第29話「夕刻の書庫」

 長く姿勢を保っていた疲労から椅子の背もたれに体重を預けると、いつの間にやら

書庫に差し込んだ斜陽が、宙に舞うほこりをキラキラと照らしていた。


 この書庫に通うようになってからまだ日は経っていないはずだが、この景色は妙に体に馴染む。それをぼーっと見つめてしまうと、そう言えば俺図書委員だったなあと気持ちが夕陽の中に埋もれてしまいそうになり、俺は慌てて頭を振った。

 再び机の上に広げた魔鋼紙を見下ろす俺だが、何度見てもその内容が変わることは、当たり前だがない。


「ふうむ……」


 先日ティアが籠もる謎の部屋から持ち帰ってきた魔鋼紙が、思っていた程のものではなかったのだ。

 大半が魔法に関する記述のあるものだが特に珍しそうなものはなく、ティアの内面を知るには弱いものばかりだった。


(いよいよどん詰まって来たなあ……どうしよ)


 ただ、唯一他と違ったものもあるにはあった。なぜか真ん中に大きく円形の文様のようなものが浮かび上がり、内容がほとんどわからないという謎の一枚だ。コピーする前はこんなのなかったはずなんだが……何でなん。


 リヒトさんがいれば何かわかるかもしれないのだが、今日はあいにく外出中で、こうして待つはめになっている。

 彼は直帰することはないらしいからそろそろ戻ってくるとは思うんだけど。あんまり遅くなるとバーンズさんを待たせちゃうから、早く戻って来て欲しいところだ。


 と、そんなことを思いながら入り口の方を見ていると、


「ふあ~やれやれ」


 くたびれたように肩と首を回しながら、ちょうど彼が書庫に入って来た。

 庭仕事でもしたのか、白衣がいくらか土で汚れている。彼は王都から派遣されている研究員らしいので、そういう仕事もあるのかもしれない。


 リヒトさんはこちらに気づくと「おや?」と俺の方をしげしげと眺めた。


「あたらしい利用者さんですか? はじめまして。私はここの管理者のリヒトと申します」


 と、彼がそんなことを言ったので、俺は慌てて手を横に振った。


「あ、違うんです。僕です。ちょっと諸事情でこんなんになっちゃったんですけど、最近よく使わせてもらってるタツキです」


 そう言うと、彼は指でゴシゴシと自分の目元を擦り、俺を凝視した。

 二度、三度とそれを繰り返してから、ようやく彼は本来取るべきリアクションをした。


「ええ!? た、タツキさん!? 一体どうしたんですかその姿は!?」


 飛び上がる勢いでそう瞠目する彼に、俺は苦笑しつつ言った。


「いや~……何か俺にもよくわからないんですよ。ただちょっと強く体を打ったらこうなっちゃったんです」


 長くなるので詳細は伏せたが、嘘は言っていない。

 しかしそれが逆に彼の好奇心を刺激したのか、


「まさかそんなことが……一体どういう……身体のマナによる異常……それともイドによる身体強化の反転……?ぶつぶつ……」


 無遠慮に間近で俺を観察し、ふむふむ言いながら俺の周りをぐるぐると回る。

 白衣の人間にジロジロ見られると、モルモットになった感じがすごい。いよいよケツの前にまで顔を寄せられた時、俺は我慢できずに振り返った。


「あ、あの~、リヒトさん……?」


 しかしそれでも反応がなかったので、肩をとんとん叩いてやる。すると、


「……あっ! す、すいません!」


 ようやく彼と目線が合い、彼はやにわにあわあわと慌て出した。


「全く見たことのない症例でしたので、つい、その……夢中になってしまいました。申し訳ありません。大変失礼なことを……」


「い、いえ。ちょっとビックリしましたけど、全然。お気になさらず」


 そう言ってもやたらとすいませんすいませんと腰を折る彼。

 腰が低い人は嫌いじゃないが埒が明かないので、俺はとっとと本題に入ろうと彼に言った。


