第5話

 ――《 森居莉那から連絡がきた。今夜、貫木と会う 》


 タマコの携帯端末にリリコからの業務連絡が入ったのは、翌日の食事後、片づけをしている時であった。

「ヤツはリリちゃん一人で来るようにって言ってるらしいね……フン、想定内さ。そのかわり、場所はこっちで指定させてもらうよ」

 皿を洗う陽乃子のそばでタマコはブツブツと呟き、あちこちの仲間に電話をかけては指示を飛ばしていた。

 食事の片づけを終えた二人が洗濯業務に入ったところで、さらに新たな連絡が入った。

 ここへ来てようやく、あれが貫木かもしれない、という目撃情報が出たようだ。昨晩、弐番街のとある高級クラブにやって来た男が、JKビジネスで儲けたと自慢げに語り散財し、挙句に揉め事を起こして若いホステスに怪我を負わせたという。目下、タマコの仲間が真偽を確認中とのことだ。

 ランドリー室にある折り畳みの椅子に腰を下ろし、通話を終えた携帯端末を顎下に当てて、タマコは「弐番街か」と低くうなる。

 乾燥機から取り出した衣類を作業台の上で畳んでいた陽乃子は、真っ黒いTシャツを《幸夜》のカゴに入れたところ、「それはマサちゃんのだ」とタマコに言われて《柾紀》のカゴに入れ直した。

「この情報の男がホントに貫木なら、ヤツはこの街のことをナンにもわかっちゃいないね。――ああ、そのパンツはノブちゃんのだよ」

 陽乃子は水色と桃色の水玉模様がファンシーな四角いパンツを丁寧に畳んで、《信孝》のカゴに入れた。

「スーちゃんって覚えてるかい? 『スズヒサ時計』の創立記念式典で会った」

 問われて陽乃子はこくりと頷いた。女王の風格を漂わせた妖艶な女性。たしか “蘇芳すおう” という名だった。

「スーちゃんは弐番街の “顔利き” なんだよ。自身の宝飾店も持ってるし、高級クラブもいくつか経営してる。自立しようと頑張ってる女の子を支援するのがスーちゃんの生き甲斐なのさ。だから、店の女の子がケガをさせられた、なんて知ったらきっと黙っちゃいない。たとえ客であっても、女の子に暴力を振るうなんて絶対に許せない行為なんだ。しかもスーちゃんのバックにはご隠居がついているし……」

「ご隠居……」

「ああ、ヒノちゃんはまだ会っていないんだっけね」

 タマコは長いつけまつ毛をパチパチと瞬いた。

「権頭弥曽介やそすけっていう老爺じいさんさ。この『サブロ探偵事務所』を設立した御仁だよ。神出鬼没の仙人のような爺さんでね。昔はスーちゃんのパトロンで……パトロンてわかるかい? ……いや、わからなくていいよ……この街の有力者だってことだけ覚えておくといい。スーちゃんはご隠居のお気に入りでね。つまるところ、スーちゃんに睨まれるってことは、ご隠居を敵に回すってことと同義なのさ。時たまそういうバカなヤツらがいるんだよ。おおかた、余所よそから流れてきたチンピラの類なんだろうけど……――あ、それはあたしンだよ」

 陽乃子が手にしたサーモンピンクのヒラヒラを、タマコはひょいと取り上げて《タマコ》のカゴに入れた。

 あのヒラヒラを、タマコの身体のどこにどうやってつけるのだろう、と陽乃子は首を傾げた。



 夜になり、タマコはいつもより少し早く出かける様子を見せた。陽乃子も準備しようとリビングを出て二階へ上がりかけると、あとを追って出てきたタマコから「お待ち」と声がかかる。

