで?」
雪斗はもう一度聞いた。
しかしその声は、前回尋ねた時よりも威圧的だった。
男はビクッとして、理由をぽつぽつと話し始めた。
「この国は1年前王様のせいで、魔王軍に襲われた。
それで王様は処刑になったんだが、皇太子が内緒で逃がされていたんだ。俺たちは王様と一緒に処刑されたと思っていたのに……!
もしかしたら、その皇太子をもう一度国のトップに立てて、魔王軍は今度こそこの国を乗っ取るつもりなのかもしれない。
だから、そうなる前にその子供とっ捕まえて……」
男は言葉に詰まった。だが数秒後、意を決して言った。
「とっ捕まえて、殺しちまうんですよ!」
ほのりの布団の中で男の子はびくりと体を震わせた。
(もしかしてこの子が……)
ほのりは男の子を安心させるように撫でた。
「なるほどな。
うーん、この部屋にそんな男の子は来ていないな……。
悪いが力になれそうにない」
やや棒読みに、雪斗はそう答えた。
「そうですか。わかりました。
お邪魔してしまってすみませんでした!」
男は最後に勢い良く礼ををすると、他の人を連れて部屋を出て行った。
男たちの足音が聞こえなくなった後、雪斗はほのりの布団を覗いて言った。
「さてお話を聞かせてもらいましょうかね、皇太子様?」
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