第8話 初の物販と収益報告会

 初ライブ終了後、ピンキーダイナマイトは初の物販を行う事となった。物販では色んな物が発売されていた。

 男子学生達「凄ぇ!全部買う!!」

 オタク風男性達「買わずに言われるか!!!」

 中高生女子達「全部コンプする~」 


 初回の物販は300人ぐらいが並び大行列となった。奈緒達は自身で対応してFUEL(ファンの総称)とコミニケーションを図った。


 奈緒「初めまして!奈緒と言います。今日のライブは如何でしたか?」

 30代オタク風男性「凄く興奮したねぇ。自分たちでやってるんだよね。プロのアイドルより可愛くて良かった。後、凄く町のポスターとか気になっててね。誰だこの可愛い子はって。奈緒ちゃんて言うんだね」

 奈緒「はい。お兄さんバンダナイケてるよ。ちょっとぽっちゃり体系も奈緒は好きですよ。エヘヘ、隙あらばハイタッチだぁ」

 30代オタク風男性「おぉぉ、ハイタッチしてくれるのかい。無料で良いのかい。君は天使だぁ~」

 奈緒「必要としてくれる人の所へ行きたいだけですよ。ふふふ」

 男子高校生「早くおじさん!次、俺の番」


 明日香「初めましてね明日香よ、何か御用?」

 中学生男子「えぇとですね、その女帝というのはなんですか?」

 明日香「何よ、その質問。でも私の所へ来たんだからね。教えてあげてもいいわよ」

 中学生男子「おっ、教えてください、明日香お姉さん」

 明日香「女帝明日香はどんな時でもどんな人に対しても上に立ち、話す事を貫くのよ。それが私のポリシーなのよ」

 中学生男子「へぇ~カッコいいですね」


 沙也香「初めまして!お姉さん。沙也香と申します」

 大学生女子「きゃ~!沙也香さんていうんだね。私、まどかっていうの。宜しくね。凄くボーイッシュだね。男装イケメン執事さんみた~い。何かスポーツとかやってるの?」

 沙也香「キックボクシングを少々嗜んでおります、お嬢様」

 大学生女子「きぁ!~!お嬢様って言われた。私鼻血でそうよ。執事キャラも出来るのね」

 沙也香「ふざけてやってみただけだよ」


 ささもっちゃん「ささもっちゃんで~す。はわわわぁ~!ささもっちゃんはいるぅ~」

 高校生男子「ささもっちゃんは変わった物が好きなんだね。何か欲しい物でもあったら言ってね」

 ささもっちゃん「ぷぅ~。それならちくわ煎餅!!」

 高校生男子「そんなん売ってるかな?いや、売ってるよね、きっと」

 ささもっちゃん「売ってるよ、絶対。お兄ちゃん買ってきて!」


 友子「友子だよ。宜しくね」

 高校生男子「友子ちゃん、可愛いね。いきなりだけど悩み聴いてくれる?」

 友子「良いよ!!」

 高校生男子「僕、髪の毛が薄毛なんだけど友子ちゃんに嫌われるかな」

 友子「うん、嫌い」

 高校生男子「やっぱりね、そうだよね」

 友子「ちょっと待って。そういう風に深く考えるからいけないのよ。もっと楽観的にならなきゃ。うちのパパもそうなんだけどね。禿げが嫌いな人はほっといて、あたしみたいにハゲ好きアイドルを応援して」

 高校生男子「嘘じゃないのかい?ホントにハゲ好きアイドルは実在するのかい?」

 友子「嘘じゃないよ。信じて」

 高校生男子「うひょ~」


 まゆみ「まゆみで御座います。今日は宜しくお願いします」

 金髪大学生男子A「まゆみちゃんっていうんだね。可愛いね、デートしようよ」

 まゆみ「困ります。あれ、聞いてくれてますか?」

 金髪大学生男子B「いいだろ、別にこれも出会いだしさ気軽に行こうぜ、なっ」

 40代オタク風男性「やめないか。まゆみちゃんが嫌がっているだろう」

 高校生男子「そうだ、止めろって言ってんだよ」

 金髪大学生男子C「あぁ、誰に向かって口利いてるんだお前等は」


 皆それぞれにファンと交流を持っていく中、突然まゆみの前に現れたのは立ちの悪そうな金髪の大学生達だった。周りも止めるように呼びかけたが、3人組は止めようとしなかった。まゆみが泣きそうになっていたその時だった。