「ヒノちゃん……今夜は、家で大人しく待っている気はないかい?」

 タマコの細い眉尻が下がっている。

「網は抜かりなく張っているけどさ、あっちも悪党だからね、ナニが起こるかわからないだろ? ……まぁ、あたしがついてる限り、滅多なことはないと思うんだけど……」

「わたしも、行きたいです」

 見上げる陽乃子にウッと詰まったタマコは、次いで大きく肩を落とした。

「はぁ……あたしも完全にホダされてるね。わかったよ。準備しな」

 コクンと頷き、再び階段を上がりかけた時、「タマコさん」と声がかかった。

 地下から上がってきた鴨志田である。ワイシャツの袖をまくっているのは、事務所で書類作成でもしていたのだろうか。彼がこの時間まで地下に詰めているのは珍しいことである。

「今夜もお出かけですか?」

「ああ、まぁね。……そっちの案件は片付きそうなのかい?」

「ええ、大方の目処めどはついたところです。リリコさんの方はどうですか?」

「こっちもメドはついたよ。今夜が山場ってところさ」

「そうですか……」

 目をシバシバさせた鴨志田は「ああそうだ、陽乃子さん」と、ズボンのポケットから何かを取り出した。手の平にすっぽり収まる大きさの白い楕円球……見た目はまるで鶏の卵のようで、その一端からキーホルダーのような短いリングチェーンが伸びている。

「これを持って行ってください。簡易的な防犯ブザーですけれど、いざという時には役に立ちますから」

 陽乃子の手にその小型機器を乗せた鴨志田は、チェーンの根元のピンを引き抜くと大きな警報音が鳴ると教えてくれた。白い卵型機器はその大きさのわりに沈み込むような重みを感じる。横から覗き込んでいたタマコがフンフンと頷いた。

「いいモノもらったじゃないか。昨日もイヤなヤツに絡まれたことだし」

「ですってね」

「――え?」

 パチクリと瞬いたタマコに、鴨志田はなぜか慌てふためく。

「ああっ、いえ、あの、ほら……っ、最近、伍番街で妙に怪しい輩がウロついているという情報も入っておりますし、年若い女の子は危険な目に遭う確率も高いのかなと思いまして……じゃ、じゃあ、僕は、まだ仕事が残っているので……」

 挙動不審のまま、鴨志田はひょこひょこと地下への階段を降りて行った。

「なんだろね…… ――さ、支度しておいで」

 タマコに促されて、陽乃子は階上の自室に駆け戻る。

 桃色のパーカーを着込んで卵型機器はポケットに。ガマ口を首からかけて外履きのローファーに履き替えて。

 自分が何の役にも立たないことはわかっている。けれど不謹慎だろうか、陽乃子の心は何となく浮足立っていた。



   * * *



 車庫奥のドアが開いて、ジャケットを手に小走りで出てきた鴨志田が、黒のワンボックスカーのスライドドアを開けた。

「サンキュ、鴨さんよ」

 後部中座席へ乗り込んだ鴨志田に運転席の柾紀が声をかける。同時にエンジンがかかり車庫のシャッターが上がった。

「正々堂々、手渡すだけですから造作ありません。でも、……」

「なぁに、造作はねぇさ。軽く、ちょいとだけでいいんだ。鴨さんの指さばきなら楽勝だろ」

「一応言っておきますが、なんですよ?」

「スルんじゃねぇよ、しばらくだけだ。あとで返すんだからな」

 ゆっくりと車庫を出る車体。背後で車庫のシャッターが閉まり、車は夜のアスファルトを緩やかに下っていく。

 車内には柾紀と鴨志田の他に、助手席に座る信孝がどこか不本意な表情かおでノートパソコンをいじっており、最後部席はいつものようにだらりとした幸夜だ。

 鴨志田が憂鬱そうに肩を落とした。

「……何度やっても、こういったには慣れません。僕には向いていないんですよ」

「幸夜レベルの “目” を持ってない限りバレねぇよ。ビビるこたぁねぇ」

「ええ、ええ、ビビっておりますとも。そもそも、所長が初めから温情をもってリリコさんに助力を差し伸べていれば、こんな手の込んだやり方をしなくてもよかったんです」

 ブツブツと愚痴る鴨志田をちらりと振り返って、柾紀は煙草を口にくわえた。

「ボスとしちゃあ、まさかあの二人がチョロチョロ動くとは思わなかったんだろ。ところがどっこい、二人そろって連日寝不足大あくび……さすがのボスも知らん顔はできなかったんじゃねぇか? とはいえ、俺らの前で一度は突っぱねた手前、正面切って手伝ってやれとは言えねぇしよ。ここはボスの顔を立ててやろうや」

