第14話


「誰も借金はなかったですって!」

「はい。あらゆる手で調べましたが誰一人多額の借金をしている者はいませんでした」

「じゃあ、犯人は誰なのよ・・・」


次の日の朝、湊と梨奈が俺の部屋にやってきて、事件のことを話す。


「借金がなくても急ぎの大金がいるやつとかはいなかったのか?」

「はい」


 こんな大それたことを動機もなしに行動に移すとは思えない。

 だがらといって、外部犯ってのも考えにくい。屋敷の門には監視カメラがあるがその夜は誰も映っていなかったそうだしな。

 それに誰にも気づかれず侵入して壺を盗めるほどここのセキュリティはあまくはない。


「まぁ気楽にいこう」

「あんたが一番危機感を持ちなさい!」

「そう言われてもな、俺の鳥頭で考えたところで解決できるとは」

「馬鹿なら何でもいいから犯人につながる物を探しなさい。探すだけなら馬鹿でもできるでしょうが!!!」


その後、怒り心頭の梨奈の命令でコレクション部屋など関係がありそうな所を隅の隅まで調べさせられた。


しかし、何か見つかったわけでもなく、その日の捜査は打ち切りとなった。










その日の夜、



「おっさん、入るぞ」

「なんだ貴様、ノックもなしに。お前の入室など認めん。さっさと部屋へ戻れ」

「まぁそういうなよ。壺の件だ」

「何?貴様犯人がわかったのか」

「ああ」

「わかった。なら入れ」


おっさんの部屋に入る。

適当な椅子に座った。


「貴様勝手に座りやがって、それで犯人がわかったそうだな。言っておくが貴様が犯人を外した場合、即この家から出て行ってもらうからな。もちろん、ボディガードも解任だ」

「わかってる」


耳にタコができるほど聞いたよ。

事件以降おっさんと会うたびに言われ続けたからな。


「じゃあ今回の事件の真相を語ってやるよ」


そうして俺は事件について話し始める。


「今回の事件はおっさんのコレクションの一つの壺が割られていたって事だが、それは違う」

「違うだと?」

「割れていたのは別の壺だ。あんなにも粉々に割れていたのは壺が偽物だとばれないため。あたかも本物が盗まれていると思わせるためにな。壺を鑑定すれば偽物だとすぐにわかるだろうよ」

「思わせるため?私の壺は盗まれたのではないのか?」

「盗まれてない。犯人は本物を盗んだと俺達に思わせるように仕向けたんだ。偽物の壺を割ったのもそのためだ」

「つまり壺は割れてもいないし盗まれてもいない。どういうことだ?」


「しらばっくれるのはやめようぜ。この事件を起こしたのはおっさんだろ」

「まさか、私がこの事件を起こした張本人とでも言うのか。馬鹿馬鹿しい。なぜそんなことをせねばならん」

「俺を梨奈のボディガードから外すためだろ。俺が犯人だと思わせることが出来れば、責任を取らせてボディガードは辞任。別に犯人でなくとも、何か理由をつけて辞めさせるように仕向ければいい。犯人を見つけることが出来ないならクビってな」


皿が割れていたのはおっさんは知っていたはずだ。なぜなら皿が割れてから昨日までおっさんに報告がいっていないことがおかしい。割れたのは報告する二日も前だぞ。

 もしおっさんが家にいないとしても連絡くらいしているはずだ。


「俺が皿を割った犯人であることも知ってたんだろ。ただ自身に少なからず非があることも理解していた。壊れるかもしれない場所に飾っていたんだからな。その辺を梨奈にそこの所をつかれることは予想してたんだろ。前も同じことをおっさんに注意したことがあるって言ってたからな。だから皿を割ったってことだけでは足りないから犯人捜しっていう難題を吹っ掛けたんだろ。まるで譲歩しているようにな。条件付きであれば梨奈を納得させられるって考えて」


梨奈はおっさんの思い描いたように動いたからな


「梨奈は本当に大事な一人娘だ。どこぞの馬の骨ともわからんやつに任せられるわけがないだろ」

「だからって方法が回りくどいんだよ」

「そうでもしなければ貴様をやめさせれない。私が何度梨奈に別の護衛にしろと勧めたことか」


「だがあの娘は貴様でなければいけないと言う。全く頑固な所は母親譲りだ」

「そういえば梨奈の母親って?」


屋敷で見たことはないし、話にも聞いたことがない。


「貴様が知る必要はない」

「いいだろ、別に教えてくれても」

「うるさい!そのうち知ることにもなる。それまで待っていろ」


翌日


「壺を割った犯人だが、どうやら捕まったそうだ。だからこの男のクビは取り消しておく」

「それはありがたいことですけど、いきなりですね。犯人は誰だったんですか?」

「外部犯だ。昨夜に自首したそうだ。警察から連絡がきた」

「・・・自首ですか?でもなぜ自首を」

「その辺はおいおいわかるだろう。それより早く食べて学校へ行きなさい」


梨奈は不服そうだったが、頷き、朝食を終えた。


「どうもきな臭いわね」

「何がだよ?犯人も捕まったしいいじゃねぇか?これで俺のクビもなくなったわけだしな」

「あの犯行が外部犯の仕業だったとは考えられないわ」

「別に犯人が無罪を主張してるならまだしも認めているなら解決でいいだろ」


犯人などは適当におっさんがでっち上げたんだろう。

そのくらいおっさんの力なら楽勝だろう。


「・・・それで解決しただなんて思いたくないわよ!!!」


梨奈が急に大声をあげる。

こいつがここまで取り乱すなんて珍しいな。


「いきなりどうした?」

「・・・なんでもないわ」







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作者から

たぶんこの先何度も編集します。

ご容赦ください。

それと何か意見等ありましたらプレビュー等で言ってもらえると嬉しいです





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