 相馬「止めろよ!お前なぁ生き方間違ってんぞ。取り敢えずその子の手離せ、ボケェ」


 そうすると3人組はまゆみの手を離した。まゆみはその場にへたり込んだ。


 金髪大学生男子A「あぁん。誰だおめぇ、死にたいのかよ」

 金髪大学生男子B「金かけてねぇナリしやがって」

 金髪大学生男性C「ダセェんだよ、カスが!!」


 相馬「やれやれ、クソだりぃな!」

 鬼塚「そうっすね。相馬さん。このすねかじりがぁ~」

 成瀬「まぁまぁ、落ち着いて三下じゃないですか~」

 相馬「まぁな。じゃあお前やれよ成瀬!」

 成瀬「嫌ですよ。拳が腐ります」

 鬼塚「自分やっても良いっすよ、相馬さん」

 相馬「だりぃけど俺行くわぁ」


 金髪大学生男子A「一人かよ。舐めやがって。お前ら殺っちゃうぞ」

 まゆみ「誰か~助けに来てください」

 金髪大学生男子B「うるせぇ!静かにしてろ!!」


 3人組はナイフを取り出すと相馬という男の周りを取り囲んだ。その瞬間、相馬は目を見開いた。


 相馬「俺は相馬といって今はしがない大工業だが、高校んときは結構ヤンチャしてよ。親に迷惑かけちまってよ。でも、その頃より衰えてはいないぜ。元雷鳴のNO1が相手してやるよ」

 成瀬「よっ、元総長。カッコいいぜ」

 金髪大学生男子C「雷鳴って今も県下に名を轟かすあの暴走族か?」

 金髪大学生男子A「やべぇ!相馬って高校ん時名前効いたことあるぞ」

 金髪大学生男子B「でも、本物か分かんないぜ、勝手に名前使ってるだけかも」

 鬼塚「その割にはお前らビビり倒してるぜ」


 そこへ、人込みを掻き分けピンキーダイナマイトのメンバー達がやって来た。


 まゆみ「怖かったよぉ、友子」

 友子「大丈夫、まゆみちゃん」

 明日香「大丈夫なの?」

 まゆみ「はい、何とか」

 沙也香「あれ、奈緒ちゃん?」

 ささもっちゃん「奈緒ちゃん先輩どうしましたか?」


 奈緒はメンバーから離れ、おもむろに相馬の方へ近づいていくと懐かしそうに話し始めた。


 奈緒「相馬君?」

 相馬「あっ、奈緒ちゃん久しぶり。今日はちょっと遊びに来たんだけど変なのに巻き込まれちゃってね」

 奈緒「じゃあ、あの頃の様にちゃっちゃと片付けますか?」

 相馬「えっ、あっそう、そうだな。よし、お前ら今から顔が無くなるくらいぶちのめしてやるかな」

 成瀬「相馬さんさっきと明らかにテンションが違いません?」

 鬼塚「というより相馬さんだけ狡い」


 金髪大学生男子A「マジでホンモンかよぉ~」

 金髪大学生男子B「逃げるぞお前らぁ~。すいませんでしたぁ~」

 金髪大学生男子C「おっ、おい。置いていくなよぉ~待ってくれぇ~」


 相馬「ったくよ。久しぶりに喧嘩出来ると思ったのによ」

 奈緒「元気だった。相馬君達。久しぶりだよね。ウリウリ」

 相馬「やめてくれよ奈緒ちゃん。仲間が見ている前で乳首グリグリするのはやめろよ。ったく相変わらずだなぁ」

 成瀬「お久しぶりだね。奈緒ちゃん」

 鬼塚「お久しぶりだな。奈緒ちゃん。って相馬さん良いな」


 この三人組は奈緒の昔の知り合いである。奈緒が高校1年生の頃、男子校の高校3年生だった3人であった。ケンカの腕は滅法強いがイケメンの割に女性には弱い元総長の相馬と、体が大きく顔もまぁまぁイケているケンカ番長元副総長の鬼塚と、小さく華奢な体でありながら女にモテて、喧嘩の腕はピカ1な元NO3の成瀬の三人は地元の暴走族集団雷鳴の元トップ3である。


