第17話 過去⑤
文化祭当日、中学校は熱気に包まれていた。大女優である千代女さんがゲストとしてくるということで騒がしくなっていた。
(誰も俺の母親とは思わないか...)
俺といえば今日はクラスの出し物である喫茶店の裏方をやっていた。裏方といっても裏にどこから持ってきたか分からないサンドバッグの着ぐるみに入っているだけなのだが。
そもそも文化祭には生徒の保護者と招待券をもらった人達しか来ないからいつもの如く裏でイジメられているというわけだ。
そして時々裏に通される生徒から殴られそれに耐えていると放送がなった。
『大女優の千代女さんが着きましたので皆様良ければ体育館にお願いします。』
そうして学校にいた人達はみんな体育館に向かった。俺は置き去りにされたが程なくして来た伽奈に着ぐるみを壊してもらい体育館に向かった。
体育館には今か今かと人が待っていた。そこには警備にきた警察官とテレビ取材にきたカメラマンがきていた。
『それでは千代女さんよろしくお願いします。』
そして母が壇上に上がった。母は俺から見ても綺麗で輝いていた。そんな母が口を開いた。
「初めまして皆様、女優をしている千代女といいます。この度は招待してくださりありがとうございます。さてこの場をお借りしてなのですがご覧頂きたいものがございます。」
そうして後ろにスクリーンが持ってこられある映像が映された。
「なんでお前なんかが紗倉さんの隣に住んでんだよ!」
「死ねぇ!」
「折崎も俺らに騙されてると思ってないのかね。」
俺が殴られる映像から俺が友達と思っていたクズが笑っている映像、仕舞いには母を脅していた校長の録音されたものが流された。
「これは一体なんなのでしょうか?お答えできますか田上校長先生?」
映像が終わったあと静かになった体育館に母の言葉が響いた。校長を見るも校長は青白い顔をしており彼は今にも倒れそうだ。
そして気づいた時にはサイレンの音がなり体育館に警察官が集まり生徒達は教室に戻り1人1人事情聴取をすることになった。
結論から言うと校長含めた教師の8割は懲戒処分となった。イジメを行った生徒、在学していた男子の7割に対しては訴訟を起こした。証拠がどうだと騒いでいたものの録画したものや録音していたもの、医者の診断による書類を出したらあっさり認めた。
またきていたカメラから放映された為にこの騒動は一気に周りに広まり町から何人も引っ越したらしい。それでもイジメを行ったものには慰謝料請求をしたので関係はなかったが。
それにより春まで学校閉鎖することになり学校は大きな損害をだした。
噂を流したクズ達はみな転校先でイジメられているらしい。さらに親もこの件で会社をクビになり親からも体罰を受けるようになったということを弁護士から聞いた。
俺も引越しをした。放映された映像には顔を写してなかった為に誰も俺が被害者だとは気づかずそのまま何もなく最後の中学生活は終わり大湊高校に入学した。
その時には緋奈がどうなったかは分からなかったが幸せに日常を送っていると思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます