第8話 交番まで。。。
建物と車の陰に隠れながら、隣の新居構築中の方へ逃げた。
この隙間は、自分のアパートの玄関から真裏のベランダ側に面しており、
建築工事中の物資や車両が多く止めてあった。
すでに、この時点で男からは絶対に見えない。
とりあえず、交番へ逃げる事にした。
しかし・・・交番までの距離が遠い事、遠い事・・・
つい先ほどまで、運動不足で「逃走」を行ったばかり、
もはや呼吸も乱れ、脚も態勢もクラクラ。
口の中は変な血の味(鉄分)の様な味がする。
やっとの思いで交番へ着いた。
身体は九の字に曲がり、口の中は血の様な味と、咳、吐く様な疲労。
クラクラで交番のドアを開けた。
交番で勤務していた警官への第一声。
「助けて下さい!」ではなく、
よぼよぼな、カスる声で
「み・・・水下さい。。。」
なんと、まぁかっこ悪い。
警官はとりあえず座って呼吸を整えるように、私に言ってきた。
「ぜーぜーはぁーはぁー」
しか言葉が出ない。
空気が薄い。
もう勝手にエベレストの頂上より酸素が薄いと思った位だ。
心の中では、
「早く水持ってこい!」
「キンキンに冷えた天然水持ってこい!」
「バカラのグラスで、おもてなしを!」
の様な言葉が浮かんだが、この際贅沢は言えない。
「はい。お水です」
若い警察官がやっと水を持ってきた。
「ぬる~い」
湯呑みに入った水だった。。。
「バカラのグラスでキンキンに冷えた天然水」の夢は吐かなく消えた。
一気に飲み干した。
「もう一杯下さい」
おかわりも頼んだ。
そして、事情を聴くために、ベテラン風のおっさん警察官が、
机越しに対面して、椅子に座った。
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