第3話 使命

 人が生きる理由とは何だろうか。きっと本能からくる欲求に従って人は生き、それこそが最も主要な生きる理由となり得るのだ。しかし欲求といえども多岐にわたる。大まかに生存欲求から承認欲求、自己実現欲求まで。細分化したならば数え切れない。

 人は欲のために生き、欲は満たされることを知らない。

 わたしにとって欲とは。人生の光を失い1人になった今、使命すら揺らぎつつある。わたしが生きる意味はあるのだろうか。

 湖畔である騎士と出会った。その騎士もまた使命を背負った者だ。

 「ああ君、使命を忘れてはいまいな?我らが不滅の騎士王が異形の根源を探して幾ばくか。彼は自らの騎士隊もろとも帰らぬではないか。我らが使命を果たさねば人の夜は明けることなく、永遠の闇に潰えるのだ。異形たちは人類を病のように蝕み、だが確実に死に至らしめる。我らは王に忠誠を誓った身、使命を忘れてはいかんよ。」彼は言った。

 異形が現れてからというもの、確かに闇は訪れていた。人は異形の恐怖に狂い、自らの生や安心のため、理性を投げ打った。他者を騙し、共同体を陥れ、誰もが腐りきった。

 騎士の使命とは異形の根源を突き止め、不死の異形達をこの世から始末する事。

 人本来の理性を取り戻すために。

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