第19話
(梨奈サイド)
「無事でよかった!!!」
「お父様!」
私が屋敷に着くと、お父様が私を見つけて、駆け寄ってきた。
「今までどこにいたんだ?心配したんだぞ」
「・・・またさらわれていました」
言いたくはなかったけど、隠してもいずれバレることになるだろうから、素直に話す。
「でもどうやって抜け出せたんだ?」
「ある女性が助けてくれました」
「その女性は何者なのか?」
「わかりません。ただ、恐ろしく強かったです。拳銃を持っている相手にも怯まず、素手で返り討ちにしていました」
「それが本当だとすれば凄まじいな。しかし、なぜ彼女は梨奈を助けてくれたのか。偶然居合わせたってことはないだろう」
「偶然ではありません。彼女になぜ助けたかと聞くと、おかしな答えをしただけで」
「おかしな答え?」
「はい。愛している男に頼まれたと」
「まぁ理由はなんにせよ。無事でよかった」
「そういえば空はどこにいるの?」
「あの男ならお前を探しにいくと言ったきり、まだ帰って来ていない」
「そうですか・・・」
私はは湊からスマホを借りて空に連絡を取るが、応答はない。
「あのばか、電話はすぐ出るように言っておいたのに。・・・早く帰って来なさいよ」
夕暮れ染まる空が爛々と光る星々に覆われるまで梨奈はベンチに座り、空の帰りを待つ。
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(空サイド)
あるビルの一室で着信音が鳴り響く。
空はスマホが鳴っているが無視して続ける。さっき梨奈を助けたとの連絡があったからおそらくこの着信は梨奈からの電話だろう。
「もう情報はないのか?」
「・・ああ、もう知っていることは何もない。情報は吐いただろ。だから逃がしてくれ」
「わかってる」
俺はそういうと男が縛られている縄を解く。
「あ、ありがたい。じゃあ、俺はこれ・・で・・・」
「どうして・・・話が違うだろうが」
「ちゃんと逃がしてやっただろうが。ただ命は逃がさねぇってことだ」
「そんな・・・」
「あーあ、服がこんなにも汚れちまった。クリーニングで落ちればいいんだがな」
俺は数人の死体を横切り、歩く。
こんな姿は見せられないな。
特に陽に当たり素晴らしい日々を送っているような人たちには。
俺はスマホを取り出し、電話をかける。
「よう、仕事は終わったか?」
電話から陽気な男の声が聞こえてくる。
「終わったけど、俺が行く必要あったのかよ」
「まぁそういうな。こっちだって人手が足りてないんだよ」
「じゃあ、他に雇え」
「そう簡単にできる仕事ではないことはわかってるだろ」
「そういう人材を育てるのがお前の仕事だと思うけどな」
「ちっ、うるせぇな。ガキが知った風なことほざいてんじゃねぇよ」
「相変わらず、口が悪い奴だな。もっとましな大人はいねぇのか」
「口が悪いとかお前に言われるのが一番腹がたつな。まぁいい、それより引き続き堂本梨奈の護衛任務まかせたぞ」
「ああ」
電話を切り、星空の輝く夜空を見上げる。
また、明日からあのじゃじゃ馬お嬢様の護衛だ。
俺を退屈しない日々を願っている。
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作者から
これで一章は終わりになります。
次の章からあたらしい登場人物を結構出す予定です
それと空の身元など少しづつわかってきます。
一章はこれからたくさん編集していくと思いますので、再度読んでくれると嬉しいです
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