第33話 ドライな考え

家に帰ると伽奈はソファでゲームをしてた。俺が外に出ている間に少しは元気になったのであればいいことだ。


「お帰りお兄ちゃん。」

「ただいま。」

「それでどうだった?」

「結局誰も噂の出処は分かってないよ。だから転校させる気でいるって伝えた。」

「そっか、巻き込んでごめんなさい。」

「家族だから気にすんな。」


そう言って伽奈の頭をポンポンと軽く叩きソファに座る。


「そういや誰かお見舞いにでも来たか?」

「来てないよ、それに家を教えてないから来れないはずだし。」

「兄妹揃って友達がいないというのは悲しいものがあるな。」

「本当に?」

「冗談だよ。友達なんてもんより金が欲しい。」

「金は裏切らないからね。」


我が妹ながらドライ過ぎではなかろうか。どこで育て方を間違えたのか母と話し合う必要があるかもしれない。


「けどお兄ちゃんも分からないなら転校するしかないね。」

「まぁ俺は某名探偵さんより頭悪いからな。」

「お兄ちゃんが頭悪いなら学校にいる9割はみんなバカになるんじゃない?」


確かこの前のテストは学年1位だったからうちの学年はみんなバカかもしれない。取り巻きとかしちゃうやつらだし。


「けど転校したくない理由とかあるのか?」

「ないよ。むしろ転校の方が嬉しいかも。」

「告白が多いとか?」

「それもあるけどクラスカーストに巻き込まれるのも嫌なの。私は飾りじゃないし。」


伽奈は可愛いから確かに自分のカーストに入れば自ずとクラスカーストの上位に行けるだろう。

緋奈も似たような状況だし。まぁ伽奈と緋奈で違うのは伽奈はNOと言えるところだろうか。伽奈が母と遊びに行く以外外に出たのを見たことないし。


「まぁ未練がないならそれでいいさ。母さんが帰ってきたら転校先を探そうな。」

「分かった。」


そうして2人してゆっくりしていたらいつの間にか寝てしまったらしく起きたらいつの間にか夕方になっていた。

いつもなら明かりがある時は眠れないのだが、緋奈と和解してからは明かりがあっても少しずつ寝れるようになってきた。

まぁ未だに部屋に明かりを付けるのはむりなのだが。


伽奈をソファに寝かせたまま夕飯の準備に取り掛かっているとチャイムがなった。かと言って俺は作業しているし伽奈は寝てるしで出ることはできない。

そもそもな話誰かくるなら連絡はあるし、母の関係者なら尚更だ。つまり連絡がないということは俺か伽奈の関係者で、伽奈は住所を教えてないから多分俺だろう。

もしかしたら緋奈かもしれないから仕方ないので火を止めて備え付けのカメラを見たらそこには見知らぬ男の子がいた。

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