第6話 作戦決行
アルエーズ邸 夜
ラバル・アルエーズが不在の今、アルエーズ邸にいるのはアトルフ・ゴルズの名で過ごしている。本名アトルフ・ヴァンター。そしてサリア・アルエーズ。メイド若干名。
アルエーズ邸ではアトルフは不機嫌で物に当たり散らしていた。
「今思い出してもむしゃくしゃする。あの野郎。アクスバーズあぁヴァンター家を滅ぼしたアイツの家系が今も残っていることが腹立たしい。あいつ今にみてろ俺が王になった暁にはアクス・バーズをゼアドにやらず、俺が直々に痛めつけてやる。」
腹立たしいと言えばゼアドも腹立たしかった。なぜゼアドはあそこまで上から目線なのか、魔力や魔術を与えられることには感謝はしているものの、それ以外では納得していなかった。
「(まぁゼアドは我慢すればいい魔族になりさえすればもうゼアドに関わらずにすむ)」
「サリア......」
自身に警戒を解くことのなかったサリア・アルエーズ。アトルフ・ヴァンターにもそれなりの欲はある。
「(このままだとアルエーズ家はゼアドの肥やしになるな)」
そう考えると勿体ないという気持ちがないわけでもない、
「せっかくだ、楽しんでおくか」
アトルフは2階に上がっていく、最悪ゼアドから授かった『催眠の魔術』にでもかけてでも楽しむつもりであった。
アルエーズ邸2階
「っ!なっなんですか!」
サリアは作戦の準備のために動きやすい服装で準備していたものの今来たのは予想外であった。
「僕は君に優しくしていたつもりだけど?なぜ心が動かなかったんだい?」
サリアはここでどうするか迷っていた。まだ実行するには早すぎるが今にも襲ってきそうなアトルフの恐怖から逃げ出したい気持ちもあった。
「私はねアトルフあなたのことが怖いと思ったからですよ?だから避けたのです」、
「僕が怖い?ちょっとよくわからないな、まぁミステリアスとはよく言われるけどね」
「あなた過去と未来しか見ていないですもの、今を生きる私にはあなたが怖いです」
「僕が......過去と未来しか見ていない?」
その予想外の答えにアトルフは困惑した。そして
「そろそろ時間よ」
「時間とは?」
「復讐に囚われて、妄念に憑りつかれてしまった可哀想な人ですね。アトルフ・ヴァンターさん」
「ッ!」
その名を呼ばれた瞬間サリアの部屋から後ろに下がった。何かしらの罠が仕掛けられているかもしれない、もはやこのアルエーズ邸が安心できる場所なのかも不安になった。アトルフ・ヴァンターはそのままアルエーズ邸から森沿いを走り抜ける。
「(もはやこの国が安全である保障は無くなった。サリアがなぜ知っているのかは知らない。知っている理由がわからない、だからこそこの国の安全は保障できぬ。ゼアドとの密約など今でなくとも果たすことはできる)」
アトルフ・ヴァンターはそのまま西のアラクァ国まで突っ走る。
「さよならだスイン王国......また会――」その瞬間
「おい、逃げるのか腰抜け。まぁヴァンター家なんてキリズ・バーズに全員殺された雑魚だから当然か」
その言葉が耳に入った瞬間アトルフ・ヴァンターは止まり。その声が聞こえたほうを振り向いた。その男が立っていた。ヴァンター家を自分以外処刑した男キリズ・バーズに似ている男。アクス・バーズは不適に見下すように腕を組んで。
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