第5話 友人への相談と父の真実

 酒場 朝





「ちょっと、聴いておくれアクス君、僕の彼女がね僕の魔術は2つあるけど一つは使い勝手がないってひどい!鍵失くしたら魔術で開けてやらないぞっていったら彼女が......」


「なんだめんどくさい」


朝食をとっていたところをクロウに隣を座られ絡まれたアクス


「なんだ今日は二人いるのか」


ダンガズがアクスの目の前へ座る、これが定位置なのだ。


「あとでみんなに話がある、大事な話だし人にも話すなよ?」


「「?」」


そうして朝食が皆終わったところで人気のない所でアクスは昨日の出来事を話した。


「アクス君、君は昨日のうちにどれだけスリリングでロマンチックな事を味わったんだい......失礼かもしれないがうらやましいとも思ったり」


「あぁ、まじでその通りだな、そしてこの話を聞いた時点俺たちもその一員ということだ」


「そうなるな」


こうして宰相が行おうとしているを知っているものは、アクス、サリア、クロウ、ダンガズの4人となった。


「アクス君がアルエーズ邸に届けるときにはサリア嬢に会えるんだね?」


「そこどうにかして見せると言っていた」


「だがなぁ、敵さんがアルエーズ邸にいる以上、サリア嬢が出れない状況があるかもしれない、いやそのほう確率が高いな」


それぞれが知恵を振り絞り最初の目標としてサリアの安全とアルトフをどうにかしようという案が出てきた。


「アルトフ・ゴルズいや違ったねアルトフ・ヴァンターは宰相を相手取るよりは戦えるはず。」


「俺はアルトフに挑発されたんだがバーズ姓をいじってきたんだ、平民を馬鹿にするために平民の姓の起源をいちいち調べるのがおかしいと思うんだが」


「なんでアルトフってやつはバーズに気をかけてたんだ?」


「さあね、ただヴァンター家だって歴史が長いわけではないんだよ、大体70年~80年前に生まれた家系さ、もしかしたらだけど20年前の事件の時にヴァンター家とバーズ姓に関わりがあったんじゃないかい?」


「20年前なんて俺は生まれて2歳くらいだから覚えてねえが、さすがに最近すぎないか?」


「まぁ、僕の勘だからね」


「ダンガズは何か思いついたことあるか?」


アクスとクロウが話している間、ダンガズは何も発言しなかったためにアクスはダンガズに話を振った。


「20年前だと俺は12歳頃だ、あの事件印象深かったがやはりバーズの名前なんて聞いたことがない」


「ふうむ。僕の勘は外れかね」


「だが、いま思い出したんだ。一度だけだがたしかにバーズ姓を聞いたことがある」


「「!」」


その言葉に光明が見えてくる可能性を信じダンガズを見る。アクスとクロウ


「......ヴァンター家の人々を処刑した人物、キリズ・バーズだ」


「それは......驚きだねキリズといえばアクス君の――」


「親父だ......」


その名は皆予想外であった。バーズ姓という時点でアクスはもちろん親戚であることは予想していたがまさかアクスの父であるキリズ・バーズがヴァンター家の処刑を行っていたという事実は今まで公にはされてこなかった。


「昔一度聞いたんだよ、キリズ・バーズが処刑人に選ばれたって、俺はその時は無関係だったから流してたし今の今までバーズをどこかで聞いたことあるなとは思っても結局思い出しては来なかった」


「アクス君の父キリズ・バーズは素晴らしい騎士だったね僕は覚えているよ何せ溺れかけたところを僕は助けられたからね。そうか処刑人というのは過去にやっていたというだけで白い目で見られるからね。キリズ・バーズは過去の経歴を隠したのか」


「親父は俺のあこがれだったからな......どんな処刑人であったとしてもその事実は変わらない......」


暗い空気が蔓延していったところをクロウは開口一番に口を開いた。


「つまりこれでアトルフがバーズ姓に執着する理由がわかったというわけだよ、問題はここからどうするか」


「まぁいちいち煽るということはヴァンター家を処刑されたことを根に持っているということだ、当然だが」


「仮に親父のしたことをアトルフが恨んでようがあいつがこれからしようとしていることは正当化できねぇよ。皆アトルフ・ヴァンターをどうにかできる案あるか?」


その時ダンガズはいい案が浮かんだというような笑顔で話し始めた。


「案を一つ思いついた。だがアクスというよりキリズ・バーズや他の死者達の名誉を汚すことにもなることだ、アクス良いか?」


「何か案があるならどんなのでもいいよ。まぁ汚名を被せるなら成功率の高いやつで頼む」


「わかった。じゃあ話すぞ」


アトルフ・ヴァンターに対抗するための案が各自に話された。


「うんダンガズ君いいんじゃないんかい?」


「だろ?」


「だがサリアが危険な目にあうな......」


「アクス君それを護るのが騎士の役目であり、男の役目さ」


「かっけぇところサリア嬢に見せつけろぉ!」


そうして時は流れ


「アクスさん機材の配達ありがとうございます。」


「サリアもごめんねしてね?」


「はい?」


そういうとサリアは言われた通り機材の中を探すと、作戦が書かれている紙を発見する。こうしてアトルフ・ヴァンターに対抗するための布石を投げ込みながら夜待つのであった。


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