第9話 失われた神剣!? 草薙の剣の謎
さあ、皆様、源平合戦の最終局面である壇ノ浦の戦いを見に行く前に、安徳天皇がどんな人物だったのか見ていきましょう。
平安時代の終わり頃、当時の政界では源氏と平家という武士の家系が、二代勢力として君臨していました。しかし西暦1160年に発生した平治の乱によって、平家のトップである平清盛が、源氏のトップである源義朝を倒して、源氏は衰退します。
平治の乱によってより平家はよりパワーアップしました。そして、平清盛の娘、平徳子と高倉天皇の間に生まれたのが安徳天皇です。
そして、お祖父ちゃんの清盛のゴリ押しによって、二歳にもならない内に天皇に即位しました。
もちろん、赤ちゃんなので政治が出来る筈もありません。そう、安徳天皇が即位したのは、清盛が自分の都合の良いように政治を動かす為のマリオネットだったのですね。
そして、平家の独占的なやり方に反感を持つ人も多くなっていきます。
そして1180年、皇族の一人である
勿論、大人達のゴタゴタに安徳天皇は巻き込まれてしまいました。
最初は優勢だった平家も敗戦が続き劣勢になると、当日、都があった京都から三種の神器を持ち逃げした挙げ句、幼い安徳天皇まで連れて西へ逃げていったのです。
安徳天皇は時代に翻弄された人物といえますね。
さて、ここは壇ノ浦です。現代なら本州と九州をつなぐ関門橋がありますが、今は海上で平家と源氏の最終決戦が行われています。
平家が滅んだ事で有名な壇ノ浦の戦いですね。
安徳天皇は平家軍に連れ回され、その平家ですら、源氏に追い詰められてもはや絶望的で、海の上を船で漂っている状況です。
「お祖母ちゃん、僕達これから何処へ行くの?」
この時、安徳天皇は六歳という幼さでした。あどけない表情で側に居た
「安徳天皇、海の底には竜宮城があります。共に参りましょう」
「竜宮城があるの! やった! 僕、見てみたい!」
幼い安徳天皇が祖母である時子の嘘を見破る事など出来ず、まるで遊園地にでも行く感覚です。
そして、時子は安徳天皇を抱え、腰には草薙の剣を差し海に飛び込んでしまいました。
おや、安徳天皇がニヤリと、不気味な笑みを浮かべているような気がします……いえ、幼い彼があんな不気味な表情が作れるはずがありません。
きっと私の見間違いでしょう。
更に
そう、平家が滅びると共に、三種の神器も海に沈んでしまったのです。
幸いにも八咫鏡と八尺瓊勾玉は木箱に入っており、海面を漂っていた所を源氏軍によって回収されました。
しかし、草薙の剣だけは見つからなかったのです。
さて、安徳天皇が入水によって崩御したので、次の天皇が即位するのですが、三種の神器は正式な天皇の証なので、三つそろっていないと即位できません。
源平合戦が終わった壇ノ浦では、草薙の剣の大捜索が行われていますね。更に朝廷は海女さんを集めて、海底を探させました。
しかし、いまで経っても草薙の剣は発見出来なかったのです。
そして朝廷は陰陽師を呼び草薙の剣の在り処を占わせました。
一体、どんな結果が出るのでしょうか?
「むむむ! 八の頭、八の尾を持つ龍が神剣を持っている。ヤマタノオロチに違いない! 安徳天皇は過去に滅ぼされた龍の生まれ変わりだ。そしてスサノオによって奪われた剣を取り返すため、源氏と平家を争わせたのだ」
な、なんだか、予想斜め上を行く、とんでもない結果が出ましたね。安徳天皇は本当にヤマタノオロチの生まれ変わりだったのでしょうか?
そういえば、神話世界から現代へ帰る途中、私達はヤマタノオロチと遭遇しました。もしかしたら、草薙の剣を取り返すために、現代に近いこの平安時代へと向かっていたのかもしれません。
そして安徳天皇が海に沈む前に、不気味な笑みを浮かべていましたね……答えは全て海の底に沈んでいます。
結局、安徳天皇の後を継いだ
そして、ずっと壇ノ浦の捜索を続けましたが、結局、草薙の剣は見つからなかったのです。
さて、そろそろ現代へと帰りましょう。
【捕捉】
安徳天皇がヤマタノオロチの生まれ変わりというのは、勿論フィクションですが、実際に平家物語に、このような記述があります。
日本史の都市伝説みたいなものです。
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