 クックと含み笑って、煙草の先に火に灯す。

 目を閉じた幸夜は、今日の佐武朗をいぶかしく思い出した。食事のあと、地下の事務所にリリコを除く四人の調査員が集まった前で、佐武朗は異例の命を下したのだ。

 ――『さっさと片付けろ』

 目的語はなかった。どうとでも取れる。しかし通常、受ける依頼には必ず調査期間を定めており、それを過ぎない限り佐武朗は調査を急かしたりしない。

 これは柾紀の言う通り、タマコと陽乃子が夜な夜な出歩いていることを感知したからこそのセリフなのだ。つまり佐武朗は言外に、リリコに手を貸してやれ、と言っており、それは前言撤回することを意味する。普段の佐武朗ならば絶対にありえない。

 大体、解雇通告しておきながら、未だ帰って来ないリリコの処分は棚上げしたままで、そんなリリコにこっそり手を貸すタマコのことも見て見ぬ振りというこの現状。奇妙を通り越して、もはや怪異だ。

 理由は察している。もちろん情などではない。

 幸夜が思うに佐武朗は、あのキノコ娘にウロウロと出歩かれては困るのだ。


「ところで……陽乃子さんに渡したあの多目的型防犯ブザーですが、こないだのように途中で通信が切れたりしませんよね?」

「ママさんに仕込んだ盗聴器あれは、通称 “ムシ” って呼ばれる使い捨て仕様なんだよ。……つーか、仕込んだ場所の環境状態にもよるんだぜ? 精密機器にとって高温多湿はご法度なんだ。ママさんのヅラん中、相当ムレてたんじゃねぇか?」

「仕方ないでしょう。落ちず見つからずの場所はあそこしか思いつかなかったんですから」

 憮然とした様子で鴨志田が言う。柾紀は笑って、半分ほど開けた窓の外に紫煙を吐き出した。

「今度のやつはベースが市販の防犯ブザーだ。あれだけの大きさがありゃ、オプションは詰め放題、発信機基盤と測位エンジンチップまで仕込んである。盗聴機能にGPS機能もばっちりだ。バッテリーは豆電池だからな。ブザーを鳴らしっぱなしにしない限り、ひと月は機能し続けるぜ」

