第2話 今日子 危機一髪

警察官が、スマートウォッチに紙が、はさんであるのに、気がついた。


 それをみた警官は、「ちょっと出かけてくる」と相棒に言って、今日子を追いかけた。


 「今日子ちゃん」警官が、呼び止めた。

 「なんですか?」今日子は、なぜ、呼ばれたか、わからない。

 「今日子ちゃん、これ、あなたの大切なものじゃないか?」警官が諭すように、言った。

 今日子は、知らないおじさんにもらったというと、面倒くさくなると思って、

 「私のものじゃ、ありません」と答えた。

 「じゃあ、この紙に書かれたものは、嘘か?」

 「紙?」そう言って、紙を取った。

 「今日子へ 兄より」それだけだった。

 「私の兄は、一年前に亡くなりました。」それだけ言うのが、精一杯だった。

 「おじさんも、わからんが、君が持っておくべきだ。取っときなさい」

 「はい」と答え、今日子は、コミュニケーターを受け取った。


 警官と別れて、機械に話しかけて見た。が、なにも喋らない。

 「何よ、このへんちくりん。」手に持ってぐるぐる回した。


「あっけに取られた顔してんな!」たけしが、居眠りから、起きた。正確に言うとスリープから目覚めた。


 「たけし、なんか私に隠してない?」と今日子は尋ねた。

 「知らねー」とたけしが答えた。

 2回目のしらねーに今日子の怒りが爆発した。

 「海に投げ捨ててやる」


「お兄さんのことは、いいのかよ?」とたけしは、尋ねた。


「お兄さん」と一言言うと、今日子は、嗚咽(おえつ)した。その場に、座り込んでしまった。


「どうして、死んじゃったの、お兄さん」と気持ちが、膨らんできた。


そこに、高校生ぐらいの3人の若者が、絡んできた。

 「お嬢ちゃん、そのスマートウォッチ、俺にくれないか?」


 今日子は、周りを見回したが、誰もいない。

 「はい」と言って、高校生に渡した。

 「ついでに、お金もくれよ?」要求がエスカレートした。

 「お金は、持ってません」と今日子は返答した。

 「嘘つくんじゃねえ、こんな高級なスマートウォッチ持ってるじゃないか」と言って、時計をぐるぐる回した。

 「こいつをくらえ」とたけしが言って、スタンガンのような電流が高校生に流れた。高校生は、意識を失って倒れた。それをみた二人は、怖くなって逃げた。


 「今日子、早くこの場から、離れるぞ!」とたけしが言った。

 今日子は、スマートウォッチを取り戻して、その場を急いで、立ち去った。


 「頼りがい、あるんだ、たけし」と今日子が言った。するとスマートウォッチは、なにも言わない。感が鋭い今日子は、スマートウォッチをぐるぐる回した。

 「昼寝中に、起こすんじゃない。」とたけしが不満そうに言った。


 「これでも、俺を捨てるか?」とたけしが尋ねた。

 「そうね、しばらくの間、つきあってあげる」と今日子は、自慢げに言った。


 こうして、謎は、明かされぬまま、終わった。

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