第7話 初の路上ライブ
5月中旬、奈緒達は初の路上ライブに動いていた。大型スーパーの駐車場の一角に許可を貰ってテントを立て、レンタルして来た音響機材のセッティングを行っていた。メンバーが得た知識だと所謂地方アイドル達はチェキや生写真、CD音源やカメラでの2ショット撮影をやっているそうなので、それらを揃えていたのだった。許可を得て地域のフェンスや壁に写真部に撮って貰ったポスターを貼り、またウェブでHPを作り、BBSや問い合わせコーナーなどを設置した。全て明日香の陣頭指揮の賜物である。それでも不安なメンバー達はチラシを県内の中学、高校に配りまくった。衣装合わせやダンスレッスンも頑張った。リハも問題なく行えた。
明日香「これで人が来なかったら、解散だわ」
沙也香「そうだな。解散必至だな」
ささもっちゃん「でも、色んな人に協力して貰ってるから人来ませんでしたでは終われないですぅ」
奈緒「そうだね。これだけ派手に動きまくったからきっと来てくれるよ。愛を注ぐぞぉ~お金稼ぐぞぉ!!」
明日香「うるさいわよ、奈緒さん。でも運営していくためにはお金も必要だわ、確かに」
友子「解散なんてさせません、ウチら当選で~す」
まゆみ「緊張してお腹痛くなって来ました」
スタッフは学校の保護者や関係者の女の子達が務めることになっている。そして、開始時間の正午の時刻は刻々と近づいて来た。既に会場は超満員の人でごった返しになっている。
男子学生A「ここだぜ、チラシやポスターを貼ってる奈緒ちゃん達がやってる会場」
男子学生B「そうだなここだ。楽しそうだけど、お前誰狙い?」
男子学生C「俺は断然、奈緒ちゃん。市内ではちょっとした噂になっている女の子だぜ」
年配のオタク男性「君らは奈緒ちゃん狙いかね」
三人「はいっ!!そうですが……。違うんですか?」
年配のオタク男性「まだまだ甘いな。僕は断然明日香ちゃん」
三人「あの女帝明日香ですか?あいつは他校にも知られていますよ。性格キツイって」
年配のオタク男性「そういう所が堪らなく好きなんだな。お化粧濃い所も好きだなぁ。ロングヘアー堪らん」
30代のオタク男性「僕は断然ささもっちゃん!妹にしたいからね、絶対。うへへ」
他にも買い物客やサラリーマンやOL、中高大学生など見物客も含めて1000人ぐらいの人が集まってきた。
そして、時刻は正午。いよいよライブ本番の時である。
明日香「よ~し!いくわよ。あんた達ぃ~!!!」
沙也香「気合い入れろや」
奈緒「ピンキーダイナマイト!!桃色爆弾大爆発だよ~!!!!」
全員「おぅ!!」
ピンキーダイナマイトの初陣記念ライブがスタートした。
明日香「まずは一曲目!!聞いてね!!、ピンキーダイナマイトのテーマ!!!」
1曲目は6人全員参加のEDMナンバー。ピンキーダイナマイトのテーマ。作詞は明日香で同じフレーズを繰り返す事で中毒性を狙った歌である。
奈緒「ピンキーダイナマイト♪桃色の危険な爆発物♪」
明日香「ピンキーダイナマイト♪ぶっとぶわよ!あなたの理性♪」
ささもっちゃん「ピンキーダイナマイト♪本能 子煩悩 I don't know♪」
沙也香「ピンキーダイナマイト♪今、破裂するかも恋愛武装集団♪」
まゆみ「ピンキーダイナマイト♪その愛に満ち溢れたその名を♪」
友子「呼んで叫んで轟いて♪」
全員「ピンキーダイナマイト♪」
全員「有難う御座いました」
1曲目が終わり、初のmcご披露となった。
明日香「みなさーん!初めまして、私達は桃色絨毯爆撃集団、その名も」
6人全員「ピンキーダイナマイトで~す!!!」
明日香「まずは奈緒さんからご挨拶だよ」
奈緒「ちょっと明日香さぁ~打ち合わせ道理やろうよ。そんなキャラじゃないでしょ?」
明日香「うるさい。皆さん御免なさい、この人ちょっと怖いですねえ。もじもじ、えへっ」
奈緒「皆ぁ~元気かねぇ~あたしゃ元気ぞね。奈緒ちゃんで~す。どもども!!」
ファン「うおぉぉぉぉ!!!奈緒ちゃ~ん!!!」
奈緒「おおっ、勢いが凄いね。私にファンが早くも居てくれてるのね。う・れ・し・い・ぞ。コレステロール高めな子もいて嬉しいぞ。ぽっちゃり大好き。奈緒ちゃんだぁ~!!!!」
ファン「すんげぇ~可愛い。ヤバい。死ぬぅ~」
沙也香「初めまして。沙也香だぜ。今日は、着いて来いお前らぁ~!!!」
ファン「かっけぇ~!あの子シブいんだけどぉ~」
沙也香「ありがとう!ホントは緊張してたんだ。宜しくな」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。はわわわぁ~。ささもっちゃんはいるぅ~」
ファン「妹にしてぇ~。あの子意味が分かんないけど可愛いね」
友子「私に清き一票を。今日こそ当選確実、友子で~す」
ファン「可愛い~。チャラチャラしてそう。でも可愛い」
まゆみ「よろしくお願いしま~す。マッコウクジラが大好きまゆみで~す」
ファン「マッコウクジラ好きって。ちょっと狙い過ぎかな。可愛いけど」
明日香「女帝はメガネを付けた仮の姿。しかしてその実態は!!ラブリープリンセス明日香でぇ~す!!!」
ファン「……。ぅぉぉぉ」
沙也香「ブリッコキャラすんなや」
奈緒「それはキツイよ明日香。でも1部には受けたよ」
明日香「うっさいわね明日香よ。よ・ろ・し・く・ね。あんた達」
奈緒「それでは2曲目行きましょう!極東大旋風~百花繚乱絵巻~」
ファン「ピンキー最高!!うおぉぉぉ!!!」
友子「遥か昔の時代から~♪」
まゆみ「独自の彩り艶やかに~♪」
沙也香「台風銀座のお膝元~♪」
ささもっちゃん「八金女が威勢よく~♪」
明日香「土佐の荒波に身を任せ~♪」
奈緒「激震と化す東の都~♪」
全員「あぁ!我ら極東の旋風~♪」
全員「有難う~」
ファン「かっこいいぞぉ~!!」
最高潮の盛り上がり見せた2曲目はメタル系の楽曲。作詞は奈緒である。ゴリゴリのメタルサウンドに乗せて、日本への愛を台風銀座から東に直撃させる攻撃的なナンバーだ。
友子「はいはいまゆみさん。ここからはソロコーナーでぇ~す」
まゆみ「そうですね友子さん」
友子「MCやった事ないからいきなりまゆみちゃんにアイウエオ作文でぇ~す」
まゆみ「嫌だよぉ!出来ないよぉ!」
ファン「まゆみちゃ~ん頑張れ~」
友子「それではまゆみのま」
まゆみ「まずまずの腕前で」
友子「まゆみのゆ」
まゆみ「有名な板前さんが」
友子「おぉ!板前さんが_最後はまゆみのみ」
まゆみ「店出した」
ファン「うぉぉぉ!ちゃんとオトした。凄ぇ!」
友子「それは行きたくないお店ですねぇ。あっ、そろそろ準備が出来た様です」
まゆみ「それでは歌って頂きましょう。沙也香さんで、曲はアナーキーサヤイズムです。どうぞぉ~」
沙也香「盛り上がって行くぜぇ!1、2、1234~」
沙也香「スマホで話してるだけの間柄など~♪つまらないなら会って話そう~♪」
「ひねくれ者って言われてる~♪あんたのいじらしい素顔が見たいな~♪」
「逆らう奴ほど可愛いはず~♪私はアナーキー~♪」
沙也香「どうもありがと!次は友子だよぉ~!!」
女性OLファン「きゃあ!良い歌詞!なんか泣けるぅ~」
沙也香「次は友子だよぉ~!!」
3曲目は沙也香のソロナンバー、アナーキーサヤイズム。曲はパンク調の楽曲になった。何を隠そう明日香を見ていて影響された自分を歌った歌である。因みに明日香は気付いてはいない。そして、続けて4曲目が流れ始める。4曲目は友子のソロだ。
友子「友子だよ!張り切って行きます!!ダルマさんがふっ飛んだ!!」
ファン「うぉぉぉぉ!!!」
友子「ダルマさん♪ダルマさん♪あたしはあなたのダ~ルマさん♪」
「私が勝ったらキラキラお目目を書いてね~♪」
「検索で急上昇♪あなたの認知度~♪」
「ダルマさんに目を書いて~♪ダルマさんが笑うよ~♪」
「ダルマさんにロケット付けて~♪ダルマさんがふっ飛んだぁ~♪」
友子「ホントに有難う御座いま~す」
ファン「なんか凄く変な歌だけど面白いな~!」
友子「次はまゆみちゃんだよぉ!!」
4曲目は友子のソロナンバー、ダルマさんがふっ飛んだ!!。曲は90年代ユーロビート調の楽曲である。父が議員である友子は選挙に勝つイコールダルマという発想から、自身がダルマになれば恋の相手を勝たせてさらに楽しませてもあげられるという優しさを込めた歌である。そして5曲目はまゆみのソロ。
まゆみ「まゆみです。頑張りますので宜しくお願いします。ミルキープリンセス」
ファン「うぉぉぉぉ!!」
まゆみ「ミルキープリンセス!角砂糖で出来た私」
「ミルキープリンセス!スイ~ツが周りを取り囲む~の」
「ミルキープリンセス!女の子の目が気になるけ~ど」
「ミルキープリンセス!私はプリンセス!!」
まゆみ「有難う御座いました」
男性ファン「可愛すぎるぜ、まゆみちゃん」
女性ファン「ブリッコし過ぎかなぁ~可愛いけどねぇ」
5曲目はまゆみのソロナンバー、ミルキープリンセス。曲は昭和アイドル歌謡といった感じの曲。まゆみが密かに憧れていたお姫様のようなアイドルになってみたいという、かつての王道アイドル路線を絵に書いたような歌である。因みにメンバー内でも女子受けは極めて悪いと専ら評判の歌である。ある意味当然であると言えるだろう。そして6曲目はささもっちゃんのソロ。
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。宜しくお願いしま~す。ささもっちゃんはいるぅ~。それでは聞いてくださいね。ささもっちゃん漁解禁宣言~出来るもんなら妹にしてご覧よ~でぇ~す!」
ファン「待ってました!うぉぉぉぉ!!」
ささもっちゃん「HEY!HEY!そこのお兄さん♪早く餌を投げて御覧よ~♪」
「わたしが喜ぶ餌なんてそんじょそこらには置いてない~♪」
「果物、パンケーキ~一昨日来やがれ!」
「可愛いワンピースにお洒落なネックレス~ふぅ話になんない!」
「わたしはパパのガマ油が欲しいだけなのになぁ~!お兄さん♪」
ささもっちゃん「有難う御座いましたですよぉ」
ファン「なんちゅ~曲や。なんでガマ油が欲しいの。でも、何故かは分かんないけど良かったなぁ~可愛いなぁ~」
6曲目はささもっちゃんのソロナンバー、ささもっちゃん漁解禁宣言~出来るもんなら妹にして御覧よ~。曲は80年代ファンクサウンドに乗せたノリノリの楽曲。極めて変わり種を目指すささもっちゃんらしい歌である。次の7曲目は明日香のソロ。
明日香「明日香よ。みんな心して聞くようにね。分かった!それじゃ、行くわよ。女帝明日香狂奏曲~民は私の為に~!」
ファン「女帝!なんてタイトルや!!うぉぉぉぉ!!!」
明日香「私を追いかけてぇ~捕まえてぇ~離さないでね♪ねぇダ~リン♪」
「南の島でバカンスに来てるのぉ~♪私のすっぴんと太陽がとても眩しいわ♪ふふふんふふふん♪」
「なんてね。今、7時過ぎぃぃぃぃぃ!!」
「……。いや、なんとかなるか。いや、ならないわ~よ」
「いちゃつき登校にガン垂れて♪生活指導の先生ぶっとばし♪」
「有象無象を蹴散らしたなら~♪女帝メイクで貴方はとばっちり~♪フン、どいて♪」
明日香「どう!最高でしょ!いいわよね!!それでは最後は奈緒さん張り切ってお願いするわ!!!」
ファン「いや何というかそのまんまだなぁ~!最初のは驚いたけどね」
7曲目は明日香のソロナンバー。女帝明日香狂奏曲~民は私の為に~。曲は曲調がサビの前半と後半がガラリと変わる曲である。前半は王道アイドルソングだが後半はサイバーパンクにバックにはオーケストラが流れる楽曲。明日香が言うにはこの曲は夢から叩き起こされて機嫌が悪いまま登校した日に5分で出来た曲らしい。そしていよいよソロコーナーラストは奈緒の登場である。
奈緒「ソロコーナー最後は私が歌います。いざ行かん!桃源郷!!ラブショベルカーだぁ!!!」
ファン「奈緒ちゃん来たぁ~!ラブショベルカーってぇ!!何だそのタイトルは!!!スゲェ!!!!」
奈緒「私の恋愛は工事現場で♪大混乱につき私は重機で対応に追われます♪」
「強引で御免ね♪普通の女の子ならお手紙を渡すのに♪」
「パワーシャベルでGOING♪君の家へ~♪」
「私はあなたのラブショベルカー♪貴方はどんな綺麗事もしゃべれるかぁ~♪」
奈緒「奈緒ちゃんでした。あんがと。」
ファン「行かないでぇ~!!!!!!」
8曲目は奈緒のソロナンバー。ラブショベルカー。曲はハードロックな楽曲で、デストーションを聞かせたエッジの立ってるリフが印象的なナンバー。奈緒は自身が働く工事現場でこの歌詞を閃いたと言う。奈緒らしさ全開の歌詞だった。
ささもっちゃん「いやぁ~!盛り上がりますねぇ~!!明日香さん」
明日香「そうね。私の時の10倍は盛り上がっていたわよ。腹の立つ」
沙也香「まぁまぁ!奈緒ちゃんがお着替えをしている間に繋がないといけない訳ですが…」
ささもっちゃん「わたしは謎掛けしてみたいです。」
明日香「出来るの?あんたみたいなちんちくりんが」
ささもっちゃん「ファンの方お題を下さいね」
ファン「じゃあ、アイドル」
ささもっちゃん「有難う御座います。それでは、アイドルと掛けまして」
沙也香「アイドルと掛けて」
ささもっちゃん「バブルの弾けた不動産業者Aさんの人生と説きます」
明日香「その心は?」
ささもっちゃん「オタク(お宅)に全て捧げます。」
明日香「嘘言わないで。ささもっちゃんは腹黒いですよ。オタクに人生捧げませんよぉ~」
ささもっちゃん「ブラックタイガーだぞぉ~ぐわぁ~ってやらせないで下さいよ」
ファン「可愛い!腹黒くても好きだぁ~」
沙也香「それでは、そろそろ準備も出来たようなので参りましょう」
友子「9曲目行くよ!」
まゆみ「盛り上がって下さいね」
奈緒「皆行くよ!!桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイト!!!」
沙也香「無敵のピンクのニーハイソックスは♪」
友子「雛苺のネイルのお手入れは♪」
明日香「潤んだ桃色リップの弾力は♪」
まゆみ「ピーチなチークとアイシャドウは♪」
ささもっちゃん「桜色に染まった頬っぺたは♪」
奈緒「ローズに染まったこの胸は♪」
全員「貴方に捧げるユーフォリア♪この先も一緒に逝きたいの♪」
全員「真愛なる神風特攻隊♪ピンキーダイナマイト♪」
全員「どうもありがとう!!」
ファン「うぉぉぉぉぉ!!凄くヤバい気持ちになるぅ!!!」
そして、9曲目は再度6人全員で桃色絨毯爆撃機ピンキーダイナマイトを熱唱。この曲は作詞奈緒。サイバートランス系の楽曲に女の色香とフェチズムな歌詞が並べた恋愛ソング。
明日香「今日は本当に長い間ですが有難う御座いました」
奈緒「皆のお蔭でこんなに素晴らしく、怪しげなライブに出来て嬉しい次第だよ」
沙也香「さっきのは流石に恥ずかしかったけどね。皆ありがと」
友子「わたしは自分のソロの時こけたのが恥ずかしかったです」
まゆみ「本当に有難う御座いました。グスン」
ささもっちゃん「泣いてるの?まゆみちゃん」
まゆみ「何だか嬉しくて」
ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。ささもっちゃんはいたぁ~ですぅ」
明日香「それでは最後に聞いて!盛り上がってほしいわ」
沙也香「あなたとの距離はゼロ」
ファン「うぉぉぉぉ!!最後かぁ~」
奈緒「いつでも傍に居たい♪」
明日香「温もりがいつも欲しい♪」
沙也香「あの素敵な一言も♪」
ささもっちゃん「あの笑った笑顔も♪」
友子「きっと終わらない永遠に紡げる~なら♪」
まゆみ「あなたとの距離はゼロのまま♪」
全員「有難う御座います」
ファン「うぉぉぉぉ!泣けるぅ~」
最後のナンバーはあなたとの距離はゼロ。ロックバラードに後半ではオーケストラも参加していく聴かせる壮大なナンバー。ファンとの距離をゼロにしたい奈緒が書いた作詞だ。
こうして初ライブは大成功で幕を閉じた。
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