第2話 衝撃の事実
スイン王国 大広間から少し離れた海辺 夕方
大広間では現在宴会の準備が行われている。アクスは大広間から少し離れた、海辺でサリアを待っていた。
「大丈夫だ、ただの女、ただの女」
アクスはサリアに引かれていた心を取り戻そうと平常心を保とうとしていた。
「(大丈夫だ、今の俺の心は平穏そのもの、サリアが今来ても問題ない)」
と考えていた瞬間。
「あっアクスさん!」
「ッ!」
アクスは振り向いてサリアの方を見た、サリアのドレスはやはり白を基調としながらも華やかさを感じさせるドレスであった。そんなサリアが走りながらこちらに近寄ってくる。その現実は夢のように感じられた。
「アクスさん、早く行きすぎたと思ってたから、ふふふびっくりしました」
「あっ全然大丈夫ですよ、平気平気(平常心!、平常心!)」
「?」
「ははは」
何とも言えぬ時間が少し流れると、両者は打ち解けあいお互いは昼間では話せなかったことを話し合っていた。
「まぁ、クロウさんは頭が回っていつも彼女さんの自慢ばかりされる方なのですね、ダンガズさんはきっと豪快な人ねだってお父様の機材を勢い余って壊してしまうだなんてふふふ」
「ダンガズが壊したから次から俺が機材を運ぶことになったんだよ、まぁでもそれでよかったのかなそのおかげでサリアさんと会うことができたんだから」
「それって......」
「(しまった)あっえーと、こうやって打ち解けられる異性は俺初めてでさ、そのー」
アクスはうまい言い訳を考えようにも思いつかず、あたふたとしていた。
「私に婚約者がいるから濁してくれているのですね」
「あっはい......」
「私の婚約者の名前はね、アルトフ・ゴルズということになってる」
「なってる?」
「本当の名前はねアルトフ・ヴァンター」
「ヴァンター......」
アクスはヴァンターの名を聞いて困惑した。ヴァンター家は20年ほどまでスイン王国に存在していた、しかしヴァンター家は魔族と密約を交わしており、スイン王家の簒奪を企てたことが発覚し、一家は親族もろとも処刑されていた。
「待ってくれ、それって本当なのか!もし本当だったらアルエーズ家もまたヴァンター家と同じようなことに......」
サリアの瞳からは涙が溢れている。アクスは理解した助けを求められていることを、だが一端の騎士ではできることなど思いつかない。
「アクスさん言いたいことはわかります。アルエーズ家もヴァンター家と同じ末路をたどってしまうかもしれないこと、でもお父様はこのことは知りません、知らないのです、だから私は助けたいお父様を......」
「このことをなぜ俺に?アルエーズ家なら国王に直談判することもできるんだ、正直俺のような騎士よりもサリアさんは強い地位にいる」
「えぇ......私もそうしたかったです、でも国王の現在の宰相がヴァンター家と密約を結んでいた魔族だったのです。私は直談判すれば宰相にも当然耳に入ります、そうしたらお父様がどうなるか、そして私自身の安全も保障できません、この事実を知っているのが私だけなのですから、私が死んでしまったらこの国は......」
「......サリアさんちなみにいつ頃気が付いたんだ?」
「はい、たしか1か月ほど前です......」
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