 得意げに語った柾紀は、「――ノブ、反応は?」と声をかける。

 信孝がノートパソコンから顔を上げた。

「良すぎるくらい。やっと移動し始めたよ。タクシーに乗ったんだね」

「音声は? 拾えるか?」

「今やってる。……ていうか、ボクまで出張る必要、ある?」

 口を尖らせて訴える信孝は、その前頭部には大きいレンズのサングラス、下顎に白いマスクを引っ掛けてある。彼の外出標準装備だ。

 大きくステアリングを切った柾紀がハッハと笑った。

「たまには夜遊びしようぜ。それが健全なオトコってもんだ」

「昨日からほとんど寝てないんだよ。作らされて気分が悪いし」

「そりゃあ、幸夜の案だ。文句は幸夜に言え」

 当然、言えるわけがない。大人しく口をつぐんだ信孝を笑って、柾紀はバックミラー越しに幸夜を見た。

「――幸夜ぁ、貫木の方は、ホントに大丈夫なのか?」

「ああ。あいつに任せとけばいい」

 すると、鴨志田もひょいと後部に振り返る。

「亮くんとは連絡つきましたか? 彼が来られなかった場合、は誰が……」

「そりゃあ、幸夜しかいねぇよな」

 柾紀の言葉に冗談じゃないと胸内で毒づき、幸夜はジャンバーのポケット内を探った。

「あいつの携帯に、来なかったらお前の連絡先を蘇芳の店のホステス全員に拡散するって入れといた。来るだろ」

「鬼だな、お前」

「……お気の毒です。亮くん」

 ポケットからチョコ菓子の小箱を取り出したところで、逆側のポケットに入れた携帯端末が振動する。取り出せば画面には亮の名。絶妙のタイミングだ。幸夜は端末をスピーカーモードにした。

『――もしもし? 幸夜? 留守電のアレ、なに? 意味がわからないんだけど。僕、今晩当直なんだけど?』

「いいから来いよ。伍番街まで。あと、持ってきてほしいものがあんだけど」

 続く幸夜の言葉に「えぇ? どうしてそんなもの」と渋る亮。振り向いた鴨志田が、幸夜の端末に向かって懇願するように声を張り上げる。

「――亮くん、リリコさんの妹さんを助けるためです。どうかご協力を」

『……鴨さん? みんなそこにいるの? 僕に何をさせる気?』

「ナンパ」

『な』

 通話を切って、ついでに電源も切った。来ればわかる。

 手にある小箱を開封して、幸夜は一つ、口に入れた。

 信孝のパソコンから小さなノイズがこぼれて、ようやく雑音交じりのタマコの声が聞こえてきた。



   * * *



 タマコと陽乃子がタクシーで乗りつけたのは、伍番街の端っこ、肆番街と隣接する界隈にあるプリシラ通りである。陽乃子の目にところどころ見覚えがあるのは、この近くに以前利用していたネットカフェがあるからだろう。

 今夜、人通りの少ない奥まった場所にある小さな店で、リリコは貫木と会う約束をしている。要求された金を支払うという名目だが、もちろん支払うつもりはなく、まずはリリコが貫木と単独交渉、それでダメなら後陣がなだれ込み、力ずくでも香穂に関する画像を削除させた上で、二度と女子高生を使って金儲けしないと誓わせるのが目的である。

 その取引に加勢する後陣部隊は、いわずもがなタマコの仲間たち。貫木が仲間を連れてくることも想定して、とりわけ腕っぷしの強い者や “S値” の高い者も数名加えられており、すでに店の外で待機しているはずだ。ちなみに「 “えすち” とは何ですか?」という陽乃子の問いは曖昧に流されたままである。

 リリコからの合図で待機組は一気に店へ突入、貫木を取り囲んで “吊るし上げる” 手筈で、タマコ曰く「これがあたしたちらしいやり方」なのだそうだ。会合の店はこちら側の息がかかっているので、多少の “おふざけ” は問題ないとのこと。ちなみに陽乃子は “吊るし上げる” の具体的な方法を、やはり教えてもらってはいない。

 タマコと二人、プリシラ通りを進むうち、皆との合流場所はすぐにわかった。

 通りから細い枝木のように伸びる路地の入り口で、十数人の人間が奥を覗き込むようにして固まっている。どれも皆、多色多形多様のナリをしたタマコの仲間である。しかし、何となくその場の様子がおかしい。少し離れた場所に、決して広くない通りを塞ぐようにして、黒光りするセダン車が二台並んで停まっていた。

「……ママ!」

 タマコに気づいた仲間の一人が叫んだ。着物姿のイガ栗頭だ。タマコは細い眉をひそめた。

「どうしたんだい? 貫木は店に来ているんだろう? ……ん? ナンだい、あいつらは」

 タマコと陽乃子が隙間から覗くと、細い路地に面した古ぼけた小さなドアの前に屈強なスーツ姿の男が二名、立ちはだかっている。

「それがよくわからないのよぉ。いきなりあの男たちがドヤドヤやって来て、あたしたちを押しのけて店に入っていって――」

 皆が口々に説明する中、背後で新たなエンジン音が聞こえた。まばゆいライトの光をこちらに向けて滑り込んできたのは、停車しているセダン車よりさらに大きなリムジン級の黒い車体。

