第4話 寿司
「ただいまー。」
そう言いながら靴を脱ぎ居間に入ると妹がソファに寝転んでいた。
「おかえり、お兄ちゃん。」
「ただいま。今日朝からいなかったけどどうしたんだ?」
「入学式の手伝いで内申点もらいに。」
「なるほどな、お疲れ様。」
「夜に透華さん来て寿司ご馳走してくれるってよ。」
「本当に!?やったー!」
両腕を上げて喜ぶ姿を見ると少しは嬉しくなる。
「とりあえず俺は部屋で勉強してるから透華さん来たら伝えといて。」
「分かったー。」
またテレビを見始めた妹を見て自分の部屋に向かう。
電球がついてない部屋に入り手元を照らすスタンドライトをつけて鞄テーブルに置いてベッドに横になる。
(まさか紗倉さんがいるとは...)
中学生の時のクラスメイトであり学校を巻き込んだ事件の原因となった生徒。
そして中学時代、告白してきた女の子。
(また彼女は人を狂わせるのだろうか。)
彼女のせいとは言わないがそれでも彼女が周りを気にすればこんな事にはならなかっただろう。
いや、俺がちゃんと彼女を拒絶すれば良かったのだろう。人に優しくしようなど思わず。
「お兄ちゃーん、透華ちゃんきたよー。」
「分かったー。今行く。」
居間に向かうと透華さんと伽奈がテーブルで寿司を食べていた。
「なぁ、待つってことはできなかったのか?」
「大トロすごく美味しいよ!」
「だろうな。」
俺も席に座り寿司を食べ始める。
「お兄ちゃん高校どうだった?」
「あぁ、いつも通り詰まらなかった。」
「おい、担任いるのにそれはないだろ。」
「へぇー、透華ちゃん担任なんだ。」
「まぁな。あとあいつも同じクラスだった。」
そう言うと空気が凍った。
「またお兄ちゃんの前に現れたんだ。」
そう言った伽奈の顔は険しかった。
「どうせまた同じことになるんじゃないの?」
「あたしが担任だからそんなことはさせないよ。」
「まぁ透華さんがそう言うなら信じますが頼みますよ。」
「あぁ任せろ。」
透華さんがいるならある程度は大丈夫だろう。ただ...
「透華さん、うちの学校に新聞部ってありますか?」
「あるがそれがどうしたんだ?」
「いや、確認したかったので。」
ということは十中八九、化学準備室を出た時見たのは新聞部だろう。
入学そうそう面倒臭いことになったとサーモンを食べながら思った。
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