第16話 実況見分

実況見分をする日になった。


予定通りの時間に行くと、いつもの如く、一旦取調室へ。


部屋番号は違えど、相変わらず白い部屋だ。




担当のHY警部補から


「今日は少し時間がかかります。お時間は大丈夫ですか?」




「はい」


まー、1日時間は空いている。




「では、準備までに少しお待ちください」と


警部補HYはどこかに電話していた。




「予約入れていたHYですけど、空いていますか?」


「あ。」


「はい」


「分かりました。」




次にまた電話する


「ちょっと場所は変更するけど準備は進めて・・・」


「んー裏でやろうか?」


「はい、今から行きます。」




なんてやり取りをする会話が聞こえた。


そして、担当HY警部補から


「予定していた道場が、訓練で使用中なので外でやります」




「はい」


どこでなにをやるのか。分からない私は、


「はい」しか返事は出来ない。




外に出て、署の裏に案内された。


パトカーや覆面車両の駐車場だった。


そこの物置のようなガレージに案内された。






「ここで、仮想で実況見分と写真撮影を行います」


「この白線をフェンスの境目と思ってください」


等、仮の設定を言われた。




私役の警察官と相手役の警察官と


撮影する担当HY警部補の3名と私の計4名。




「では、順を追って証書通りに進めていきます。」




どんな態勢。どこで。どんな言葉。相手の位置。等を


態勢の確認や距離をメジャーで測ったり、


どの位置から声を。


どんな経路で迫ってきたのか。


細かく質問され、役者担当の警察官2名に指示をする。




「この角度で大丈夫ですか?」


「ちょっと近くないですか?」


「フェンスの高さは?」


色々と役者の警察官やHY警部補に質問されては、


記憶のイメージと、役者の警官の配置を指示してメジャーで測っていく。


○○センチです。


●センチです


とHY警部補は細かく記入しては写真を撮る。




そして、実況見分は終わった。


嫌な記憶を思い出しては、当時の脅迫状況を再現するのはけっこう大変だった。




次は「現場検証」と移る。




これはまた次回に。







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