第13話 過去①

折崎 夕と紗倉 緋奈は幼馴染みでいた。当時家が隣であり彼女とは幼稚園の時からずっと一緒だった。


小学6年生の時からだろうか彼女は男の子からチヤホヤされ始めた。

そして中学二年になる頃にはスタイルも大人びてきて彼女はほとんど毎日告白されるようになった。


その時から幼馴染みである俺を妬み憎む者が現れ始めた。

最初は付き合ってないのかという質問からだった。その時は付き合ってはないけど家が隣だから仲がいいだけと答えた。

それで納得したのだろうかその時は何も無かった。


だが中学二年のGWを過ぎた辺りから俺は男子から無視されるようになった。

それでも数人の友達はいた為に特に気にする事はなく過ごしていた。

この時に彼等のに気づいていればこの後のことは無かったのだろう。


その噂は6月の下旬に流れた。曰く折崎 夕は紗倉 緋奈の家が隣である為、そこから弱みを握り彼女に無理に仲良くなるようにしていると。


正直聞いた時にはアホらしいと思えた。たかが家が近くとしても、弱味なんて握ることなどしないから。

それでもその噂は学校中に広まっていき女子からも避けられるようになった。

教師からは詳しく聞かれたのでお互いの部屋が向かいなだけで誤解だと説明したが、それなら弱味も握れるだろうと言われた。

さらには緋奈の父親からもこれ以上関わると訴えるとまで言われて愕然とした。


そして夏休みに入る前には仲のいい友達以外からは邪険にされ教師からも嫌な目で見られるようになった。

その時には緋奈も離れていき彼女と毎年見ていた花火は去年が最後になった。


夏休みが明け二学期が始まって1週間が経った時また新しい噂が広まった。今度は折崎 夕が紗倉 緋奈に夏休みに彼女に無理強いをして迫ったが、拒絶されて祭りや遊びにも行かず仕舞いには話すらできなくなったと。

そこから尾ひれがつき俺は強姦未遂のクズ野郎ということになっていた。


それからというもの俺の持ち物が無くなったり、移動中にはわざとぶつかられたり仕舞いには目に付いたからという理由で殴られたりもした。

友達を巻き込まないように教師にも相談したのだが証拠がないから対応出来ないと嘲笑うかのように言われた。


そんな日々が続き中学の文化祭の準備の買い出しから戻った時だった。いつも通りパシリのように扱われて1人で買い出しに行ったあと、教室に向かう途中教室の前に友達がいたから声をかけようとしたときだった。



「あいつよくまだ学校にこれるよな。」

「まさか俺たちが噂流したとは思ってないからだろ?」



そんな声が聞こえ俺は買ったものが入った袋を落としたのだった。

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