 助手席から出てきたこれまた屈強な男が後部座席のドアを開けて、ゆっくりと足先から降り立ったのは――、

「――スーちゃん……!」

 タマコの口から上ずった声が出た。

 軽やかなヒールの音とともに、こちらへ向かって優雅に歩を進める背の高い女性は、昼間タマコから話を聞いたばかりの伊南いなみ蘇芳すおうである。緩やかに波打つ長い黒髪が淡色のスーツの胸元で弾み、匂うような圧倒的色香がその場を制した。

「こんばんは。タマちゃん」

 不思議な抑揚であいさつした蘇芳は、にこやかな笑みを浮かべてその場の皆を見回す。タマコが酸欠の金魚のように喘いだ。

「あ、あんたまさか……」

 ――と、にわかに路地の奥が騒がしくなった。いくつも入り乱れる足音と喚き散らす男の声。

「――あっ……出てきたわよ!」

「あれが貫木……」

 店から出てきたのは、スーツを着た男二人に両側から取り押さえられた、もがき暴れる男である。首や手指に装飾品を光らせた二十代後半か三十代そこそこの男で、どう猛な猿人を思わせる顔立ちをしている。どうやら彼が例の悪党、貫木のようだ。

 次いで、貫木の仲間と思われる似たようないでたちの男が二名、同じようにスーツを着た男たちに引きずられ小突かれながら出てきて、最後に、店のドアの前で仁王立ちしていた二人のスーツ男が無表情にしんがりを務めた。

 皆が呆然と見つめる中、セダン車に押し込まれる貫木一味。蘇芳が笑みを浮かべたままタマコに言った。

「うちの子があの男に怪我をさせられたの。知っているわね?」

 タマコがごくりと喉を鳴らす。蘇芳は皆の方へ向き直った。

「集まってくれたところ申し訳ないのだけれど、あの男の身柄を私に預けてくれないかしら。貴方たちを失望させるような真似はしないわ」

 その場の皆が困惑し顔を見合わせた。自分たちがとっちめる気満々で待機していただけに、この想定外の急展開、頭がついていかないのだろう。

 その時、甲高い声が路地から飛び出した。

「――ママ!」

 髪を振り乱してリリコが駆けてくる。

「――ちょっとどーなってんの? いきなりイカついヤツらが入って来て、アイツらを連れてっちゃったんだけど! ワケがわかんないんだけど! ――え? ス、オウさん?」

 蘇芳に気づいたリリコは素っ頓狂に目を丸くした。蘇芳は目を細めて頷く。

「リリィ。話は聞いたわ。カタを付けたい貴女の気持ちはよくわかるけれど、ここは私に免じて引いてちょうだい。貴女の妹さんに、これ以上あの男たちを関わらせないと約束するわ」

「で、でも……」

 やはり戸惑うリリコに、深紅の唇が笑みを深める。

「その代わり、もう一匹のおサルさんはあなたが成敗なさい」

「もう一匹の、サル……?」

 ポカンと首を傾げるリリコの頬を軽く撫で、見上げる陽乃子に柔らかく微笑んでみせて、蘇芳はゆっくりとリムジンへ向かって去って行った。

「……ねえさんが直々に出てくるなんて」

「……ということはあれ、ご隠居さまのところのSPよ」

「……お気の毒ぅ……」

 誰もが唖然と見送る中、どこからか軽快な着信音が鳴り響き、タマコがバッグから携帯端末を取り出す。画面を見たタマコのラメ入り頭が傾いだ。

「――ノブちゃんからだ」

 メッセージを確認したタマコは、キツネにつままれたような顔で言った。

「今すぐカルメン通りに来て、だって……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る