 七海「あれ、相馬さんじゃん、懐かしいねぇ」

 蘇我「あっ、相馬さんじゃありませんか。お久しぶりです」

 相馬「おう、お前らか。元気にしてたかってまだ付き合ってないんか」

 蘇我「嫌ですよ。七海なんてお子様ですから自分はもっと大人の感性を持った…」

 七海「うるさい、」

 蘇我「止めろ七海」


 __バコッ、グェッ


 七海「相馬さん達は奈緒ちゃんを見に来たの?」

 相馬「そうだ。久しぶりに休みが貰えたんでな」

 奈緒「何かでも懐かしいよね。皆で揃ったのってあの時以来だよね」

 鬼塚「そうだね奈緒ちゃん。ぐふふ。相変わらず可愛いなぁ」

 成瀬「鬼塚。キモいぞ。涎拭けよ」

 相馬「何かでも本当に懐かしいよな。あん時確か雷鳴とピンクジャガーのメンツで奈緒ちゃんをクリスマスイブに迎えに行った時だったよな」

 奈緒「そうだね。懐かしい」

 明日香「奈緒さ~ん。戻るわよ」

 奈緒「じゃあまた今度ね。」

 相馬「あぁ、今度また夏に時間を作ったらみんなで会おう」

 奈緒「バイバイ!」


 奈緒はピンキーダイナマイトのメンバーの所へ戻って来た。メンバーは奈緒を見ると訝しげな表情で観察して来る。


 友子「奈緒先輩。あのぉ、先輩って付き合っている人いるんですか?あのカッコいい人達の中に居たりして」

 まゆみ「奈緒先輩。あの相馬さんって呼ばれてた人が私を助けてくれたんですけど。お礼も言えなかったんです。相馬さんってお付き合いしてますか?」

 奈緒「いや、付き合ってる訳じゃないよ」

 まゆみ「私、初めて男の人を見てドキドキしました。これって恋なんですか?」

 奈緒「それは、きっと胸焼けだよ。お酒でも飲んだ?」

 まゆみ「飲んでないです。ホントにあの人を見るとドキドキするんです。」

 ささもっちゃん「それはね、錦鯉の呪縛であって…」

 まゆみ「もういいですぅ」

 明日香「恋なんて一種の伝染病でしょう?騙されないでよね」

 沙也香「私はまゆみちゃんの気持ちちょっとは分かるけど」


 こうしてメンバーは自分の持ち場に戻りファンとのふれあいに戻った。

 そして、3時間に及ぶ物販は大盛況のうちに幕を閉じた。


 明日香「やっと終わったわ!」

 奈緒「さすがに疲れたね。」

 沙也香「こっちは完売だよ」

 ささもっちゃん「こっちもで~すぅ。」

 友子「後は帰って計算しましょう。」

 まゆみ「それでは片付けましょうか。」


 大型スーパーのオーナーにお礼に行ってきたり、機材や衣装などの片付けをして夕方5時にメンバー達は撤収となった。そして、次の日明日香は前線基地に皆を集め、ささやかなパーティと収益報告会議を行う事にした。


 明日香「それでは皆さん、カンパ~イ」

 奈緒「おっぱ~い」

 明日香以外の5人「おっぱ~い!!」

 明日香「私に対する嫌がらせなのそれは」

 沙也香「固いこと言うなよ明日香」

 ささもっちゃん「そうですよ。Aカップ貧乳アイドルにおっぱ~い」

 明日香「ぐりぐりされたいの、馬鹿」

 まゆみ「ところで売上ってどれぐらいあったんですか?」

 友子「全部友子の」

 ささもっちゃん「菜緒ちゃん先輩友子先輩に何か言ってやって下さい。好き好き~」

 菜緒「ささもっちゃん胸に飛び込んで来ないの」

 まゆみ「はわわ、はわわいいなぁ」


 パーティはすぐに終わり次に売り上げと関係各所へのお礼金見積もりやメンバーの収益の話になった。


 明日香「これを見て欲しいわ」


 チラシにはこう書かれてあった。


 ピンキーダイナマイト物販商品

 1、ソロか2ショットチェキ 500円 30万円

 2、生写真メンバー10枚セット 500円 15万

 3、缶バッジ2個セット 500円 15万

 4、メンバー写真つきタオル 2000円 45万

 5、ガチャ(肩たたき券、15秒動画券、ビンタ券、

 2分サイン握手券、レア生写真10枚セット)1回500円 10万

 6、(女性のみ)ハグ券、ほっぺにチュー券 500円 5万

 7、サイン&握手券 500円 30万

 8、初ライブ記念ナンバリングカード 500円FUEL(ファンの総称)001~300 15万


 まゆみ「以上で合計収益は165万円になります」

 明日香「此処から出費を差し引きたいと思うわ」 


 ・ポスター&チラシ10万

 ・衣装代6人分×2 36万

 ・小道具製作費  4万

 ・その他     10万


 まゆみ「差し引いた額は、105万円でした」

 明日香「お世話になった人達には35万渡すから70万は私達の収益になるわ」

 沙也香「でも、個人で売り上げは違うけど各10万ぐらいだったのかな」

 友子「友子全部欲しい」

 まゆみ「私はどれくらいだったか知りたいです」

 ささもっちゃん「各自の売り上げは無いのかな」

 友子「友子1位当選確実」

 明日香「それはないわよ、馬鹿ね私よ」

 奈緒「それも無いと思うけどね、おほほ」

 沙也香「余裕だね、奈緒ちゃん。いいなHカップは。」

 明日香「あまり出したくはないけどこんな感じよ。」


 紙にはこう書いてあった。


 1位 奈緒 

 2位 ささもっちゃん

 3位 沙也香 

 4位 まゆみ

 5位 明日香

 6位 友子


 明日香「圧倒的に男性人気は奈緒ちゃん。次いでささもっちゃん、沙也香とまゆみがほぼ同率。少し下が認めたくないけど私で、最下位、友子」

 友子「何かの間違いよそれは。奈緒先輩おっぱいで男をたらし込んだんでしょうね」

 まゆみ「良かった。友子より上だ」

 ささもっちゃん「私、2位ですよ。奈緒ちゃん先輩♪友子先輩に勝ちました♪」

 沙也香「私が3位ってびっくりなんだけど」

 まゆみ「4位だけど次は3位になりたいな。私、頑張れ」

 友子「ピエロだ道化師だ球があったら乗りたい気分。ぐすん」

 奈緒「みんな頑張ったよね。向上心持っていこう♪」

 明日香「なんで私が5位。意味分からないわ」 


 こうして初の物販と収益報告会は幕を閉じた。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る