第22話 理事長
授業が終わり放課後になった。朝の騒ぎが嘘のようにみんなして気にしていなかったのは偏に緋奈を心配してたからだろう。
俺と言えば理事長に会うために透華さんに頼んだところ理事長は1つ返事で了承したらしく今日の放課後あってくれるらしい。
理事長室の前に着きノックをすると部屋から返事が聞こえたのでドアを開けて中に入る。
「失礼します。」
「久しぶりね夕くん。」
中に入ると今年で48の筈だが見た目20代の理事長である渚さんと透華さんがいた。
「お久しぶりです渚さん。」
「本当に久しぶりね。入学していつ挨拶に来るか待っていたわ。」
「俺が渚さんを苦手なこと知っているでしょう?」
「そりゃそうでしょ。貴方は私の息子みたいなものなのだから可愛がりたくもなるわ。」
そうこの渚さんは母の友達であり昔から交流があったため俺を可愛がることに生きがいでもあるのかものすごく可愛がるのだ。それに俺が母のところでやっている仕事も知っておりそれも含めて頭が上がらないからなるべく会いたくなかったのだ。
「それで話なのですが...」
「透華から聞いているわ。ストーカー被害からその犯人達についても。一応録画と録音されたものを見せてもらえるかしら?」
そう言われたのでレコーダーと写真を渡す。ついでに席に付けられていた隠しカメラやレコーダーも渡す。
「やっぱり隠しカメラを付けていたのか。」
「えぇ、予想通りに。おかげで向こうに誰がついているのか分かりましたよ。」
「もしかしなくとも校長だろ?」
「透華さんも気づきましたか。」
そう、相手側についているのは校長だろう。俺と透華さんの関係に気づくには透華さんの履歴書を確認出来なければならない。そしてそれを出来るのは理事長である渚さんか校長しかできない。
そもそも盗撮して脅すなら前の席にでも付けるか本人の席にでも付けるだろう。
ならどうして俺の席なのか、それは俺の席から盗撮の証拠を出すためだろう。そうすることでわざと俺に罪をなすり付けて透華さんも脅すことができ、なおかつ緋奈のことも脅すことが出来る。
「なるほどね。分かったわ、これだけ集まっていれば理事長の権限で校長室も調べられるわ。ちょうど明日校長は休みだし。」
「ありがとうございます。それと新聞部の方もお願いします。」
「えぇ、分かったわ。ただこれだけのこととなると大変なのよね。」
「お母さん!」
「私にも楽しみがあったっていいじゃな
い!」
そう言ってダダを捏ねるアラフィフ。本当にこんな所がなければ尊敬出来るいい人なのだが。まぁこちらも面倒をかけるし仕方ないだろう。
「分かりました。今度うちに招待するのでご一緒に食事でもどうですか?」
「それでいいわ。明後日には終わらせるから楽しみにしててね。」
そうして理事長室をでて疲れきった顔をした俺は家に帰ったのだった。
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