第11話 side紗倉

この春、私は大湊高校に入学することができた。中学では悲惨な出来事があり大好きなと大きな溝ができてしまったが、後悔しても過去には戻れないので1年間勉学に勤しみ設備もよい偏差値高めの大湊高校を受けたのだ。


そして入学当日校舎まで行きクラス名簿を見るとそこには大好きなの名前があった。その時誰にも見られていなかったのなら泣いていただろう。


そうして教室に入るとすでに席にはが座っていたので挨拶をした。だけど彼は驚いた顔をしたあとそのまま反対方向を向いてしまった。


まぁ中学時代のことを考えれば私と関わってろくなことにならないのは分かっているので仕方ないと思うしかない。それでも大好きな彼に無視されるのは胸が痛くなるのでせめて挨拶だけはしてもらいたかった。


それから入学式もつつがなく終わり放課後クラスのみんなに囲まれてしまった。


(めんどくさいなぁ...)


中学時代もそうだが私は見た目はいいのでみんなに囲まれていた。そしてそれでを傷つけたこともある為正直な所こうして囲まれることに嫌気がさしていた。

そうして当たり障りのない会話をしながら彼の方をふとみた時にはすでに帰宅していたのでさらに私の気分は落ち込んだ。


それからというもの彼には挨拶もできずにいた。そんな時でも周囲の人は増えており気づいた時には勝手に人の交友関係を決めるような輩が出始めて私は学校がつまらなく感じ始めた。



そして入学してから1週間が経った時からか時折視線を感じるようになった。

私は見た目はいいのでみんなから見られるのだが感じるようになった視線は粘着質な感じがして怖気が走った。

早見先生にも相談したのだが早見先生もストーキングされたらしく今犯人を探している最中だと言われた。


こんな時、彼が近くにいてくれたらどんなによかったのだろう。

だけど彼を突き放したのは私だ。こんな思いすら本当なら抱いてはいけないのだろう。

助けてもらいたいと思う気持ちと彼にもう迷惑はかけられないという気持ちが日に日に強くなって言った。


ストーキングされるようになって2週間くらい経った時、机の中に1枚の見た事のあるイラストが描かれた封筒が入っていた。

そこには


「18時にあの公園に」


人目がなかったら私は泣いていただろう。それは過去にからよくもらっていた手紙の筆跡に似ていた。

私は嬉しくて彼の方を見たが彼は寝ていた為聞くことはしなかったがこれを入れたのは彼だ。


なぜなら封筒にはいつも彼が描いていた猫のイラストがあったから。


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