第11話 大広間での晒上げ

作戦決行日 スイン王国 大広間 





大広間では人だかりができていた。サリア・アルエーズが『魔封じの鎖』で拘束され、連行されているためだ。


「まさかサリアさまが......」


「アルエーズ家はアトルフと魔道具をアラクァ国に密輸してたらしいぞ」


「お金の横領じゃなかった?」


「いや......」


噂話が大広間でささやかれ続ける中、宰相ゼアド・ドダンが大広間の中央で話はじめた。


「今回の事件いや国家への反逆、もしかしたら既に情報のある方もいるのかもしれません、アルトフ・ゴルズとアルエーズ家の事です」


ゼアドはアルエーズ家と呼称することでサリアも同罪であると暗に示しているのである。


「当初はアルエーズ家が魔道具開発費の一部を横領しているという疑惑からでした、しかし屋敷の中でなんとアルエーズ家は魔道具をアラクァ国に密輸させていたことが発覚しました!」


最初はラバル・アルエーズはともかく、サリア・アルエーズに同情的だった国民もその宰相のその言葉を聞いて。


「えっ!」


「我が国の魔道具はなんだぞ!そんな魔道具をアラクァ国にわたらせていただなんて......」


「処刑しろ!」


大広間には罵声を浴びせるような声も出始めていた。


「皆さん落ち着いてください、私も信頼していたアルエーズ家がこのようなことをしているだなんて」


ゼアドは心にもないこと言葉をはく。


「そして今回のサリア・アルエーズ捕縛に貢献した人物を紹介する。」


ざわざわと大広間の話始める。


「クロウ・ハルハート!」


そう呼ばれるとキザったらしく登場した。


「初めましての人は初めまして、普段は騎士として活動している。クロウ・ハルハートです。」


その光景を見ているサリア・アルエーズ。


「僕はいつもどおり屋敷でお茶飲んでいたんだよね、そしたら匿ってくれと助けを求められてさ、だれかなと見てみたらかの有名なサリア・アルエーズだった。しかも悲しいことに僕の友人は逆賊サリア・アルエーズ庇っていたんだ......」


「えッ?」


住民また混乱する。他にも捕まったものがいるのかと、ゼアドはそのまま隠していた他の罪人を大広間でさらけ出す。


「逆賊を庇った、罪人アクス・バーズとダンガズ・ヌブ!」


人々は混乱した。騎士たちが逆賊を庇った事実は騎士に対する信頼が失墜につながるほどに衝撃的だった。


「この者達は騎士ではない!逆賊に手を貸した罪人である。この者に温情はなく即刻死刑が宣告させるだろう。そして今回このような大広間で逆賊を晒したのは同じ騎士としての戒めである。スイン王国民よ心配などしないでほしい。この国には私がいる。宰相にして至高の騎士ゼアド・ドダンが!」


「「うおぉーー!!」」


住民たちはいままでの怒りや不安が嘘のように騒ぎ始めた。


熱く語るゼアドに冷たい目線を送る。4人


「(自分の事を至高の騎士って......)」


アクスはそのように考えていると、ゼアドは完全に大広場の前方に目をやってこちら側に気にかけていない状態になった。


「(さぁて、ゼアド・ドダンお前の化けの皮剥がしてやる)」


アクスの作戦がついに決行される。





「(ククク、完璧だ)」


ゼアド・ドダンは勝利を確信する。一番危険なアクス・バーズを『魔封じの鎖』で封じたことで『光の魔術』が発動されることはない。


「(友に裏切られる気持ちはどうだアクス?)」


問題はない。


「(アクスが死ぬ様を見届けたら私は魔界に帰還するとしよう。)」


だが、何か違和感もあった。


「(......)」


アクス達を捕縛したクロウ・ハルハートの経歴は知っている。ハルハート家は可も不可もない家系。


「(...)」


クロウ・ハルハートはアクス・バーズとダンガズ・ヌブとの友好関係を築いていた。だからこそアクス・バーズとダンガズ・ヌブはクロウ・ハルハートを信頼して、そして捕まったのだ。


「(アルトフ・ヴァンターとは情報共有行っていたが、腕の魔物とは情報共有を行っていなかった......)」


嫌な予感がする、大広間で鼓舞し、煽られた住民の熱気なんかでは温まらない。心の底から凍える不安、その不安を取り除こうと振り向くと。


「...なぜだ...」


クロウ・ハルハートがいつの間にか兵士を倒し他3人のカギを開け鎖をはずしていた。


「僕って騎士として舐められてるけど以外とできるんだよなぁ」


「どうやって?」


「僕には二つ魔術がある、『壁の魔術』と『鍵開けの魔術』まぁ知らなくて当然かな公では言わないし」


アクス・バーズを探すがいない。


「どこだ!」


「ここさ」


大広間の前にゼアドと住民の間に立っていた。


「ゼアド・ドダン!正体を表せ!『光の魔術<暴光>』」


アクスの体は光輝きすべてを照らした。


「(なめるなよたかがその程度の光。私は長期間魔族でありながら人間界に溶け込んでいた......)」


「(ゼアド・ドダンは40年間人間界に居続けた魔族。この程度の光ではやはり無理だろう.....)」


光がアクスに収束していく。


「クククどうした、やはり無理だったな」


「はぁはぁ、安心するのはまだ早いぜ?ゼアド」


「なんだと?」


ゼアドはアクスが見ていた後ろに振り向くとサリアが何かしらの魔術を行使していたのがわかった。


「『倍魔の魔術<暴光・倍化>』」


「しまった!」


セリアの光はアスクの光より一層輝き、あらゆる悪しきものを浄化した。





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