第19話 オーラ
翌朝もスッキリ目覚め、気分は爽快である。
ベッドから降り立ったが、
「ん?」
と何か異変を感じる。
何だろう?
妙に腹がスースーとする気がして、自分の身体を見ると、
「ええ??」
と思わず、驚きの声を漏らしてしまった。
まず、パジャマのズボン、足首の上辺りに裾がある。
そして、パジャマの上着は、ダボダボしてたのが、結構スレスレ気味で、丈の長さが明らかに前より短くなっている。
「え? どういうこと?」
と思案したが、思い当たるのは、ここ数日の連続レベルアップ。
しかも、俺は成長期真っ盛りである。
マジか……。
着替えを出して来てみたのだが、幼稚園の制服が、キツいのである。
これは想定外だった。
どうしよう。
まあ、悩んでも解決出来る訳でも無いので、諦めてリビングへと出て行き、朝食準備中の母上に、
「母上、おはようございます。
ちょっと困った事がありまして……」
と声を掛けると、
「あら、アッ君おはよう!
あれれ? あれ?? アッ君大きくなった!?」
と一見しただけで状況を理解した母上も驚いていた。
結局、ここ3日で、身長は約8cm伸びて、ウエストも胸囲もそれに伴ってサイズアップしていた。
兄上のお下がりのズボンやシャツ等を引っ張りだして貰い、何とか普通の服は整える事が出来た。
が、幼稚園のスモックや、体操着は全滅。
更に、靴もダメだった。
「あらあら、困ったわねぇ~。」
と口にする割に、ニコニコと微笑む母上。
流石は母上、余裕である。
母上曰く、「何にしても我が子が無事に成長してくれる事は嬉しい事よ。」と。
「しかし、アッ君、またオーラの色と光がまた一段と大きくクッキリして来たわねぇ。」
と母上が呟いた。
「え? オーラですか? オーラとは??」
と聞くと、どうやら、感じると言うより、視覚的に見ようと思えば見えるらしい、人固有の色と光の強さなんだそうで。
で、家族の中で次に誰が強い?と聞くと、兄上、そして父上の順らしい。
兄上は、ここ3年ぐらいで急激に光の強さが変わったとも言っていた。
ふむ……それって、もしかして魔力感知?
母上にオーラに関してを、更に詳しく聞くと、どうやら母上の家系は、代々希にそう言う物が『見える』者が生まれる家系だそうで。
但し、女の子だけだそうだ。
今の所、母上の祖母(俺の曾祖母)と母上の姉上の娘がそうらしい。
「へーー! それはなかなか凄い事ですね。
ちなみに、母上自身はどんな感じに見えるんですか?」
と聞くと、
「うーん、そうね。自分自身の身体だから全体像は見えないし、鏡越しでも見えないからまあ、首から下を見る事になるんだけど、水色や茶色や白や金色かなぁ。
そして、光の強さ的にはキヨ君(兄上)より強いわね。」
と教えてくれた。
うん、これはもう、魔力感知を視覚的に見てるんで間違いないだろうな。
「あ、そう言えばね、アッ君がお腹の中に居た頃、かなり不思議な事が頻繁にあったのよ!
日に日にお腹の辺りが強烈に光ったりしてて、その後、自分の光が吸い込まれる感じがあったりね。
で、お腹が大きくなって行くに従って、光も強くなるし、自分自身の光も以前より強くなっていくの。
うふふ、不思議よねぇ~。」
と母上。
あーー…… それ、俺の仕業です。
そうですか、気付いてましたか。流石です。
多分、俺が魔力を吸い取ったので、その所為もあって、強制的に魔力量が増強されたんだと思います。
「なるほど。じゃあ、母上、これはどう見えますか?」
と言って、俺は魔力操作で左手の平に魔力を極端に集めてみた。
「うわっ!! すっごいよ、アッ君!!!
アッ君の左手が真っ白で1mぐらいの大きさで光ってるよーー!!」
と驚きの声を上げる母上。
俺は、左手に集めた魔力をキャンセルした。
「あ、消えた。」
「母上、素晴らしいです!! 今母上が見ていたのは、魔力と呼ばれる物です。
母上は生まれつき、魔力感知を視覚的に行う事が出来るのですね。」
「え? 魔力!? えぇーーーー!?」
と驚きの声を上げる母上。
そこで、俺は、魔力の事について、説明をし始めた。
信じて貰えるか、貰えないかは判らないけど、その価値はあると……。
母上は、長年不思議に思っていた『オーラ』が何かを知り、魔力と言う物が、ストンと納得出来たらしい。
そして、自分の体内を巡る魔力を視覚以外でも薄々感知していたらしく、でも祖母は感知してなかったらしく、気のせいと思い込んでいたらしい。
「あー、納得したし、スッキリしたわ。」
と母上が笑っていた。
魔力感知が出来れば、あとは魔力操作だけだ。
「母上、体内を巡る魔力が視覚的には、オーラを発しているんだと思います。
その魔力を片手に集めて見て貰えますか? 強く魔力の流れを意識して、それを集めるんです。」
と教えると、30分ぐらいして、徐々に右手の平に魔力が集まりだした。
「おお!!それですよ、それ!! 流石は母上です!!」
と褒めると、てへへ! と照れながら笑っていた。
「母上! じゃあ今度は『ステータス』と声を出しても頭の中でも良いので念じてみて下さい。」
と言うと、
「ステータス ……キャァッ!」
と驚いた様に小さく悲鳴を上げたのだった。
初めてのステータス表示に驚きながらも、紙に書き出した内容は下記の通りだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:佐々木奈津子
年齢:29歳
種別:人族 Lv:1
職業:---
状態:正常
HP:38/39
MP:26/28
筋力:38
俊敏:25
頭脳:77
運 :65
武術:合気道
魔法:水 ---
風 ---
土 ---
光 ---
聖 ---
ギフト:ステータス
スキル:魔力感知
魔力視
魔力操作
称号:古の血をひく者
加護:
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「え!? 母上、合気道やっていたんですか!!」
と驚きの声を上げてしまうと、
「うふふ、ほら女の子って色々危険が危ないでしょ?」
と微笑んでいた。
いやぁ~、魔法適正と言い、称号と言い、何か色々ビックリだわ。
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