第5話 果てしなく遠い勝利の味
4歳春を迎えて、長い休養から復帰したロゴタイプは緒戦にG2中山記念を選択。ここでは天皇賞馬ジャスタウェイの3着とまずまずの結果を残したものの、続いて初めての海外遠征となったG1ドバイデューティフリーでもそのジャスタウェイの世界レコードでの激走の前に歯が立たずに6着に敗れてしまう。その後帰国して休養し、昨年と同じように札幌記念に挑むも8着という自己最低の着順に沈んでしまう。その後も勝つことはおろか掲示板に載ることすら叶わず1年間未勝利のままで4歳シーズンを終えると、翌年ロゴタイプはさらなる泥沼に沈み込んでいく。
年明け早々のG3中山金杯に出走したロゴタイプであったが、同年に天皇賞(秋)を制するラブリーデイの前に2着に敗れ、しかも自身が皐月賞で記録した中山芝2000mのレコードタイムも塗り替えられてしまう屈辱を味わってしまう。その後もダートレースに出走してみたり、再度の距離延長に挑んでみたりするもののやはり勝つことができない。ステップレースで2着〜3着ならばあっても、その後の本番で重馬場に泣かされたり、不利な枠に入ったりする不運が起き、どうしても勝つことが出来なくなってしまったのである。
ロゴタイプはもう限界では無いのか……。
4歳〜5歳シーズンを未勝利のまま終えてしまったロゴタイプに、そんな心無い声がかけられるようになったのも無理からぬ話であった。皐月賞馬の名をこれ以上汚さぬうちに引退したほうが良いのでは、という声もないわけでは無かった。
しかし、ロゴタイプの関係者たちは諦めてはいなかった。
大敗しているときの敗因ははっきりとしているし、ロゴタイプ自身がレースを諦めているような素振りも見当たらない。負けているのは単に巡り合わせの問題であり、何かが噛み合いさえしてくれればロゴタイプはまだ輝けるはずだ………。
ロゴタイプ陣営は3歳春までの名誉も誇りも失いかけながら、なおも戦い続ける道を選択したのだった。
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