第6話 超絶美少女登場
俺は女性自衛官に連れられてUFOの真下、グラウンドの中央に連れてこられた。もはや逃げる気力も失せている。
あぁぁ。何でこうなるかな。『春は出会いと恋の季節』って朝からときめいたのが遠い昔のようだ。願わくは宇宙人がちょっとでも人間の姿をしていてくれることだ。ゴキブリみたいだったらどうしよう。いや、メスかどうかもあやしい。なんたって未知との遭遇。
俺の想像は悪い方へ悪い方へと突き進んだ。
ぼっちな俺が好きなんて言うくらいだから、きっとかなりヤバイ。化け物みたいな宇宙人が登場するに決まっている。宇宙人?まてよ、宇宙生物かもしれない。身長が10メートルとか。そいつの口からながーいベロが伸びてきて、俺をペロリなんてことになんねーだろうな!
「あのう。逃げてもいいですか?」
「ダメです」
女性自衛官は俺の質問をバッサリと切り捨てた。上空を自衛隊の戦闘機が飛び去ってゆく。学校の屋上ではロングライフルをかまえたスナイパーの姿が見える。テレビ局の望遠レンズも俺をとらえている。
「そろそろ時間です。私は退避しますのでここに残ってください」
「えっ。ぼっちですか?俺」
「はい。絶対に逃げたりしないでくださいよ」
女性自衛官は体育館わきに立つ『私立松原高校』と書かれた白い仮設テントの下へと駆け戻って言った。
体育祭じゃねえんだよ。ギャラリーが学校の外の道路まであふれかえっているじゃないか!俺は見せ物か。ああん。やってやろうじゃないか。学校カーストの底辺の底力を見せてやる。
俺の頭の中は完全にキレた。俺が天空をにらみつけると、巨大な円盤の中央がポカリと開いた。金色の光が降りそそいで俺を包み込む。ほわほわとしたやさしい光。ほどなくして私立松原高校の制服に身を包んだ女の子がゆっくりと降りてきた。フワフワとした羽衣を身にまとって。
やばい。スカートの真下だ。このままでは変態だ。全世界に変態呼ばわりされる。俺は思わず頭を下げた。学校指定の革靴が目の前に降りてきて、音もなく地上に着地した。
俺はゆっくりと顔をあげる。
色白でほっそり、すらっとしたきれいな脚。太ももの血管が青白く透けて見える。
ドキッ。
短めのスカート。くびれたウエスト。
ドキッ。
程よく膨らんだ胸。
ドキッ。
スラリとした細い首。
ドキッ。
くせっけのない栗色のロングヘア。
ドキッ。
小さい顔につぶらな瞳と長いまつげ。
ドキ、ドキ、ドッキューン。
超絶美少女が降臨して、俺を見つめて微笑んでいた。俺の心臓は今破裂すると言わんばかりに高鳴った。
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