第20話 運命の夏祭り後編

 8月下旬、ピンキーダイナマイトのメンバーは夏祭りに来ていた。そして色んな夜店を周って行った。

 そして、次は射的屋の前に差し掛かった時、威勢の良い声で凄くガタイの良い射的屋のおじさんに引き止められた。


 射的屋のおじさん「君達射的をやっていかんかね?」

 友子「友子射的やる~。撃ちまくるぅ~。おじさんこれ44口径マグナムオートマテックじゃないの?~」

 射的屋のおじさん「その通りだがおじさんのだから撃っちゃ駄目だよ。お嬢ちゃんはこっちだ」

 友子「これはショットガン。いいの?凄く重くて本物そっくり」

 奈緒「これはM26 MASS」

 明日香「あなた知ってるの?」

 奈緒「これはね、アメリカ陸軍の特殊部隊向けに開発された銃だよ」

 沙也香「へぇ~何でも知ってるね奈緒ちゃんは」

 ささもっちゃん「何かオジサン外国の人みたいだね。ニホンゴワカリマスカ?」

 射的屋のおじさん「こう見えておじさん語学は堪能な方だからね。日本語もぺラペラさ。君は重火器に詳しいのかい?」

 奈緒「いやそういう訳じゃないですけど、サバイバルゲームとかでよく使ってたから」

 射的屋のおじさん「そうか。ピンキーダイナマイトって君達の事じゃないかい?TVで話題になってたグループだろう?」

 明日香「私達をご存じなんですか?」

 射的屋のおじさん「当然知ってるよ。地元じゃ有名だもんな。地元を盛り上げてくれている。感謝してるぞ」

 沙也香「おじさん、顔に傷あるね。只物じゃない感じするよ」

 まゆみ「歴戦の勇者って感じですね。顔だけでなんか痺れちゃう感じ♡」

 ささもっちゃん「エロいぞ、まゆみ先輩」

 友子「おやじ趣味出たぁ~得意分野だなぁ~。電話番号と名前を聞けぃ」

 奈緒「M26 MASSで君を狙ってる。君は完全に包囲されている。大人しくおじさん憧れがあると言え」

 射的屋のおじさん「おじさんはサジと言う名だが、お嬢さん達に憧れられる程のもんじゃない。只のしがないおじさんだよ」

 ささもっちゃん「渋いぜ。おじさん。ブラックカメレオンピーピー笛あげる」

 友子「友子早くやりたい」

 射的屋のおじさん「はいはい。ありがとう。300円だぞ」


 メンバーはやけに銃にこだわった射的屋で射的を始めた。何故かナンバリングされた黒いパッケージの中に景品があるという一風変わった射的屋であった。


 友子「行くよぉ~。バンバン。あっ、何か落ちた。」

 射的屋のおじさん「おめでとう。なかなかいい腕だな。これは健康ランド優待券だ。良かったな」

 友子「……。友子また変なのだ。まぁ、いいか。お婆ちゃんにあげよ」

 射的屋のおじさん「次は誰だ」

 ささもっちゃん「ささもっちゃんですぅ。ささもっちゃんは撃つぅ~。バァ~ン。あっ、何か当たった」

 射的屋のおじさん「よくやったな。偉いぞ。これは確か捕らえもんという脱臭炭だな。良かったな」

 ささもっちゃん「……。ササモッチャンコレイラナイ」

 射的屋のおじさん「さぁ、気を取り直していこう。次は」

 明日香「わっ私もういい」

 沙也香「私もいいや。さっきのガラガラの悪夢がまだ残って……」

 まゆみ「わたし頑張ります。きゃっ、バンバン。あっ、何か落ちましたよ」

 射的屋のおじさん「おめでとう。中身はカツオのテレフォンカード1000円分だ。今時レアだな」

 まゆみ「……。テレフォンカード?何ですかそれ。でも嬉しいです。きゃ♡」

 明日香「公衆電話で使うカードよねぇ」

 沙也香「そうだね。この店もかな」

 射的屋のおじさん「次は奈緒ちゃん君か。話題沸騰のお姉ちゃんだな。良いのが当たるといいな」

 奈緒「ありがとサジさん。そりゃ~、バ~ン。何か落ちたぜよ」

 射的屋のおじさん「こっ、これは……」

 奈緒「なっ、なんだろう。嫌な予感」

 射的屋のおじさん「ピンクダイヤモンドリングだ。これは大当たりだな」

 一同「えぇ~!そんなのあるの!!」

 射的屋のおじさん「おじさんは雇われているだけで詳しい事は知らないんだ。でもすごい高級品だぞ。良かったな」

 奈緒「やった~、サジさん好き好き好きよ~。愛してるぅ~」

 射的屋のおじさん「そんなに喜んでくれておじさんも嬉しいぞ。あははは」

 友子「なんですか、この貧富の差は」

 ささもっちゃん「圧倒的敗北感」

 明日香「気分が悪い」

 まゆみ「私はテレカなのにな、最低です。ちぇ」

 沙也香「奈緒ちゃんおめでと、くれ」

 奈緒「さぁ、次へ行こうぞ皆ついて参れ」


 メンバーはその後、何件か屋台を周りこの日は帰って行った。その姿をサジは笑顔で見届けて長い一言を言った。


 サジ「何時振りか。こんなに笑ったのは。あの子が村上奈緒。我々の救世主(メシア)か。噂通りの影響力の凄さだったな。よし、アレを付けている限りは彼女の位置情報が分かるな」


 サジはそう言うと悠々と去って行ったのだった。













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