第26話 戻った日常②

「お待たせして申し訳ありません。」


店を閉めて30分程経った頃に日和さんは来た。2年振りに見るのだがこの人本当に歳をとってるのか疑わしいくらいに若いな。


「お久しぶりです、日和さん。」

「久しぶりね夕さん、この度は緋奈の為にありがとうね。それと...」

「昔の話はまた後で、とりあえずあそこに集まっているので先に向かってください。俺は料理を持ってくので。」

「私も手伝いましょうか?」

「大丈夫ですよ、それに日和さんはお客様なのでゆっくりしていてください。」


そう言って日和さんにやんわりと手伝いを断る。俺の周りの中で緋奈と並んでかなりまともな人なのでこの人と話してるだけで心が安らぐ。

そして日和さんを席に向かわせたあと料理を持っていく。と言っても喫茶店にある材料でしか作れないので作ったのはBLTサンドとイチゴケーキだ。


「お待たせ。これがBLTサンドでこっちがケーキ。ケーキは切り分けるから言ってくれ。」

「今日はご馳走ね。本当なら緋奈ちゃんも呼びたかったんだけど...」

「さすがに呼ばないでくれ。本当なら伽奈だって居てもらいたくはないんだが。」

「私はご飯を食べに来ただけだから気にしないで。」

「ってテコでも動かないから諦めた。」


伽奈は頑固だからこうゆう時は諦めるのが早い。


「じゃあ話を始めるわね。まずこの度は我が学校で不祥事が起きたことについてお詫び申し上げます。また不祥事の解決に手を貸していただきありがとうございます。」

「そうね、私の方は夕が早めに終わらせたから何も言わないわ。日和ちゃんは?」

「私は緋奈がストーキングされてたと聞いて怒りましたが、渚さんのせいでは無いので許しますよ。それとさっきも言ったけど夕さんもありがとうね、貴方のおかげで緋奈は深く傷つかずにすんだわ。」

「いえ、こちらこそ遅くなってすいません。」


実際力技ならもっと早く解決出来ただろう。


「では事のあらましと結果を話すわね。」


そうして渚さんの説明が始まった。

俺はある程度聞かされていたために驚きはしなかったが周りの面々は話が進むにつれて鬼の形相になっていた。


「という事で今も余罪がないか警察で調べてもらっているわ。」

「まさかそんなことになっていたなんてね。渚ちゃんは気づかなかったの?」

「基本は校長で話が止まっていてね、話が回ってきてなかったのよ。話が回ってこなかったのも意図的に伝えなかったのとわざわざ校長が自分で伝えるから大丈夫だとか言って私には伝わってこなかったの。」

「誰もおかしいとは思わなかったんですか?」

「おかしいと思った人達は自己退職して行ったけど多分脅されたのかもしれないわね。新聞部の部長の鳥羽って子がわざと冤罪をでっち上げたこともあるって言っていたし。」


聞けば聞くほど新聞部と校長のクズさが露呈していくあたり本当に救えない奴らだったのだろう。

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