第7話 再び逃走!


待ち構えていた男は、私を見つけるなり近寄ってきた。


距離約200メートル・・・





とりあえず運動不足の私はアパートの陰に隠れる事にした。




徐々に近づいてくる男。




「管理会社へ電話するぞ」




「出てこい!」




「コラ!」




と相変わらず威勢のいい大声。






呼吸を整えなければ、・・・




逃げるにしても対峙するにも、




漫画ジョジョ風に


深呼吸などで呼吸を整える時間が必要だった。



正面を建物に、その陰から右側から右手を出して




「携帯を貸してください」と懇願。






当初、部屋の前の落ち葉やゴミを片付ける。という




簡単な作業な為、携帯はおろか、財布も持たず、




部屋のカギは開けたままだった。




着てる服もダラダラのスエットの寝間着スタイル、




靴はかかとを踏みスリッパ状態。




部屋も自分自身も無防備過ぎる。





とりあえず物陰に隠れて右側から近寄ってくる男に、




「携帯を貸してください」


「携帯を閉まって下さい」




と隠れながら右手を出して声を出す。






この状態で左手を出す事は不自然。




右手を出してアピール。




必死に貸すか、携帯を納める事を依頼。





「うるさい。D東建託に電話するから待っておけ!」




「今から電話する」




と主張し続ける男。






「私がD東建託に電話するので貸してください」




そう頼み込まなければ、




相手が電話で仲間やケツ持ちの様な輩を呼び出され、




包囲されたり、今後部屋にいやがらせを受ける等を考えると、




簡単には部屋に戻る事は出来ない。






拉致でもされたら、それこそ命の保証はない。






しかし男は繰り返し




「管理会社のD東建託に電話する」




というだけで、携帯を渡す事は無かった。





もう身体の危険より、今後は命や生活への危険が増す事は、




小学生でもわかる・・・




身に迫る危機。




その危機が目の前に、迫っている事、時間がない事、




全ての面で不利・不幸に回る・・・






深呼吸する余裕も呼吸を整える事も出来ず、




私は、2度目の逃走をする事になった。。。。




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