第138話 夢のハワイ!?

 マジで、この景色は凄いな。

 日本でこの島に対抗出来ると言えば、思い付くのは、青島ぐらいか? あれはあれで凄いよなぁ。


 しかし、カウアイ島には確か人が住んで居たはずだけど、何処にも人の気配は無く、所々に廃墟っぽいのが辛うじて残っている程度だった。


「はぁ………やっぱり弾劾の日を乗り切れなかったのかな………。」


 しかし、これだけ綺麗な島々を、騙し取ったんだよな、米国は。

 まあそれを言えば、米国本土もインディアンから詐欺紛いにぶん盗ってるんだから、どっちが侵略国家だって話だよな。

 欧州だって同じだよ、東南アジアの国々に侵略して悉く植民地にしてたんだし、日本の事をよく悪く言えたもんだよなぁ。

 まあ、大神様が怒るのも判るよなぁ~。



 気を取り直し、今度はオアフ島へとやって来た。

 ここは、確か沢山ビルやホテルが建ち並んでいた筈である。

 記憶では、確かここに真珠湾もあったはず………。


 流石に生き残って居る人が居るんじゃないかと思った訳だが、完全に廃墟とまでは行かないが、街は荒れ果て、アスファルトの道路には、彼方此方から植物に浸食されていて、このまま森に沈んでしまいそうな状況であった。


 ああ、ここもダメだったのか………と引き返そうとした時、ビルの5階部分で明かりが見えた気がした。


 気配感知と魔力感知の範囲を広げてみると、どうやら何人かの気配を感じた。

 どうやら、生き残りが居るらしい。


 嬉しくなって、近付いて行くのであった。



 光りの見えた窓の外でホバリングしつつ、中の様子を確認したが、どうやら、奥の部屋に居るらしく、人影は見えなかった。

 俺は、ゲートで室内に移り、声を掛けてみた。


「おーい、生存者は居るか? 日本からやって来たんだが、救援物資要るか?」と。



「お、おい、今人の声が聞こえたぞ!」

 と裏の部屋から、ガサゴソと声が聞こえる。


「ああ、ちゃんと人が居るぞ。日本から来た者だ。

 チーム佐野助と言えばば判るか?」

 と再度声を掛けると、


「お、おい! チーム佐野助だってよ!」


 と7名の薄汚れたガリガリの男女が部屋から出て来た。


 俺の姿を見て、涙を流している。


 抱きついて来ようとするので、一旦慌てて制し、非常に悪いが『クリーン』を全員に掛けさせて貰った。

 うん、だって匂いが凄いんだもの。

 ある意味、日本人の俺にはヤバいぐらいの暴力的な香りだった。



「あ、何かスッキリした!」

 と久々に味わうサッパリ感に感激する男女7名。


 取りあえず、米国人と言えば、やっぱりハンバーガー?とハンバーガーとフライポテト、それによく冷えたコーラを出してやると、泣きながら「オーマイガー」とか言いながら食ってた。


「で、俺は別の要件でこっち方面にやって来ただけなんだけど、たまたま窓から光りが動いたのを見てな。

 それでちょっと、声を掛けさせて貰ったんだ。

 まさか、このオアフ島に生き残って居るのは、ここに居る7名だけなのか?」

 と聞いて見ると、7名は、顔色を曇らせて、目を逸らした。


 要領を得なかったが、聞き出した話を纏めると、どうやら3年程前まではもっと大人数が生き残って居たらしいのだが、それが食料の分配が発端となり、仲違いして分裂し、彼らは殺される前に逃げたグループだそうで。

