第3話 幼き日の思い出【修正済み】





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 正月。それは多くの人々が初詣に出かける日だ。



 ある神社で多くの人々がお願い事をしている中、参拝を済ませた二組の家族が仲良さげに談笑しながら、自宅への帰路についていた。その中には三人の子供達が居る。七歳の女の子と男の子、そして女性に手を引かれながら歩く少し眠たげな五歳の女の子だ。


 そんな幸せそうにしている二組の家庭の長男長女である子供二人もそれは仲良さそうに楽しく会話していると突然、女の子――宮間優香が何かを思いついたらしく思わず声を上げた。


「あっ、そうだ!」


 その声が大きかったからか男の子――神崎裕太は少しだけびくりと身体を震わせた。そんな裕太は何故優香が突然大きな声を上げたのか分からず、彼女の方を向きながら目をしばしばさせている。すると彼女は笑みを浮かべながら彼の方へと向き直り、途切れていた会話を続けるべく声をかけた。


「ねぇ、裕太!」

「何?」


 首を傾げながら聞き返すと、彼女はある問いを裕太に投げかけた。


「さっきはなんてお願いしたの?」

「秘密!」


 でも、裕太は口が堅いらしくそう簡単に話そうとはしなかった。それを聞いた優香は少し頬を膨らませてしまった。どうやら、教えてくれなかったことが不服らしい。粘り強く問いただそうとしていく。


「え~~。教えてよ!」

「駄目だよ~。」


 それでも、頑として口を割らなかった裕太にしびれを切らしたのか、優香は新しい提案をした。


「なら、私が先に教える! その後、裕太のも教えて!」


 そんな提案をした彼女は期待に満ちたようなまなざしを裕太に向けた。その提案を聞いた裕太は少し考えたようなそぶりをした。少し時間をおいて、考えがまとまったであろう彼はにこやかに彼女の提案に乗った。


「それならいいよ!」

「やったー!」


 それを聞いた優香はあからさまにご機嫌になった。その証拠に彼の言葉を聞いた後、優香は誰にもわからないほど小さくガッツポーズをしていた。そして、少し間をおいてから決意を固めたかのような優香は少しだけ頬を赤らめながら、口を開いた。




「私のお願いはね…………。」





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「うっ…………。」


 そんな声と共に裕太は目を覚ました。彼が時計を見てみるとまだ三時過ぎだった。何でこんなに早く目覚めてしまったのかよくわからない裕太。それに…………。





「う~~ん…………?」


 優香の口から声が漏れた。彼女は覚醒しきっていないなか、窓のある方向を見た。カーテンの隙間から漆黒の更にひっそりと浮かぶ月の光がこぼれている。夜明けまでまだまだ時間があることは誰の目から見てもはっきりとわかるだろう。なぜこんな時間にめざめてしまったのだろうか? それに…………。





(さっきの夢は何だったんだ?)


 裕太はどんな夢だったのかおぼろげにしか思い出すことができない。でも、彼には過去の思い出が夢となったということだけは何故かはっきりとわかった。そして、その思い出が優香との大事な思い出であり、約束だったと言うこともだ。





(さっきの夢は何だったの?)


 優香はほんの僅かだけだが覚えている。彼女はあの時、大切な約束を裕太としたのだ。でも、今となってはその約束が何だったのか彼女には全く思い出すことができなくない。







((何でこんな夢を…………?))


 彼らは同じ時に同じことを考えつつ、再び眠りにつくのであった。








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