第32話 タラレバ
「なら何故転校させないで様子見をしろと?下手して自殺したら責任とれますか?」
「保健室登校をさせれば問題ないはずです。」
「どこに問題ないと?保健室に先生がいない時に噂を聞きつけた男子が来て襲ったらどうなります?」
「そんなタラレバなんて...」
「あるんだよ、実際。イジメなんて何が起きるか分からないから起きた後はイジメられる側は死にたくなるほど辛くなるんだよ。」
こいつらは自分がイジメられたということがないのだろう。保身に走る加藤も転校を認めない新島も。
「結局問題解決に動かないって話ですよね?それなら家族と話して転校させますよ。それに転校を認めない理由はなんですか?まるでされると困るみたいな反応ですが。」
「そんなことは。」
「ならこちらで結論が出て転校しても文句は言わないでくださいね。」
2人が黙ったので帰り支度をして立ち上がる。
「あぁ、それから我が家に加藤先生も新島先生も、そして他の生徒も見舞いや話し合いに来なくていいですからね。」
「それはどういう?」
「我が家に来て何を話すんですか。噂を止めようとしないのに話すことはありますか?様子見をするのにわざわざイジメられに登校させるんですか?」
「それでも見舞いに行く分にはいいでしょう!」
「見舞いと称して我が家に来てイジメられるかもしれませんが?」
「だからそう言うタラレバは...」
「2年前の事件をご存知では無いんですか?」
「2年前ですか?」
新島は加藤を見るが加藤も首を振り知らない素振りをする。というか加藤はもう引き止めるのを諦めたみたいだ。
「教職員なのに知らないんですね。」
「教職員なら知っているとでも?」
「えぇ、とある中学校で大規模なイジメがあったんですよ。」
「大規模な?」
「イジメられた生徒は1名、イジメを行った生徒は当時在学していた男子生徒7割と教職員8割が関与しており、訴えられた事件だったんですが知りませんか?」
「それなら確かに耳にしたことが...」
「その時の被害者は自分ですよ。だから妹がイジメられていると知ればあとは分かるでしょ?」
2人とも額に汗をかいているがここは冷房がきいてて涼しいはずなんだが。
「それは脅しですか?」
「新島先生、どこが脅しなんですか。自分は2年前の事件の話をしただけですよ。まぁ調べればどんなイジメがあったか分かりますよ。だから我が家には誰も来させないでください。もし来たのならストーカー被害としてだします。」
「そこまですれば生徒の未来は...」
「消えるでしょうね。俺には関係ないですしそこまで行動するなら噂を止めろよと思いますよ。それでは失礼します。」
そうして部屋を出て受付を済ませた。伽奈には帰って転校の説明をしなければいないと思うと足取りが重くなったのは自業自得なのだろうか。
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