 もう2つのグループは、暴君がそれぞれ牽制し合い、非常にヤバいグループなんだとか。

 なるほど、世紀末の拳法漫画の様な世界感なんだな。

 ちなみに、彼ら7名からの情報では、オアフ島以外には、生存者は残って無いだろうと言う事だった。



 なので、7名に希望を聞いてみた。


「えっとね、米国本土の方では、今国を再建し始めた所で、米国本土全体を解放するには至って無かったと思う。

 だから、もし米国本土からの救援を待つと最悪何十年先になるか判らないよ。

 で、もしここで暮らすと言うなら、多少の救援物資を置いて行く事は出来る。

 もしくは、米国本土に行きたいと言うなら、本土まで送る事も出来るが、どっちが良い?」


 と聞いてみると、全員一致で、米国本土行きを即答していた。


 だよなぁ~。


 俺は7名に持って行く物があれば、持って来る様に言って、10分後には、ゲートで米国の臨時政府がある場所へと連れて来た。

 7名は初めて見るゲートにビビっていたが、

「入らないなら、置いて行くけど、良いか?」

 と脅すと、


「本当に大丈夫なんだよな?」

 と何度も聞いて来て、悲壮な顔をしながら潜ってた。

 ハハハ……もう少し信用して欲しいものだよ。


 チーム佐野助の格好をしていたので、話は早く、警備の兵がすぐに連絡を入れてくれて、引き渡しを完了したのであった。

 臨時政府の大統領?が俺と話したいと言う話だったので、会議室に通されると、過去に見た顔のおっちゃんが、笑顔で俺に握手を求めて来た。


「ああ、あんたが、今の米国のトップなんだね? 久しぶりだね。」

 と俺が言うと、


「ああ、Mr.佐々木、その節は色々とありがとうな。

 今回も米国民を助けてくれてありがとう。」

 と言って居る。


 そこで、俺は聞いてみた。

「なあ、ハワイのオアフ島以外はほぼ全滅らしいな。現在世紀末を楽しんでるグループが2つあって、お互いに殺し合いしているらしいが、そいつらどうする?

 実際の話、今の米国にハワイやグアムとかの最果ての地までを統治する能力ないだろ? 放って置くか?」

 と聞くと、20秒ぐらい考えた風だったが、「いや、そいつらは良いや、そこで好きに殺し合いさせてやっとけ。

 どうせ、俺達は、ハワイまで取り戻すったって、今から100年ぐらいは優に掛かりそうだからな。

 そもそも、あそこもハワイの原住民から、騙し取った様な物だし。」

 と苦笑いしていた。


「ほう! そうか。じゃあ、俺、個人的にカウアイ島が欲しいんだけど、実効支配しても良い? いやぁ~あの地形は凄いよ。

 是非とも別荘にしたいし。」

 とダメ元で聞いてみると、あーら、ビックリ。OKが出てしまった。


「どうせ、俺達は実行支配所か、米国本土でさえ、まだ掌握仕切れてないし。

 良いんじゃねぇか?」

 とえらくアバウトな返事をしていた。


「何なら、後々面倒にならない様に、サクッと書類作るから、待っとけよ。」

 とものの15分くらいで、『ハワイ州のカウアイ島をチーム佐野助にお礼として譲渡する』と言う様な大統領?の署名付きの書類を頂いたのだった。」


「OKありがとう! ハッハッハ。ダメ元で言ってみるもんだな。」

 と俺が満面の笑みで言うと、


「いや、あれだけ世話になってる恩人だ。これくらいは平気だろ?」

 と言っていた。


 と言う事で、カウアイ島が佐々木家の別荘地となりました。

 よっしゃーー! 別荘を建てなきゃな。


 大統領と握手してから、ゲートで我が領土となったカウアイ島に寄って、チーム佐野助の旗を刺して、自宅へと戻ったのだった。


 風呂から上がり、夕食時にさっちゃんに、ハワイの島を手に入れた話をすると、さっちゃんが大興奮。

 釣られて、敬護も皐月も興奮していた。


「ね、旦那様、早くハワイ行こうよ!」

 と可愛く身体をクネクネさせながら、強請るさっちゃん。

 フフフ、可愛い奴め。

 皐月もママの真似をしているけど、君にはその技は、まだ早いからな。 可愛いけど。


「そうだな、今週末はもう決まってるから、来週末か再来週末辺りにハワイでバカンスするか! ハワイに行きたいかーー?」

 と俺が聞くと、全員が

「「「おーー!」」」

 と片手の拳を振り上げていたのだった。


 さて、そうと決まれば、ハワイ旅行までに別荘を何とか用意しないとなぁ。

 とどんな別荘にするか、ニンマリしながら妄想するのであった。

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