「まあまあリヒトさん。そんなことより、今日はちょっとリヒトさんに聞きたいことがあって来たんですよ」


「聞きたいこと、ですか?」


「ええ。ちょっとわからないことがあって、今日はこうしてリヒトさんを待ってたんですよ」


「むむ、そうだったんですか。それは悪いことをしましたね」


 と、また彼が謝罪モードに入ろうとしたので、俺は慌てて軌道修正しようと全く関係ない話を振った。


「そう言えば、白衣が何やら土で汚れてますけど、今日は外でお仕事だったんですか?」


 そう聞くと、今度は一転、なぜか彼は一瞬だけ訝しげに目を細めて俺を見た。

 何か失礼だったかな。そう思って眉を上げて返してしまったが、彼はすぐに何事もなかったようにいつものにこやかな顔で応対してくれた。


「ええ、そうなんです。この辺りの植生を調べてましてね」


「ほほお、植生ですか。普段はそういうのが専門なんですか?」


「まあ、専門と言えば専門になりますかね。瘴気が王国に流入するようになってから、各地に私みたいな研究員が送られて瘴気の流入具合を計っているんですよ。瘴気があるとまず植物に影響が出て来ますから」


「へ~そうなんですね」


 そう言えばブビードゥが普通のより凶暴化してるっぽいって言ってたけど、動物より植物の方が先ってことは、やっぱり結構瘴気が入って来ちゃってるってことなんじゃないだろうか。

 ここに居て大丈夫なんかなあ。と、そう思ったところで、俺ははたと気づいた。


「そう言えばこの辺って黒竜がうろついてるっぽいんですけど、大丈夫でした?」


 あんなものがその辺にいる時にフィールドワークなんてしたら危ないんじゃないか。そう思って聞いたのだが、リヒトさんはそれに目を丸くした。


「へ? 黒竜、ですか?」


「え? はい」


 お互いにまん丸の目を向け合ってしまい、沈黙からの静寂。

 リヒトさんは口をぽかんと開け、何をどう返したらいいかと迷うような素振りを見せる。

 え、何? 俺そんな変なこと言ってないよね?

 いたたまれなくなり、俺は自分から口を開いた。


「えっと……ご存じないですかね。最近この辺りに黒竜が出たんですよ」


 あれだけの大事件だ。もうとっくに情報は回っているんだろうと思っていたのだが、もしかして知らないんだろうか。

 しかし俺がそう言っても、彼は困ったように眉をひそめるばかりだ。


「最近、この辺りに黒竜が……ですか」


「え、ええ……」


 なぜか声を潜め、内緒話でもするかのように俺に顔を寄せるリヒト氏。そしてそのまま、俺の顔を神妙な顔で見つめること数秒。

 にらめっこでもしていたかのごとく、彼は盛大に笑い出した。

 

「あははははは! 黒竜! 黒竜ですか! それは面白いですね!」


「え、いや……これは全然冗談とかじゃなくて……」


 否定しようとしたが、彼は俺の背中をばんばん叩きながらなおも笑い続ける。


「またまた~! タツキさん、冗談が上手でらっしゃる! こんなほとんど女王様のお膝元のような土地に、そんなものがいる訳無いじゃないですか!」


「いやいやほんとなんですって! そもそも俺間近で見ましたし!」


 それでもあっはっはとあけすけに笑いつつ、しかし何とかそれを抑えようとしながら、彼は首を横に振った。

 彼は「いいですか」と人差し指を俺の顔の前に立て、言った。


「タツキさん。ここは王都が近いこともあって、女王様の魔法障壁によってしっかりと守られています。まず王国全体に大きな障壁が張られ、それを補強するように町や村にはさらに二重の障壁が施されています。それでも多少の瘴気は発生しますが、黒竜のような巨大な魔物が活動できるような瘴気は絶対に発生しません。これは断言できます」


