第31話 保身
「それで折崎さんはどのような要件で?」
「伽奈の噂についてなのですが御二方はどこまで把握しているのでしょうか。結構広まっているとのことですが?」
「それは伽奈さんが仰ったので?」
「伽奈が言ったら何か問題でも?」
「いえ...」
担任の方は保身に走るタイプだな。明らかに誤魔化そうとしていたぞ。
「新島さんには伽奈が相談したみたいですが
、なんでも伽奈にの噂に対してその噂は事実じゃないかと言ったらしいですね。」
「伽奈さんに対してそのようなことは。」
「ではなんと言ったのですか?」
「私は伽奈が周りからそう見られる行動をしたのではないか?と言ったのです。決して噂を肯定したわけでは...」
まぁ人によっては受け取り方でどっちとも取れるからまだ判断できないな。
「そうでしたか。それで担任の加藤先生はどこまで把握しているのですか?」
「自分が把握しているのは伽奈さんが援交しているのでという噂です。何人もの生徒が伽奈さんと毎回違う男性が歩いていると言ってるみたいで。」
「その言った生徒は?」
「それが誰が言ったのか分からないんですよ。」
「ならなんで何人もって分かるんですか?」
加藤は口を噤んで言いづらそうにしているがこれはもしかしてこいつのクラスの奴らが言っていたのか?そうだとすると自分のクラスの奴らも犯人候補になるから言えないってところか。
「まぁ言いづらいなら大丈夫です。」
「申し訳ないです。」
明らかにホッとしているのは予想通りなのだろう。ということはこいつのクラスに告白をした奴もいるかもしれない。
「では自分は家に帰り伽奈には転校するか話をしますね。」
「そんな!」
「どうして止めるのですか?イジメがあるのだから他の学校に行かせるのは当たり前じゃないですか。」
そう言うと担任は何も言えないのか口を閉じる。こいつにとっては自分のクラスの生徒がイジメで転校するという評価が下がるようなことはされたくないのだろう。
そうしていると新島さんが今度は口を開いた。
「でもそうすると転校先でも転校理由が知られたらまたイジメられるのでは?」
「どうやって転校理由を知るんですか?他県に行けばそれこそ分からないとは思いますが?」
「最近はSNSで広まったりしますからそこからということもあります。」
「なるほど。」
「なのでもう少し様子見をしてはと。人の噂も七十五日と言いますから。」
「ならそこまでイジメられろと?」
「そうとは言ってないでしょう!」
そう言って机を叩く新島。
はたから見たら怒ったように見える姿だが俺には何故か焦っているように見えて仕方がなかった。
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