第28話 新しい魔法
清兄ぃとの話も終わって帰る前に、前々から最後に以前から聖魔法と時空間魔法がEx級まで戻るのを待っていた最大の目的であった『リフレッシュ』を清兄ぃに掛けて、体内をを全盛期の頃に戻しす事にした。
清兄ぃの身体がボワンと白く光り輝き、数秒で収まった。
いや、軽く掛けるつもりだったんだけど、前世でも滅多に使わなかったのと、この身体でEx級になった直後と言う事や、清兄ぃを思う気持ちが高ぶった事もあって、強烈にイメージが反映してしまった様だ。
目の前には90代に突入した筈の40代のおじさんが佇んで居た。
「わぁーーー! 失敗してもうたーー! 清兄ぃ、すまない!!」
と俺が思わず叫ぶと、ビックリした表情になる若い清兄ぃ。
「え? どう言う事じゃ? えらく身体が軽いし、力が漲るんじゃが、失敗なのか?」
「あ、いや、魔法と言う意味では、正しく成功しているんだが、想いが強すぎたっぽくて、予定した以上に若返ってしまった……」
「ん? 姿見は……」
と道場を出て、母屋の方に行った後、数秒遅れで叫び声が聞こえて来た。
ドドドドと騒々しく母屋から清兄ぃが飛び出して来て、
「素晴らしいぞぃ!!! 徳治郎ーーー!」
とガシッと肩を掴まれた。
「え? 良いの?」
と予想外の好反応に、キョトンとして聞くと、
「勿論じゃ! これでまだまだ行ける!!!」
何処に!? とは突っ込まなかったが、俺のヤラカシに対し、予想に反して大喜びしている清兄ぃ。
「いや、でもさ、これ対外的に大丈夫なの?」
と不安になって聞くと、
「ん? いや周りには、ほれ、整形だとか、『あんちえいじんぐ』とかって言って置けば大丈夫じゃろ。ガハハ」
と豪快に笑ってた。
「そ、そうか…… じゃあ、まあOKって事で良いのか? うん、良いか……」
と言葉を濁しつつ、
「じゃあ、俺帰るから。またそのうちに、報告するよ。清兄ぃも程程に元気でな……。」
とお暇の声を掛けると、
「おう! お前もな!! あ、そうそう誠二には、これ(身体を指差し)黙っておいてくれ。グフフフ」
と悪い笑みを浮かべる清兄ぃだった。
◇◇◇◇
再度、2回目のゲートを発動し、先の廃工場へと戻って来た俺は、まずは新しく手に入れたこの『ゲート』を定着させる事にした。
魔法は、1度使えば2度目からは、発動し易くなり、3度4度……と繰り返す事で、完全に定着し、発動までの時間や詳細なイメージでの補完が不要になっていくのだ。
つまり、魔法に付けた名前がPCで言う所のショートカットの役割みたいになる。
実家から廃工場まで戻るのにMP50を使っていたが、これが距離によって必要魔力量が違うのかの検証も必要である。
5回、廃工場内でゲートを発動して、移動してみた結果だが、必要魔力量はMP50で固定であった。
ふむ、これは朗報だな。つまり2000km離れた所でもMP50で移動出来ると言う事か……ふふふ。
あ、そうか! 後は人数によって、必要魔力量が変わるのかどうかも検証が必要だな。
まあ、俺の予想では、追加で魔力が奪われたり、時間経過で吸われ続ける感じが無いから、多分1人でも100人でも変わらないとは思うが。
複数人での検証は、後で兄上に協力して貰うとして、次はテレポーテーションを試す事にした。
イメージとしては、時空間魔法でジャンプして飛んだ先が目的地となる感じで、魔力を練って行く。
『ジャンプ』
発動した瞬間に、目標とした100m先へ一瞬で飛んだ。
おお!これも上手く発動した。
ステータスを確認すると、MP100を消費していた。
うゎ~、結構MP食うんだな。
定着させる為に、再度『ジャンプ』を繰り返す。
最後に自宅の玄関にジャンプしようとしたが、出来なかった……。
つまり、あれだ。視界に入った所へしかジャンプ出来ないと言う事か。
名前が悪かったのか? テレポーテーションとかだったら見えない所へも行けたのかも知れないな。
再度テレポーテーションのイメージを練って、見えない場所である廃工場の建物の裏側の木の横をイメージして時空間魔法を練り込む……『テレポ』
瞬時に魔力が抜かれる感覚がして、イメージ通りの木の横に立っていた。
ステータスを見ると、MP300を消費していた。
「わぁ~、これは結構大変じゃん。」
と思わず大量の魔力消費に声を上げてしまう。
うーん、これは、あまり多用は出来ないな。
アッと言う間に魔力が枯渇してしまうな。
一応、魔力ポーションを1本飲んで魔力の復活を確認してから、再度工場の向こう側へ『テレポ』を発動した。
途中で魔力ポーションによる魔力補充を行いつつ、4回程のテレポを行い、定着させた。
結局、見えない場所へ瞬間的に時空転移すると言うのは、魔力燃費が悪いらしい。
それに対して、ジャンプは、有視界エリアとなるので、魔力燃費が良いと言う事なのだが、ジャンプにしろ、テレポにしろ、ゲート以上に燃費が悪い。
これは、空間と空間を繋げる門を生成するだけのゲートに対し、発想は違うが、身体本体をその場で時空転移させる事の方が情報量が多いと言う事なのだろう。
距離的な事に関しては、全部固定魔力量であったのは幸いだった。
最後に5回目は自宅の玄関へテレポし、玄関に辿り着くと、
「アッ君!!おかえりでちゅ。」
と玄関に飛んだ俺を、我が家の天使が迎えてくれたのだった。
夕食が終わり、時空間魔法によるゲート、ジャンプ、テレポを家族に報告すると、
「えーー!? 良いなぁ時空間魔法。俺も欲しいなぁ。」
と父上が、羨望の眼差しで俺を見つめてきた。
「ははは。でも、かなりのMP消費量ですよ?」
と俺が返すと、消費魔力量を聞いて、驚いていた。
「まあ、でも、訓練次第では、持って生まれた魔法属性以外も、習得する事は出来ますよ。
訓練次第です。」
と言うと、父上と兄上のヤル気スイッチが入っていた。
兄上の協力の下、複数人でのそれぞれのMP消費量を確認した結果、ゲートは相変わらずMP固定、ジャンプとテレポは予想通り、人数によってMP消費量が違う事が判明した。
また、ジャンプとテレポの場合、俺の身体に触れている必要がある事も判明したのだった。
兄上は、
「あつし、俺も時空間魔法、訓練してみるよ! これあったら、ギリギリまで寝てられるし。」
と不純な動機を漏らしていた。
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