「いやでも……障壁が一時的に弱ったりとか、そういうこともあるんじゃないかなと」


 そう返すと、彼はいやいや、と困ったように笑う。


「障壁の元となっている女王様の魔術はそんな生易しいものではないですよ。御存知の通り、盟約の秘術は王国民の大半と契約して繋がり、そのマナを少しづつ集めるという大魔術ですからね。並のマナ量ではありませんから、それによってできる障壁の中では黒竜が活動できるような瘴気溜まりはまずできません。よってタツキさんのその発言は……」


 と、彼はその人差し指を今度は俺にびしりと向け、


「冗談諧謔面白おかしい作り話! ということになりますね!」


 Q.E.D、証明終了! とばかりに得意そうに言い切る彼だが、俺は閉口してしまった。

 論理はともかく、結論が間違ってるんだよなあ……。


 ううむ、どうするか。はっきり違うよって言ってもいいけど、別にここでそんな必死になって否定しなくてもいいんじゃないかと思ってしまう。たぶん後でゼノン伯からきっちり注意喚起のお触れみたいなのが出るだろうし。そしたらさすがに信じると思われ。

 

 しかし、意外なとこで出て来たな盟約の秘術。誰かに聞こうと思ってて忘れてたからちょうどよかった。

 女王様からの手紙だと確か誰でも知ってる術だって書いてあった気がするけど、なるほどね。そういう術なら皆が知っててもおかしくないわな。

 

 しかし細かいところはわからないが、それって要は元○玉みたいな術ってことだよな。ということはつまり、俺は王国民の人達皆からマナをもらって生かされてるってことになるよな。それって、いいんだろうか。


(…………ぬう)


 俺はそんな大した人間じゃない。やましさと焦燥感にちりちりと焼かれるような居心地の悪さを覚えたが、俺は一度、それを逃がすように鼻から大きく息を吐き、気持ちを無理やりに切り替えた。

 今はそんなことを気にしている場合じゃない。自分からその術を破棄することができない以上、俺にできることはただ愚直に、できることをやるだけなのだから。


 と、思考に一定の区切りをつけたところで、俺は我に返った。

 気づくと不思議そうな顔をしたリヒトさんが、俺の顔を覗き込んでいた。


「どうかしましたか?」


「あ、いえ。ちょっと考え事を」


「もしかしてまだ納得できませんか? 他にも理由はあるんですが」


 一瞬何のことを言っているのか考えたが、そう言えば黒竜のことについて話していたんだったなと思い出す。すぐに首を振ろうとしたが、オタク特有の早口の方が早くて間に合わなかった。


「私は仕事柄貴族の方の動きも小耳に挟むことがあるのですが、実は先日領主様が教皇領の方に出発されたらしいのです。もし黒竜がこの辺りにいるのなら、領主様がそのような折に領地から離れることはないでしょうから、やはりタツキさんの冗談は不自然。ということになる訳です」


「……えっ」


 ここの領主って、昨日レオナルドさんの屋敷に来たあいつ……だよな。違うやつじゃないよな?

 

「領主様って、あの領主様?」


 一応聞いてみると、やはり予想していた通りの答えが返って来て愕然とした。


「ヴォルハルト・カーナ・ゼノン。こちらでは主にゼノン伯爵で通っている領主様ですが、聞いたことありませんか?」


「あ、はい。あります、けど……」

 

 何とか平静を保ちながら答えるが、腹の底からふつふつと怒りが湧いて来るようで表情を保つのに苦労した。あの野郎、マジか。


 俺達が黒竜とやり合った時、鎧男も確実に黒竜を見ているはずだ。それなら間違いなく報告を受けているはずなのに、このタイミングで領地を離れただと? レオナルドさんに領地のことに口を挟むなみたいなこと言っといて、何考えてやがるんだあいつ。まさか逃げたんじゃあるまいな。


「ゼノン伯は遠出をする時、王国最強の槍使いと言われるシューインという戦士も必ず帯同します。この領地で黒竜をどうにかできるとしたら彼くらいですから、やはりおかしいですよね。滅びちゃいますよ。この辺り一帯」


「で、ですよね~……」


 あはは、と乾いた笑いを漏らしつつ、俺は内心焦っていた。

 ぶっちゃけ俺は、黒竜についてはあまり心配していなかった。あれだけ大口叩いたんだから、ゼノン伯は黒竜をどうにかできる自信があるんだろうと思っていたのだ。しかしどうやら、そのアテは外れてしまっていたらしい。


 いや、そもそもこのリヒトさんの反応を見るに、あいつも黒竜がいたってことを信じていないのかもしれない。実際ギルドでは魔物が発生しないせいで仕事がなくなるなんてことも起きているくらいなのだから、女王様の魔法障壁の効果は確かなもののはず。そう考えるのが常識となってしまっている可能性は大いにある。 


 ただでさえ考えることが多いのに、これ以上懸念事項を増やさないで欲しい。ドルオタは基本推しのことだけしか考えられんのよ。マルチタスクとかマジ無理だから。

 と、いよいよ魂が抜けそうなため息を肩で吐いてしまうと、

 

「ところでタツキさん。何か私に聞きたいことがあったのでは?」


「あっ」


 彼にそう言われ、俺はようやく本題を思い出した。

 俺は机に広げていた魔鋼紙の一枚を取り、それをリヒトさんに手渡した。

 あの中央に文様が浮かんでしまって読めなくなった一枚だ。


「これ、何だかわかりますか?」


 すると彼はその細い目をますます細め、その紙を凝視した。

 そこら辺のオタクのような感じで気安い感じだった彼だが、こうして難しい顔をしているとさすがにちゃんと研究員っぽく見える。

 こいつは頼もしいぜとその様子を見ていると、


「これは……!」


「何かわかりました?」


 ドキドキしながらそう聞いたが、彼はキッとこちらに顔を向けて一言。


「いえ、全く!」


 しれっとそう言ってのける彼に、足がずるりと滑った。いやわかんないのかよ。


「文様の下に何か書いてあるようですが、正直これだけでは何とも……。すみませんお役に立てなくて」


「あ、いえいえ。まあそうですよねえ」


「ただしっかり調べれば何かわかるかもしれないので、タツキさんさえよろしければ少しお預かりして精査しますが、いかがですか?」


「あ、それは……」


 どうしよう。別に問題ない……よな? そもそも原本じゃなくてコピーだし、最悪なくなっても問題ない訳で。

 ふむと頷き、俺は彼に言った。


「じゃあ、よろしくお願いします。ただ割と急いでる感じなんで、何かわかったら早く教えてもらえると助かります」

 

 すると彼は眉尻を下げ、朗らかに笑った。


「わかりました。お任せください」


「何かすいません。普段の仕事もあるでしょうに」


「いえいえ! むしろこういった知的好奇心をくすぐられるものの持ち込みは大歓迎ですよ。どんどん持って来てもらいたいくらいです」


 そう言って、彼は本当に嬉しそうに興奮した様子で、ふんと鼻を鳴らした。

 少し、いやかなりオタク気質だが、いい人なんだよなあ……。はっきり言って最悪な事件が次から次へと起こっているが、俺は人だけにはかなり恵まれている。ありがたいことだ。


 と、しみじみと彼に感謝していると、彼がふいに言った。


「ちなみにこれ、何かを複写したものだと思うんですけど、原稿はどちらに? もし原本などがあれば一番早いんですが」


「あ、それは、ですね……」


 突然急所を突かれ、俺は慌てて言葉を濁した。

 やべ、どうしよ。まさか貴族のお屋敷から無断でコピって来ました! なんて言えんし。

 なるべくしどろもどろにならないように取り繕いつつ、俺は頭をフル回転させた。


「えーっと……実は僕、王都で騙されて魔鋼紙の束を買わされちゃいまして。その魔鋼紙はその中にあったものなんです。なのでその……もし珍しいものだったりしたら、お金に変えられたらなあと思いまして。かなり法外な値段で買わされちゃったんで、正直懐がやばいんですよ」


 ぺらぺらと回る口に、俺は話しながら自分に驚いていた。

 さすがは母親に何かと理由をつけて金を無心して来た男である。我ながらいい言い訳だ。これなら急いでいる理由としてもアリだし、そう不自然なところもなかろう。


 と、そう思いつつもビクビクしていた俺だが、幸い彼も特に不審には思わなかったらしく、ただ「なるほど」と頷いてくれた。


「そういうことでしたか。でしたら仕方ありませんね。何とかゼロからやってみます」


「すみません。よろしくお願いします」


 そう言うと、リヒトさんは好きでやってることですから、とまた笑った。その優しさに触れ、俺もつられてそうでしたね、とはにかんでしまいながらも笑顔で返した。

 

 と、そうして何とかいい雰囲気で話を閉められた時、ちょうど外から子供達の元気な声が書庫の中に響いた。

 気づけば時間は完全に夕刻。子供達が宿舎の方に引っ込んでいく時間だ。

 それに気づいたリヒトさんが、まだ疲れが抜け切らないのか、軽く首と肩を回しながら言った。


「では、私達もそろそろ帰りましょうか」


「あれ? 書庫に用事とかはなかったんですか?」


「ええ。今日は戸締まりに戻っただけですから」


「ああなるほど。じゃあ、そうしましょうか」


 そうして二人で戸締まりをして書庫を出ると、ふいに夕陽が自分めがけて真っ直ぐに差し、俺はその眩しさに目を細めた。

 夕陽はとかく、ノスタルジーを誘う。オレンジ色に染まった景色の中で、友達と別れるのを嫌うように元気に走り回る子供達を見れば、なおさらだ。


 シスターさん達が逃げ回る子供達を追い掛けている。子供達は突然始まった鬼ごっこにきゃっきゃと笑い、シスターさん達はそんな彼らを叱りつつも、どこか楽しそうな顔をしながら子供達に振り回されていた。


 そんな平和の象徴みたいな景色に思うところがあったのか、前を歩いていた彼がしみじみとした口調でこぼした。

 

「楽しそうですね」


「ですねえ」


 俺にもあんな時代があったなあ。悩み事なんか一つもなくて、毎日がただただ楽しい。そんな時期が。


「あの子達は皆孤児なんですよ。ですからああして元気に見えても、実は皆心に傷を抱えているんです」


「え、そうなんですか?」


 意外な事実にそう返すと、リヒトさんはぴたりと歩みを止め、子供達の方に体を向けた。

 その顔は、夕陽が作る影のせいか、少しさみしげなものに見えた。


「今のように魔法障壁が展開される前は、よくあることでした。魔物にやられ、目の前で親を失った。行商に行ったはずの親が帰らなかった。理由は様々ですけどね。彼らを見ていると、そうした悲しみのない世の中になってくれればいいなと、そう願わずにはいられなくなります」


 彼のそれはゆっくりとした口調だったが、その目はいつになく真剣だった。

 その横顔を見ていたら、ふいに彼の、レオナルドさんの先日の剣幕が頭を過ぎった。

 

 彼の悲しみも、きっとそういった深い心の傷なのだろう。最愛の妻を失い、その忘れ形見も失うかもしれないとなれば、あれだけの剣幕も頷ける。本当に悪いことをしたなと、今更ながらに思う。


「──僕も、そう思います」


 外から見ていても、何となく見えてしまう。あの家にある根深い病巣も、きっとその悲しみに由来しているのだ。そう思ったら、自然にそう言葉が出た。

 夕陽に焼かれながら、二人で頷き合う。そうしてしばらくの間、俺はリヒトさんと二人、その幸せな光景を黙って見ていた。


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