第137話 お宝ゲットだぜー!
翌日も朝から一人で37階層に出て、38階層へと突入した。
38階層からは、倉庫エリアではなく、居住エリアっぽい物となっていて、8畳ぐらいの小部屋がズラリと並んでいる。
「うーーん、これはどうしようかな? 幾つかを確認して判断するとして、不要だったらスキップするか。」
最初の部屋の中を確認すると、やはり生活感の溢れる個人の住居の様であった。
周囲の部屋4つ程を確認したが、大体同じで、中には『汚部屋』の様な部屋もあった。
「うーん、この階層は取りあえずパスで良いか。」
直ぐにそのまま下の階層へと進み、39階層をチェックすると、やはり居住エリアでそのまま下へ。
40階層は大きな食堂の様で、展望レストランではないが、センター寄りに円形の厨房とそれを取り巻く様に受け渡しカウンターが有り、その周囲にはズラリとテーブルと椅子が置いてあった。
「おお! ここは期待出来そうだな。」
とニンマリしながら、早速センター寄りの厨房に入って中の様子を確認すると、流石に非難したのか、亡骸こそ無いが、調理途中で腐った様な残骸が沢山置いてあった。
そして、食料庫らしき物を発見し、ワクワクしながら、扉を開けると……
「おお! これはなかなか凄いな。」
と思わず声を上げてしまう。
中はソコソコに空間拡張された食料庫で、広さはちょっと大きめの体育館程もあろうか。
時間停止が施されている様で、中身は腐って居ない様子である。
俺は、嬉々として片っ端から食料を収納して廻る。
「いやぁ~異世界食材大漁だぁ~♪」
特に肉類の種類と量が素晴らしい。
馴染みのある魔物の肉から、全く知らない魔物の肉まで、20種類ぐらいが、大量にあった。
そして、驚く事に、ドラゴンの肉も発見した。
「マジかぁ! ドラゴンの肉まであるとは……。」
と驚きつつも、その発見に浮かれまくってしまう。
ドラゴンの肉は、非常に高価で、普通の人は、食べる事無く一生を終える。
王族であっても、余程運が良くないと無理である。
最強の生物とされているドラゴンは個体数も少ないし、滅多に人前には現れず、その生態はお伽噺で伝わる程度。
またそんな最強の生物を倒せる者は、そうそう居ないからである。
尤も、徳士はカサンドラスに居る時、ドラゴンと何度か対戦し、その美味しさを知って居たりする訳だ。
だからこそ、浮かれまくって大はしゃぎしているのである。
「ハッハッハ!! まさかとは思ったけど、これは大収穫だな。
さっちゃん達に食べさせてあげなきゃ!!
他の奴は………やらん!!! 美味い匂いだけ嗅がせてやるかなぁ~フッフッフ。」
と一人押しつけられた事を根に持ち、悪い笑みを浮かべるのであった。
食料庫を空っぽにした後、食器類等も収納し、調理器具等もゴッソリと頂いた。
何処か別の場所に拠点を作ったり、緊急避難場所で調理をする際等に使えるだろうと言う判断だ。
「ふむ。そうなると、テーブルと椅子も頂いておくか。」
まあ、緊急避難とかが必要にならない事が一番ではあるのだがな。
そして、40階層を満喫した後、41階層へと降りた。
ここは、上の居住エリアとは違い、6畳ぐらいの小部屋に二段ベッドと言う、ちょっとグレードの低い部屋が沢山あり、更に大きなシャワールームと、フロアーの1/4ぐらいの面積の食堂があった。
どうやら、警備兵か下級職員専用の住居エリアの様だ。
一応、食堂の厨房も確認し、食料庫の中身も頂いたが、中身的には大した高級食材は無く、パッとした物は無かったが、量だけは沢山ストックされていた。
「わぁ……あからさまにグレードが堕ちてるな。」
と思わずその落差に嘆いてしまった。
まあ、異世界あるあるで、権力者や身分の高い者と、一般平民との落差は非常に大きいのが常である。
そして42階層に降りると、一見事務所のような雰囲気のフロアーで、机が並び大した収穫も無かった。
43階層も同じ……そして44階層に入ろうとしたのだが、残念ながら既に浸水していて、入る事を断念した。
まあ、シールドを張って、その内部の空気清浄化を行えば、海中でも問題は無いのだが、そこまでする事も無いかと言う判断である。
なので、一応現在の水位に印しを入れ、水位の上昇率を確認する事にして、取りあえず本日の回収作業は終了としたのだった。
時間は、まだ午後3時過ぎぐらいなので、考えた結果、一度ハワイを確認する事を思い付いた。
開戦当時、まだ軍役に就いていなかったので、ハワイは初めてである。
塔の屋上にゲートで出ると、時差の関係で、既に外は真っ暗で、無数の星が夜空に輝いていた。
俺は、上空へと飛び上がり、100km離れたハワイ……一番近いのは、カウアイ島である。
確かネットで確認した記憶では、大きな滝があったりして、凄く景色の良い写真があった。
まあ、こんなご時世なので、現在どうなっているかは不明なのだがな。
もし、良い雰囲気であれば、家族とキャンプしに来るのも悪くないな……フフフ。
飛び始めて15分程すると、月明かりに照らされたカウアイ島が見えて来た。
2度の人生で初めて目にするハワイである。
海岸線の砂浜は狭く、すぐに山となっている感じで、なかなかに迫力がある。
「おお!! これはまた見事な!」
と自分の買った無人島に比べ、(元々比べる方がおかしいのだが)規模が大きく、地形も迫力に満ちている。
「ああ、これくらいの島が欲しい!」
と思わず思ってしまうのであった。
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