第35話 疑い
「度々すみませんね。」
「いえ、こちらこそ申し訳ありません。」
次の日、また俺は伽奈の学校にきて加藤と新島に会いに来た。転校が決まったということ、昨日クラスメイトの男子生徒がおしかけたことを伝えに。男子生徒にしては録画された動画も持ってきた。
「昨日言ったと思うのですが伽奈は転校するということに決まりました。」
「そうですか。」
加藤は落ち込んでいるが自分が対処しなかったのが悪いだろうに。
「それと追加でこちらの男子生徒を知っていますか?」
そうして動画を見せるが加藤は自分の生徒だと分かったらしい。新島の方は眉を一瞬ひそめただけだ。
「昨日我が家にお見舞いと称して来たのですがどうして我が家を知っていたのかと。」
「それは教えてもらったからでは?」
「誰にですかね?伽奈は誰にも言ってないと言ってますし他になりますよね?」
「それは伽奈さんが...」
「言ったとでも?そうやって貴方達は伽奈を助けようとしなかったのか。言ったのでは、そう思われる行動をしたのではと。」
「...」
「まぁそれはいいんですよ。とりあえずこちらの男子生徒に関してはストーカー被害として警察に被害届をだします。」
「何故!?」
新島が叫ぶ。加藤の方は驚いたまま固まっていた。
「それは誰にも教えてない我が家に来たのだからストーキングでもして来たからでしょう。」
「そんなのおかしいです!」
「どこがですか。伽奈が言ったはずだと?それとも被害届を出す方が?自分はこの前言ったはずですよ。来たのなら被害届を出すと。」
「それでも本人に聞くべきです。どうやって知ったのか。」
「それを新島先生は信じるんですか?伽奈の言葉は信じないのに?」
「それは...」
「まぁ安心してください。警察にも知り合いがいますので無下には扱いませんよ。ただ今のうち言いたいことがあるなら言った方がいいですよ。」
「それはどういう...」
「俺としては住所を教えたのは貴方達のどちらかだと思っているんですよ。」
「何故私達が?」
「伽奈が言ってないなら担任かもしくはこの話を聞いた養護教諭ではないかと。まぁあとは校長や教頭あたりも住所くらいなら分かると思いますがあの男子生徒ならその御二方には聞かないでしょう。それに男子生徒は誰から聞いた?と問いかけた時に黙ったと言うことは伽奈から聞いた訳では無い。」
「それで私達が疑われたと。」
「まぁ予想ですよ。だから聞いたのですが違うなら大丈夫です。では自分はこの辺りで、この後は警察に行かないといけないので。」
そう言って立ち上がるとき見た2人の表情は焦っているように見えたが2人はやはり何か隠しているのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます