第34話 何故しっている?
「えーと君は誰だ?」
「オレは折崎のクラスメイトだ。あんたは?」
「折崎 夕、伽奈の兄だが何の用だ?」
「折崎...伽奈の見舞いに来たんだ。」
伽奈の見舞いだと?そもそも伽奈はクラスメイトには家の住所を教えてないと言っていたが。
「そうかなら体調も良くなったから大丈夫だ。」
「なら会わせてくれ!心配だったから会いたいんだ。」
「そうは言うがお前は伽奈のなんなんだ?」
「クラスメイトで...」
「ならお前がここにいるのはおかしいんだよ。伽奈は学校の教師以外には家の住所を教えてないんだよ。」
言葉を遮り俺が告げると男の子は黙った。
「誰からうちの住所を聞いた?」
「...」
「言わないならそれでもいいよ。とりあえず今日は帰ってくれ。」
「クソっ!」
そう吐き捨てると男の子は去っていた。さて誰から聞いたのか。俺としては担任の加藤にお見舞いに行きたいとでも言ったと思うのだがどうにも腑に落ちない。
今日見た加藤の印象は保身の為なら切り捨てるような教師だから、訴えると言ったのなら誰にも住所など伝えないはずだ。
かと言って彼と新島に接点があるのだろうか?だとしたら一体どんな関係だ?
「お兄ちゃん誰だった?」
「あぁ伽奈起きたのか。伽奈のクラスメイトって言った男性とだったんだが分かるか?」
そうして先程のカメラの映像を見せる、すると伽奈は顔を顰めていった。
「お兄ちゃん、こいつだよ。」
「こいつ?」
「うん、私に告白してこいつの告白を断ってから噂が広まったの。」
「なるほどな。」
告白を断って噂が広まった生徒。確かに諦めが悪いと言ったらそれまでなのだが生徒が知らない家の住所を知っているのはおかしい。
となると十中八九その生徒が噂を流したのだろう。だがどうして家の住所まで知っていたのか。ストーキングをしてなのかそれとも...
「とりあえず夕飯の準備でもするか。」
「手伝う?」
「大丈夫。ゆっくりしててくれ。」
母が帰ってきたので夕飯を一緒に取りながら今日の会話を伝える。母も転校には賛成するどころか乗り気だったのでなんの問題もなさそうだ。
「けどその男子生徒ってどうしてここまで来れたのかしらね?」
「それが分からないから頭を悩ませてる。」
「どうせ転校したら来ないんじゃない?」
「住所も教えてないのに来るってことはそれほど執着してるってことだ。」
「そうねぇ。」
「それに噂を流した本人だとすればなおのこと押しかけるだろうさ。」
「じゃあどうするの?」
「俺としては今後近づかないようにしたい。伽奈は?」
「私もそうしてもらえるなら...」
伽奈が俯いて答えるのを見ると怒りがふつふつと湧いてくる。
「任せろ。お兄ちゃんがなんとかしてやる。」
そういい切った俺を母は微笑ましく見てて恥ずかしくなったのは内緒だ。
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